文末表現を崩さない・途中止め(2)
前回は、「途中止め」の〈体言止め〉を取り上げましたが、今回は〈で止め〉「~ですので」、〈が止め〉「~なんですが」、〈も止め〉「~なんですけども」についてです。最後を省略するこの文末のゆるみは、その続きを相手に振ったようにも受け止められたり、会話が途切れるばかりか心証を害することにもなります。
最後まで言わずに「途中で終わらせてしまう」〈で止め〉
「~ということで」の例で、〈です〉〈ます〉を考えてみましょう。これは
→「~ということですね」または
「~ということでございますね」と言うと数段丁寧になります。また、お聞きした内容の「確認」の意味が含まれるので、行き違いを防ぐこともできます。
清水義範著『大人のための文章教室』(講談社現代新書)より
著名な作家でもある著者が、〈です・ます〉の使い方について、次のように書いていらっしゃいますので、参考にしてください。
「普通には、〈です・ます〉体のほうが当たりが柔らかで、丁寧な表現だと受け止められている。〈です・ます〉は敬語表現だから、相手への気遣いや遠慮のある言い方になるのだ。」
「その後の対応」が必要となる可能性が高い〈も止め〉
「○○は、まだ戻っておりませんけれども」
何度もかけ直していただいている場合は、その間隔がある程度、相手の緊急度の目安となります。前の電話も同一人が30分以内に受けているのなら
→「何度もお電話を頂戴し申し訳ございません。○○はまだ戻っておりませんが、お急ぎでしょうか?」と、相手に対する配慮を示す必要があります。
その上で、緊急度に応じ次のような申し出をする必要があるでしょう。①名指し人に連絡を取る。②ご用件を承る。③戻り次第折テルのメモを残す。等々。
「期待」を抱かせてしまう中途半端な〈が止め〉(も止め)
〈が止め〉〈も止め〉については、拒否の姿勢をなるべく婉曲に伝えるため意図して使うこともあり、使い分けが難しいところもありますが、対応が不可の下記のようなケースでは誤解を招きやすいので注意しましょう。
「○○の受付は終了いたしましたが」「・・・は終了しましたけれども」
このような応対だと、相手に「でも、なんとかなる?」と期待を抱かせることになりかねませんので、「○○の受け付けは終了いたしました」と言い切りましょう。
清水先生の『大人のための文章読本』より引用させていただいた〈です・ます〉のお話は分かりやすかったと思います。文末をゆるめないためには、文章を意識して語ることが大切です。親しい間柄で頻繁に交わされるメールも、きちんと綴ることで文章感覚が培われますので、なるべく丁寧な表現を心掛けたいですね。
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