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2009年7月25日 (土)

言葉遣い④“感謝”と“謝罪”まとめ(2)

少々学術的なお話になりますが、大変興味深い内容なので、紹介させていただきます。前回、『日本人は簡単に謝る。人とちょっとぶつかると我先に「あ、すみません」。これに対し自分がよそ見していていたのにと中国人が驚いた』と。同じように外国人が不思議がるのが、「感謝」と「謝罪」の使い分けだそうです。

『知ってワクワク ことばの遊び ことばの仕組み』より
外国人が不思議がることの1つに、日本人は、感謝すべきところで謝罪するというのがあります。それは、私たちが何かをもらった時、あるいは親切にされた時、「ありがとう」ではなく、「すみません」と言うことがあるからです。何気なく言っていますが、おかしいといわれれば、確かにおかしい気もします。

日本人の中にも違和感を持っている人がいるらしく、時々新聞を見ていると、『子供のころはみんな「ありがとう」といっていたのに、いつから「すみません」と言うようになってしまったのだろうか』とか、『感謝には素直に「ありがとう」と言いましょう』などの呼びかけが載っていることがあります。

でも、大人が素直に感謝の気持ちを「ありがとう」と言うことは、そんなに簡単ではないでしょう。上記の通り、子供はいつも「ありがとう」です。それが大人になるにつれて、だんだん違和感を覚え、「すみません」と言うようになるのです。それにしても、なぜ日本人は感謝に謝罪表現を使用するのでしょうか。

感謝と謝罪の共通点
まず確認しておきたいことは、私たち日本人が感謝と謝罪を混同しているということではありません。その証拠に、感謝を「すみません」で表わしても、謝罪を「ありがとう」と言ったりしないからです。しかし、感謝と謝罪がまったく異なる行為かと言うと、共通点もあると専門家は指摘しています。

英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、中国語に共通して、どちらの行為(感謝すべき・謝罪すべき)が行われても、それに対する返答は同じだと。(例)A:Thank you so much⇔B:That’s all right  A:Excuse me please  ⇔B:That’s all right 返答が同じであるということは、何らかの共通点が…。

別の専門家は、感謝と謝罪は話し相手と聞き手が何らかの形で関与した一時的な世界の乱れを再調整するものだと説明。贈り物をもらったことにより、あるいは失礼なことをしでかしたことにより、乱してしまった世界を立て直し、自分も相手も普段通りの生活に戻ることを可能にするのが感謝であり謝罪であると。

感謝が謝罪に変わる時
感謝と謝罪には共通点がありますが、しかし、それが感謝の際に「すみません」が使われる理由ではないでしょう。そのような使用が可能になるのには「状況の転換」が必要であり、話し相手の快適状況(感謝する状況)が、聞き手の不快状況(謝罪すべき状況)に転化された時に、「すみません」が使用されると。

例えば、ハンカチを拾ってもらって感謝するはずが、ハンカチを落としさえしなければ相手に拾わせなくて済んだことを謝罪するという図式です。私達日本人にはよく分かる説明ですが、ある外国人は、日本人はなんて自己中心的なものの考え方をするのだと、あきれてしまいました。

感謝対象になる行為の負担度と感謝表現比率の関係
専門家による調査(1991年)では、(ア)負担度が低い行為ほど感謝表現が使用される比率が高く、反対に負担度が高い行為ほど感謝表現の使用率が低くなる。 (イ)同じ負担度の行為では、「親(近い)」の関係にある人には感謝表現になりやすく、「疎(遠い)」の関係の人には感謝表現になりにくい。

以上で長い引用を終了します。今回は、私の専門領域をはるかに逸脱しておりますので、要約を極力避け、原文に出来る限り近い形で掲載させていただきました。これまで担当した研修の場で、一般論として語ってきたことに理論的裏付けができ、受講生の悩みにもこれまで以上に対応できるような気がします。

中でも、クレームに対し、まずは「お電話(お知らせ)いただきまして、ありがとうございました」と、感謝の言葉で応対するよう指導してまいりましたが、抵抗を感じる人もいました。この本を読み学んだことで、その背景(負担度の高い疎に対しては謝罪しか念頭にない)が、よく理解できた気がします。

さて、次回は、本筋に戻って、「馴れ馴れしい言葉に注意」を書く予定です。

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