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2009年8月29日 (土)

マナー関連近刊より抜粋編(2)

北原保雄著『言葉の化粧』の続編です。前回、自身の講師体験をところどころ挟みましたが、今回は最初に触れます。5項目に二重敬語の「おっしゃられる」がありますが、これと同じくらい間違うのが、「ご覧になられる」「お聞きになられる」など、「~になる」を「~になられる」と、ていねい過ぎる言い方です。併せ、注意したいですね。

OKということを伝える際に「けっこうです」は・・・
たとえば電話で「○○の書類を郵送でなくFAXでお送りしてもよろしいでしょうか?」 という相手の問いに、「けっこうです」と答えたら、どうでしょう。「(書類を)送ってもらう必要なない」という意味に受け取る人もいれば、「(FAXでかまわないから)送ってほしい」という意味に受け取る人も出てきて、誤解を招く結果になりかねません。

「けっこう」は、基本的には「それで満足」を表す
相手の提案や行為を満足だと判断すれば了承の意味で使い、現状を満足だと判断すれば謝絶の意味で使います。便利な言葉ですが、電話では特に誤解を招きやすいので、使うのは避けたほうがよいでしょう。了承の意味を表したいときは「かまいません」または「さしつかえありません」と答えるのが、誤解されることもなくわかりやすい。

「全然、大丈夫です」は間違い、「全く問題ありません」に
「全く」は、「全く問題ない」のように、あとに打ち消しを伴う場合にも、「全く素晴らしい」のように、あとに肯定が続く場合にも使えます。しかし、「全然」は、打ち消しを伴う場合にしか使いません。「全く」と「全然」がよく似ており、「全然、大丈夫です」のように、あとに肯定を伴う場合にも使う人がいますが、やはりこれは俗語的な使われ方です。

「よろしくどうぞ」は正しいか?
テレビなど放送業界の用語の影響でしょうか。「どうぞよろしく」を逆転させて、「よろしくどうぞ」などという人が増えています。相手の方との親しさにもよりますが、やはりくずした言葉づかいですから、けじめがない印象で、感心しません。取引先の方との別れ際のあいさつなど、オフィシャルな場では、「どうぞよろしくお願いします」が適切です。

「おっしゃられる」 は 「おっしゃる」が正しい!
トーク番組などでよく耳にしますが、「おっしゃられる」は、「おっしゃる」という尊敬語に、さらに尊敬を表す助動詞の「れる」をつけたもので、敬語が二重に使われている二重敬語です。また、「おっしゃってくれた」は、「おっしゃる」という敬語を使いながら、「くれる」のほうを敬語にしないから、敬語の使い方が不統一でバランスが悪いのです。

「存じ上げております」 は 「存じております」が正しい!
「存ずる」は「知る」「思う」の謙譲語です。「知っております」「思っております」だけでも敬語表現になりますが、少しぶっきらぼうに感じられる場合は「知る」「思う」を謙譲語の「存ずる」にかえて「存じております」といえば、ていねいさが増します。これにさらに謙譲語の「上げる」をつけて、「存じ上げております」というと、今度はやりすぎです。

今回「全然、大丈夫」について触れていますが、面白いもので『ビジネス敬語の基本とコツ』という本の「知っておきたいホントの使い方」コーナーが取り上げた5つ言葉に「大丈夫」と「全然」が含まれていました。参考までに記すと、他は「けれども」「とんでもございません」「ありがとうございます」です。

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