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2009年6月

2009年6月27日 (土)

クレーム対応(4)

書籍、雑誌から謝罪とクレームについてシリーズで書いてきましたが、今回はその仕上げです。『日経トップリーダー2009年6月号』に「小さくても注文殺到 指名NO.1企業の戦い方」の特集があり、その中に〈クレーム討論会をベースにマナー向上を図り、笑顔の絶えないタクシー会社〉がありました。

業界関係者が注目する、客から“選ばれる”タクシー会社
この会社は、千葉県市川市を中心に営業をする武藤自動車(通称ムトータクシー)で、タクシー乗り場での「付け待ち」や、街を走りながら顧客を探す「流し」を原則的に禁止し、タクシー不況のさなか、配車依頼の電話だけで成り立っている珍しい会社だそうで、多くの業界関係者が見学に訪れているそうです。

劇的な変化を遂げるきっかけとなった「クレーム討論会」
武藤厚現社長が二代目を継いだ30年前の同社の最大の課題は「乗務員さんが仕事に魅力を感じず、苦虫を噛み潰したような表情でハンドルを握り、運転も乱暴で、とてもサービス業とは思えない」だった。これを解決するため新社長が取り組んだのが「乗務員講習会」という名の“クレーム討論会”とのこと。

乗務員の言い分をたっぷり聞く「例えば・・・」
社長「家にタクシーを呼んだら、乗務員が玄関の呼び鈴を押さず、クラクションを鳴らしたというクレームが来ているけど、どう思う?」
乗務員A「そりゃ、玄関で待っていなかった客のほうが悪いよ!」
社長「でも、自分や自分の家族が客でもそう思う?」
従業員B「いきなりクラクションで呼び出されたら腹が立つかもね」
社長「じゃあ、どうすればいい?」
乗務員C「たいした手間じゃないんだから、車から降りて呼び鈴を押せば」
乗務員A「じゃあ雨の日はどうするんだよ!」
乗務員B「傘をさして迎えに行けばいいじゃない。自分も濡れずにすむし」
社長「それはいいアイデアだ! お客様もきっと喜ぶよ!」

タクシーの枠を超えた臨機応変の接客術
こうした地道な努力はやがて、「乗客が大きな荷物を持っていれば、車から降りてトランクに入れる」「高齢の顧客を病院に送る時は、車を止めて受付まで手を引いて案内する」「エレベーターのない集合住宅に住む足の不十なお年寄りは、階段をおぶって送り迎えする」…。といった臨機応変の接客術へと昇華する。

乗務員の不機嫌の元を断った工夫とは?
同社では、乗務員の不機嫌を解消するために、業界では画期的な試みといわれた「昼勤」「夜勤」各10時間制限の勤務体制を早期に導入した。20時間以上連続して勤務する「隔日勤務」の過酷な条件から解放された乗務員には笑顔が戻り、クレームの温床は取り除かれた。さらにもう一つの工夫を加えることで…。

コミュニケーションツールは「似顔絵入り自己紹介カード」
ムトータクシーの助手席のヘッドレスト部分には、プロのイラストレーターの手になる「乗務員の似顔絵入り自己紹介カード」が飾られている。「私は猫が大好きで…」「私は地元出身で…」。これに興味を示す客は多く、口ベタな乗務員たちが客との“自然な会話”を弾ませる大きなツールになっているとのこと。

同社の武藤社長は「『ありがとう』と言われれば、誰だってうれしい。とにかく無理やりにでも乗務マナーを良くして感謝の言葉をかけてもらえるようになれば、乗務員たちも仕事が楽しくなり、自然と接客態度も変わるはずと考えた。」と語っていらっしゃいます。
“感謝の言葉”が、サービスを提供する側を動かすとの視点には、考えさせられもし、“感謝の言葉”の持つ意味の重さを改めて教えていただいた気がいたします。さて次回は、ムトータクシー殿の事例を良い参考として、今回までのクレームから「思い遣る心について」「お礼の言葉」に入っていく予定です。

2017年8月25日(金) 超実践型 『クレーム電話対応力強化研修』~クレーム客6つの心理と現場対応10ヶ条~(株式会社アークブレイン様主催公開セミナー) 

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2009年6月20日 (土)

クレーム対応(3)

前回の『となりのクレーマー』は如何でしたか? クレームは実務に携わっている人たちには深刻なテーマですね。ブログで連続して取り上げたこともあり、このところビジネス誌のクレームについての記事にすぐ目が行ってしまいます。その中で興味深い内容の2誌を、角度を変えて今回と次回で取り上げます。

有力雑誌の直近号に掲載されたクレーム記事
28歳の女性銀行員からの「顧客クレーム対応が上手にできず、怒らせてしまうことがあります。いい対処法は・・・」の質問を『AERA2009年6月22日号』が取り上げていましたので今回はこれを紹介します。そして、次回は『日経トップリーダー6月号』のタクシー会社のクレーム討論会についてです。

