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2009年10月

2009年10月31日 (土)

「セクシャル・ハラスメント」(2)

今回は、セクシャル・ハラスメントが日本でどの程度問題化しているかを、厚生労働省の報告書から見てみます。意外にも女性ばかりではなく、男性にも同様の悩みがあることが浮き彫りになっています。さらに懸念は、この問題に対する近年の相談件数の増加傾向です。そうした問題意識を持ってご覧いただければと思います。

都道府県労働局雇用均等室に寄せられた相談より
厚生労働省が2009年5月に公表した「平成20年度男女雇用機会均等法の施行状況の結果」によると、都道府県労働局雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談は、25,478件で、男女労働者及び事業主のいずれも、セクシャル・ハラスメントが最も多かったとのこと。主な項目とセクシャル・ハラスメント内訳は以下の通り。

セクシャル・ハラスメントの相談がダントツ!
相談者相談内容(5%上)とセクシャル・ハラスメント属性別件数及び全体比率
セクシャル・ハラスメント13,529件(全体53.1%)
 女性労働者8,140件(63.7%)
 男性労働者621件(64.4%)
 事業主2,378件(38.7%)
婚姻、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱い3,710件(14.6%)
母性健康管理3,600件(14.1%)
募集・採用1,392件(5.5%)
なお、詳細は、下記URLで確認できます。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/05/h0529-2.html

女性労働者、男性労働者共、60%台の高率
上記相談内訳で注目されるのは、セクシャル・ハラスメントの比率が圧倒的に高いことでしょう。同時に、数は大きく異なるものの女性労働者と男性労働者の全体比率がほぼ同じ60%台だということです。女性同様、この問題に関しては男性側も悩んでいる実態が明らかになったといえそうです。

気になるセクシャル・ハラスメントの相談増加傾向
もうひとつ、気になる点を紹介しますと、毎年実施されているこの調査で、セクシャル・ハラスメントに関する全体比率が徐々に切りあがっていることです。
平成18年 相談合計26,684件、セクシャル・ハラスメント9,281件(34.8%)
平成19年 相談合計29,110件、セクシャル・ハラスメント12,972件(44.6%)
平成20年 相談合計25,478件、セクシャル・ハラスメント13,747件(54.0%)

セクシャル・ハラスメントに対する行政の取り組み姿勢は前進しているようです。関係機関への相談件数の増加が、そうした動きに啓発されてのものなら歓迎ですが、もし、問題が複雑化しているのだとすると…。その懸念は、セクシャル・ハラスメントの判断基準が職場によって異なること。次回はその定義に触れます。

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2009年10月24日 (土)

「セクシャル・ハラスメント」(1)

今回から、セクシャル・ハラスメントについて書きます。直近でも大手企業の子会社で、まさに「セクハラ」を絵にかいたような事件がありました(詳しくは新聞報道を参照ください)。コールセンターでのセクハラ事件は昨年7月に提訴された、有力コンサルタント企業によるものがあり、潜在する被害はかなりあるでしょう。

コール(コンタクト・カスタマ―)センターは、自他共に認める女性の職場ですが、立場の弱いパートや契約社員・派遣スタッフが、男性と協働する場でもあります。モラルの高いセンターがある一方、目に余る行為が黙視されているケースも多いと聞きます。センター就業者の自衛のために、その歴史からひも解きます。

セクシャル・ハラスメントの歴史 
『疑問スッキリ! セクハラ相談の基本と実際』より
「セクシャル・ハラスメント」は1970年代にアメリカの女性運動の中で生まれた言葉だと言われている。それまで多くの女性労働者が職場において悩み、ストレスを抱え、場合によっては職を追われることにもなった共通の「働きづらさ」に名前が付けられた。女性が働くためには我慢しなければならないことだ、とあきらめてきたことに対して、それは人権侵害であり、告発して戦っていく必要があるものなのだとわかったのだ。
この後、アメリカの女性たちは、セクハラを訴える裁判を次々起こす。その成果として、1980年にはEEOC(雇用機会均等員会)にセクハラのガイドラインが盛り込まれた。

日本にセクハラという言葉が紹介されたのは
1980年代の後半にアメリカのハンドブックを翻訳した『日本語版 性的いやがらせをやめさせるためのハンドブック』による。これを翻訳した「働くことと性差別を考える三多摩の会」の女性たちは、セクシャル・ハラスメント1万人アンケートを行い、本にまとめて出版。そして、1989年にセクシャル・ハラスメントに関する会社の責任を問う日本で初めての裁判が福岡で提訴された。この裁判は全国的に注目され、公判には毎回全国から支援者が傍聴に詰めかけた。1992年に原告が勝訴すると、相次いでセクハラ裁判が提訴されるなど大きな影響を与えた。

