「セクシャル・ハラスメント」(4)
民間企業就業者は、男女雇用機会均等法に盛られた「セクシャル・ハラスメントに関する指針〔H19.4.1施行〕」の適用を受けることになりますが、国家公務員の一般職を対象にした人事院の「セクシャル・ハラスメントの防止等:規則10-10」の運用例には、セクシャル・ハラスメントの具体例が以下のように記されています。
【問】 セクシャル・ハラスメントになりうる言動とは、具体的にどういうものか。
【答】 セクシャル・ハラスメントになりうる言動としては、相手に対し直接、性的な内容を話題にしたり行動をとる、あるいは第三者を通じうわさを立てたりするなどの性的な関心や欲求に基づくもの、性別により役割を分担すべきとする意識に基づくものがある。具体例をあげると次のようなものがある。
(1) 性的な発言
① 性的な関心、欲求に基づくもの
● スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にする。
● 聞くに堪えない卑わいな冗談を交わす。
● 体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などと言う。
● 性的な経験や性生活について質問する。
● 性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とする。
② 性別により差別しようとする意識等に基づくもの
● 「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」「女性は職場の花であり さえすればいい」などと発言する。
● 「男の子、女の子」「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼びかけ方をする。
(2)性的な行動
①性的な関心、欲求に基づくもの
● ヌードポスター等を職場に貼る。
● 雑誌等の卑わいな写真、記事等をわざと見せたり、読んだりする。
● カラダを執拗に眺め回す。
● 食事やデートにしつこく誘う。
● 性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送る。
● 身体に不必要に接触する。
● 浴室や更衣室をのぞき見する。
● 性的な関係を強要する。
② 性別により差別しようとする意識等に基づくもの
● 女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要する。
● カラオケでのデュエットを強要する。
● 酒席で上司の隣に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要する。
以上が、人事院が平成10年度に制定施行した「セクシャル・ハラスメントの防止等:規則10-10」運用例です。これを、男女雇用機会均等法と比較するために、均等法に盛られた「セクシャル・ハラスメントに関する指針〔H19.4.1施行〕を下記します。人事院の方が、より具体的であることがお分かりいただけるでしょう。
男女雇用機会均等方における「性的な言動」とは
性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。
このシリーズの最初(43回)にも書きましたが、コール(コンタクト・カスタマ―)センターは、自他共に認める女性の職場です。「報酬型セクシャル・ハラスメント」も困ったものですが、どちらかといえば「環境型セクシャル・ハラスメント」に対する警戒の方がより重要でしょう。そのような懸念のある職場では、ぜひ皆さんでスクラムを組み、毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。
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