※『AERA』:ご存じの方も多いと思いますが、念のためこの雑誌について簡単に紹介します。同誌の創刊は1988年(昭和63年)5月。「AERA」とはラテン語で「時代」の意。「日本初の本格的ニュース週刊誌」を標榜。創刊以来変わらないのが、写真家坂田栄一郎による表紙写真である。(Wikipediaより)

「新浪剛史のビジネス元気塾24」より
同コーナーは「働くビジネスパーソンの様々なお悩みにローソンの新浪社長が一発回答」と銘打って、読者からの相談に応える形式。同氏は三菱商事出身で2002年5月ローソン社長に就任(46歳)。2006年にはベストドレッサー賞(政治・経済部門)を受賞するなど、経済界のニューリダーの一人。

心の声は顔に出る・・・
今回のクレームに関し、同氏は冒頭に『肝に銘じておきましょう。クレームはどの業界でも起こる。そのとき「何で自分が(あたっちゃったの?)」なんて決して思わないこと。心の声は顔に出ます。相手はお客様。真摯に対応しなければなりません』と書かれています。心の声は顔に出て声にも反映されます。

クレーム対応を「上手にする」は「上手に謝る」ではありません                   苦情を言いに来たお客様がなぜ一層怒ってしまうのか。理由の多くは「自分のことを分かってくれない」といらだつからです。対応の基本は「相手の話を聞く」こと、そして「共感する」ことだそうです。この順番は、第12回で電話応対に必要なのは?で取り上げた傾聴力⇒共感力⇒会話力に一致していますね。

BtoBとBtoCではクレームの在り方が違う
「BtoB(企業間取引)とBtoC(一般消費者との取引)では、性質が違います。BtoBの場合、互いに利害関係にある。理屈に合わない相手とはいくら話してもムダというケースもあります。その場合は、無理に妥協する必要はないのかもしれませんね」とあり、BtoCに関しては以下のように記しています。

クレームは「業務改善の宝庫」
「でもBtoCなら、お客様第一ですから、きちんと話に耳を傾けるべき。真剣に、相手の言い分を自分のことと思って聞いてみましょう。「ああ、その点が不具合だったのか」と、日常業務や自社商品の欠点が浮かび、改善策が見えてくる。現にクレームは「業務改善の宝庫」だともいわれるでしょう?」とのこと。

同氏は「誠心誠意解決に導くように対応すれば、クレーマーだった客は、いつしかあなたのロイヤルカスタマーになっているはず。商いの基本は心です。」と締めくくっていらっしゃいます。なお、「クレーマーからロイヤルカスタマーに」については、マーケティングの世界で知られた事例をひとつ紹介します。

不満が解消した顧客は、往々にして不満を感じたことがない顧客よりもその企業に対しての高いロイヤルティをもつようになる。強い苦情を訴えた顧客の34%は、不満解消後、再度その会社の製品を購入している。(フィリップ・コトラー著『コトラーの戦略的マーケティング』)より。さて、次回はクレームへの対応の締めくくりです。

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2009年6月13日 (土)

クレーム対応(2)

前回取り上げた「謝罪」は、できれば口にせずに済ませたいのは人の常でしょうが、現実には皆さんも毎日の業務の中で必ず一度や二度は使っているはずです。しかし、圧倒的に「謝罪」の使用頻度が高くなるのはクレーム対応時ですね。今回はそのクレーム対応について、参考文献をまじえ解説してみます。

関根眞一著『となりのクレーマー』
著者は百貨店勤務経験者であり、前著の『苦情学』は百貨店勤務社向けの専門技術を扱った本だったのに対して、本書は一般の方にも興味を持って読んでもらえる本、という位置付けで書かれたそうです。対面接客がベースになっていますが、随所に電話応対にも応用できるところがあり、取り上げてみました。

著者体験による苦情対応、クレーマー対応の基本姿勢
【基本的対応】8項目:(1)非があれば、真摯な態度で謝罪をする、(2)お客様の申し出は、感情を抑え素直に聞く、(3)正確にメモを取る、(4)説明は、あわてず冷静に考えてする、(5)現場を確認する、(6)対応は迅速にする、(7)一般の苦情を、クレーマーに仕立てない、(8)苦情対応は平等に。

(1) 非があれば、真摯な態度で謝罪をする
「クレームや苦情になるということは、だいたいこちらに非があるはずです。そうなると謝罪しなくてはなりません。」と書かれていますが、コール(コンタクト・カスタマ―)センター業務では、必ずしもそうとばかりはいえませんが、仮にお客様の勘違いにしろ、感情を荒げられている際の対応は不変でしょう。

(2) お客様の申し出は、感情を抑え素直に聞く
「お客様の感情につられてはいけません。それをまともに受けると、表情がどうしても強ばり・・・」とあります。これに関しては、(第21回)でも取り上げた“笑声(えごえ)”の逆ですからわかりやすいですね。筆者は、その防止策として素直に聞くことをすすめ、相手の感情の収まりを待つのだと。