TVのセクハラ裁判公聴会中継や映画『スタンドアップ』が
一方、アメリカでは、1991年に連邦最高裁判判事候補のクラレンス・トーマスをかつての部下アニタ・ヒル教授がセクハラで告発する。それを証言した公聴会が全米にTVで中継され、多くの女性たちにセクハラを告発する勇気を与えた。映画『スタンドアップ』のモデルにもなった鉱山エベレス・マインズでのセクハラ裁判にも、それは影響している。1991年には、エレベス・マインズ事件の裁判で環境型セクシャル・ハラスメント(※)の集団訴訟が認められる。その影響もあって、1996年に米国三菱自動車工場をEECOが提訴、3千4百万ドルという高額の和解金が日本に大きなショックを与えた。

※セクハラには対価型と環境型があるとされます。意に反する性的言動について、拒絶したり抗議したことをもって不利益な処遇がなされるような場合を、「対価型セクハラ」と言います。そのような報復的な仕打ちはないが、意に反する性的言動により職場環境が悪化している場合を「環境型セクハラ」と言います。『セクハラ・DVの法律相談(改訂版)』より

1997年『男女雇用機会均等法』に「事業主のセクハラ防止の配慮義務」
アメリカのこういった動きも影響して、1997年に男女雇用機会均等法に事業主のセクハラ防止の配慮義務が盛り込まれた。1999年には大阪府現職知事だった横山ノックのセクハラ事件が起こり、2000年にはセクハラによって知事を辞職、刑事裁判でも有罪判決を受けている。
2007年度施行の改正男女雇用機会均等法では、配慮義務が措置義務規定に強化され、セクハラは人権侵害であり、加害者やそれを放置した会社・大学は厳しく責任を問われるのだ、という認識が広がっている。

ここまで読んでくると、正に女の闘いの歴史ですね。日本でも1997年に男女雇用機会均等法に事業主のセクハラ防止の配慮義務が盛り込まれ、10年後には、事業主の配慮義務が措置義務規定に強化されたのは前進です。次回は、セクシャル・ハラスメントの実態を、厚生労働省の資料から検証してみることにいたします。

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2009年10月17日 (土)

「情報管理上のヒューマンエラー」(2)

ある程度経験を積んだセンターでは、前回紹介したヒューマンエラーの18類例の大半は経験済みだと思います。そして、対策がきちんとなされ、確実に実行されているセンターは高い評価を得ていることでしょう。しかし、対処療法的にその場を取り繕い、本質から目を背けているセンターも多いように見受けられます。

センター業務にありがちな【封入ミス】【仕分ミス】【送信ミス】から
【封入ミス】
〈ヒューマンエラーの事例〉
●パートで働くWさんは、封筒へ書類を入れる作業中、内容と封筒の宛名の整合確認を怠り、内容を取り違えて封入してしまった。
〈ヒューマンエラーの影響〉
●個人情報等の流出
〈対策例〉
◆封をする前に再度確認する。◆2人でダブルチェックする。◆窓あき封筒を採用する。

【仕分ミス】
〈ヒューマンエラーの事例〉
●A社は、通販の商品発送業務を行っており、毎日数多くの仕分け作業が発生している。たまたま、仕分けコードの記入が乱雑なものがあったため、つい読み間違えて別の発送場所へ置いてしまった。
〈ヒューマンエラーの影響〉
●A社では発送先別に仕分けをし、発送場所に置かれたものはそのまま配送車に積まれるため、配達先不明で戻ることになった。本来の届け先には約束の日時に届かず信頼を失う結果になった。
〈対策例〉
◆配送車に積み込むときに配送先リストの件数と現物の件数を確認することにより余分なものを積まないようにする。

【送信ミス】
〈ヒューマンエラーの事例〉
●販売会社の事務のF子さんが、宛先のFAX番号を間違えて請求書を別の顧客へ送信してしまった。請求書には、顧客名・購入製品・数量・金額、振込先口座番号などが記載されていた。
〈ヒューマンエラーの影響〉
●通常送信時には送信先ミスには気づかず、誤送信先からのクレームで気がつくことが多いため、誤送信先への謝罪が必要となる。さらに、本来の送信先にどう対応するかも問題である。購入情報が別の顧客に漏れることが、状況によっては顧客情報の漏えいとして損害賠償になる恐れもある。
〈対策例〉
◆FAX送信時に二人体制で確認・送信する。◆宛先を短縮化する。

いずれも、こんなことと思いがちです。しかし、どのセンターでも日常茶飯事のように問題は発生しています。システム上の問題もさることながら、私の経験では、ヒューマンエラーは担当者の精神状態や体調面が芳しくないときに起こりがちです。そのようなときは細心の注意を払い、予防に努めるようにいたしましょう。

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2009年10月10日 (土)

「情報管理上のヒューマンエラー」(1)

最近担当した法人向け「マナー研修」で、【情報管理】や【セクシャル・ハラスメント】についても時間を割いてほしいとのご要望をいただきました。資料をまとめる段階で、これらのことはコール(コンタクト・カスタマー)センターにも、そのまま当てはまることに気づきましたので、何回かに分けて、その一部を紹介することにいたします。

システム監査学会HP資料より
同学会の情報セキュリティ研究プロジェクトが2007年9月にまとめた大変立派な資料を、有難いことにWeb上で見ることができます。その上、出所を明確にすれば、利用もOKということですので、ぜひ皆さんも、大いにご活用ください。時間のない方は、以下に簡単に抜粋しますので、参考にしてください。

ヒューマンエラーを類例別に分けると、こんなにも・・・
【放置】 【置き忘れ】 【紛失】 【処理忘れ、処理漏れ、処理遅れ】 【破損】 【持ち込み】 【入力ミス】 【操作ミス】 【表示ミス】 【発表・発話ミス】 【修正・加工ミス】 【配付ミス】 【仕分ミス】 【保管ミス】 【消去ミス】 【廃棄ミス】 【送信ミス】 【送付ミス】

そのものずばり、コールセンター事例
事例が一覧表になり18類例の60ケースが紹介されています。以下は、そのものずばり「コールセンター事例」ですが、Web上の一覧表に準じて〈ヒューマンエラーの事例〉〈ヒューマンエラーの影響〉〈対策例〉の順で記すことにします。

【処理忘れ、処理漏れ、処理遅れ】
〈ヒューマンエラーの事例〉
●コールセンターに勤める派遣社員のLさんは、お客さまからの退会の申告を電話で受け付けたが、退会手続処理を忘れてしまった。

〈ヒューマンエラーの影響〉
●退会扱いにならず、翌月も会費請求を発行してしまった。そのお客さまはクレーマだったために、お詫びなどを含んだアフターケアに3ヵ月も要し、業務に多大な影響を及ぼした。

〈対策例〉
◆電話受付を止めて、Webからの申請か、書面による手続きへ変更する。
◆電話受付内容を記入する書類を整備する。
◆退会手続きは他の部門で担当するようにする。

事例にあるような、「手続きを忘れる」ことは、あってはならないことですが、現実問題として、ヒューマンエラーの根絶は不可能です。問題は、同じ間違いを二度起こさないこと。インハウスの場合と、受託業務を行うテレマ会社のセンターでは対処法は異なるでしょうが、問題に遭遇したらぜひ対策例を参考にしてください。

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2009年10月 3日 (土)

クレーム関連近刊より抜粋編(4)

前回では、食中毒の“クレーム”を電話で受けることの難しさ、確認すべきことがどれほどたくさんあるかを、ご覧いただきました。今回は一歩進めて、店側の立場も考慮した【従業員対応例2】と【責任者対応例】を紹介いたします。前回と読み比べながら、立場の違いによる、あるべき対応を学んでいただければと思います。

【従業員対応例2】
店員「お客様、恐れ入りますが至急お調べ致しますので、お客様のお電話番号、ご住所、お名前、当店のレシート番号をお願いします」
お客「あんな、こんなときにレシートだ、電話だって…謝るのが先でしょ!」
店員「はい、そうですが、もし万一のことなら、急いで事実を調べなければなりません」

最初の対応例は、お客の気持ちをくみ取りながらの丁寧な対応でしたが、非常に時間がかかります。通常の業務に支障をきたす恐れもあります。また、もし仮に店が原因の下痢なら、至急調べて対応しなければなりません。食中毒が疑われるクレームの対応は、お客の安全=店の安全を、より早くキープすることが最大の目的になるはずです。

この対応例は、最低限の情報を聞き、後ほど連絡するという最短ルートを選択しています。もちろんいい方はあるでしょうが、誠意をもって、真剣に対応するには、お客からの情報を求めるのは当然です。もしお客が本当に心配していて、店側の「安全」への真剣さが伝われば、このスピード対応にも応じてくれるでしょう。

【責任者対応例】
店長「○○様のお電話でしょうか。わたくし店長の△△と申します。ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。いま、お話をしてもよろしいでしょうか」
お客「ほんとうに遅いわ」
店長「すみません。先ほどまで確認をしておりました。早速ですがお子様が体調不良だと」
お客「なによ、今頃聞かれても」
店長「病院には行かれたのでしょうか?」
お客「いえ、今はかなり落ち着いたから、行かなくて済みそうだけど」
店長「それは何よりです。ご心配はごもっともでございます」

事実確認をした後、折り返しでクレーム客への電話連絡をした際の対応です。ハンバーグを食べたほかのお客から体調不良の訴えがなかった点、クレーム客が気持ちの高ぶりが冷めて冷静になってくれた点、子供の下痢の症状が回復している点から、店による食中毒の心配はないと判断できました。
ただ、クレームが解決したからといって、そこで終わらせてはもったいない。子供を労わる共感の気持ちを伝えることで、お客の不信感の回復に努めましょう。

■以上は大事に至らなかった事例ですので、保健所が絡みませんが、最悪のことを考えれば、前回の【従業員事例1】にある通り届け出に必要な事項の詳細取材、そして今回例では架電者が嫌がる事実確認は避けて通れません。そのような場合、電話応対者にもっとも大切にして欲しいのが、本文の最後にもあった“共感の気持ち”です。

2017年11月9日(木) 土下座事件に代表される増殖するクレーマーにも決して負けない!『優良顧客へ導くクレーム対応力アップの実践』~クレームを言う心理とタイプ別対応法~ (株式会社アークブレイン様主催公開セミナー) 

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