(3) 正確にメモを取る、(4)説明は、あわてず冷静に考えてする
この項で参考になるのは「復唱のさいも、謝罪すべきところでは、謝罪の言葉を挟みながら確認すると、だいぶ和らいだ感情になります。」の箇所。さすがプロの解説と敬服です。正確にメモを取ることは基本中の基本ですが、正確に書こうとすることで冷静さを取り戻し、説明も慌てずにできるようになります。

(5)現場を確認する、(6)対応は迅速にする
(5)現場を確認する―は、営業担当もしくはエスカレーション先に置き換えるとセンター業務にも当てはまりそうですね。(6)対応は迅速にする―には、
「迅速が一番ですが、常に正確な対応、そして、その問題の適切な解決策を持って臨むことが基本・・・」とあります。緊急時ほどこの点留意したいですね。

(7)一般の苦情を、クレーマーに仕立てない、(8)苦情対応は平等に
「対応が長引くことを避けるため、または、知識の不足を隠すために、つい過剰な反応をしてしまいます。」と書かれていますが、この部分は丸々センター業務にも該当します。(8)の「平等」には、超優良客を擁する百貨店を例にとっての話ですから、センター業務ではさらに慎重な気遣いが必要でしょう。

以上、簡単に私見をまじえながら内容の一部を紹介しましたが、同書のコラムに〈相手が名前・住所を言わない場合〉の対処法が書かれていますので、一例としてこれを紹介して今回は終わりにいたします。
★相手が名前・住所を言わない場合
「お名前をお聞きしないことには対応が出来かねます」と言います。
「なんで名前が必要なんだ」と言われた場合は、
「ハイ、記録を残さないと、上司への報告ができません。ぜひお名前とご住所をお聞かせ下さい。おねがいします」と言いましょう。
●お客様は、住所・氏名を名乗ることによって冷静になり、確りした話をしていただけて、こちらの対応も十分取れるようになります。 

2017年8月25日(金) 超実践型 『クレーム電話対応力強化研修』~クレーム客6つの心理と現場対応10ヶ条~(株式会社アークブレイン様主催公開セミナー) 

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2009年6月 6日 (土)

クレーム対応(1)

前回「お礼と謝罪」についてと予告しましたが、いろいろ調べるうちに、いまさらながらその奥行きの深さに気付き(我ながらお恥ずかしい限り)、このテーマを4~5回ほど連載することにしました。内容的には、次回「クレームへの対応」、その後「思い遣る心について」「お礼の言葉」を取り上げる予定です。

「日本ではまず謝るべきだった」
旧聞ながら、2008年8月25日号『日経ビジネス』の「敗軍の将、兵を語る」に、2006年6月東京の港区区民住宅で起きたエレベーター死亡事故に関するメーカー(世界第二位)責任者の「日本ではまず謝るべきだった」の記事がありました。ここに「謝罪」の持つ意味合いが凝縮されているように思います。

この二年間、日本でのエレベーター新規受注ゼロに
同社会長のシンドラー氏は「事故後の対応(当初謝罪の言葉が一切なかった)に非難が集まり、ブランドイメージは地に落ちた。」と対応のまずさを振り返っています。“謝罪の言葉”がなくても通用する海外と異なり、日本では責任の所在より、まずは「謝罪」が問題解決のスタートラインの証明のような事例です。

謝罪をしないといけない場面では、お詫びは少しでも早く
お詫びは前例のようにタイミングがずれただけでクレームにつながります。
必要を感じたら素早く対応してください。その際、気を付けたいのは、きちんと「申し訳ございませんでした」「申し訳ありません」を遣うこと。「申し訳ないです」「すみません」「ごめんなさい」は、馴れ馴れしく受け止められ逆効果。

お客さまに誠意を伝えるためのテクニック
「申し訳ございません」だけの繰り返しのお詫びでは事務的に聞こえ、「申し訳ございません、しか言えないのか」とお叱りを受けることもあります。事務的に聞こえないためには、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」「ご不便をおかけして申し訳ございません」と少し言葉を足して、幅をもたせましょう。

「申し訳ございません」のサンドウィッチ手法
有効なあやまり方としてサンドウィッチ手法があります。最初と最後に「申し訳ございません」を遣い、真ん中に相手に取って都合の悪かったことを挟みます。「申し訳ございません。中身が瓶からこぼれていたということでございますね。それは、大変申し訳ございませんでした。お怪我は…」といった具合です。

“謝罪の言葉”は言い方、声の表情で効果が違います。こちらが謝っても相手に伝わらなければお詫びをしたことにはなりません。やはり誠意を持って、申し訳なかったという気持ちを声にのせることが大切です。‘ただ言った’ではなく“どう言った”かが大切なのです。次回は前述通り「クレームへの対応」です。

2017年8月25日(金) 超実践型 『クレーム電話対応力強化研修』~クレーム客6つの心理と現場対応10ヶ条~(株式会社アークブレイン様主催公開セミナー) 

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