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2009年11月

2009年11月28日 (土)

文末表現を崩さない・途中止め(2)

前回は、「途中止め」の〈体言止め〉を取り上げましたが、今回は〈で止め〉「~ですので」、〈が止め〉「~なんですが」、〈も止め〉「~なんですけども」についてです。最後を省略するこの文末のゆるみは、その続きを相手に振ったようにも受け止められたり、会話が途切れるばかりか心証を害することにもなります。

最後まで言わずに「途中で終わらせてしまう」〈で止め〉
「~ということで」の例で、〈です〉〈ます〉を考えてみましょう。これは
→「~ということですね」または
「~ということでございますね」と言うと数段丁寧になります。また、お聞きした内容の「確認」の意味が含まれるので、行き違いを防ぐこともできます。

清水義範著『大人のための文章教室』(講談社現代新書)より
著名な作家でもある著者が、〈です・ます〉の使い方について、次のように書いていらっしゃいますので、参考にしてください。
「普通には、〈です・ます〉体のほうが当たりが柔らかで、丁寧な表現だと受け止められている。〈です・ます〉は敬語表現だから、相手への気遣いや遠慮のある言い方になるのだ。」 

「その後の対応」が必要となる可能性が高い〈も止め〉
「○○は、まだ戻っておりませんけれども」
何度もかけ直していただいている場合は、その間隔がある程度、相手の緊急度の目安となります。前の電話も同一人が30分以内に受けているのなら
→「何度もお電話を頂戴し申し訳ございません。○○はまだ戻っておりませんが、お急ぎでしょうか?」と、相手に対する配慮を示す必要があります。
その上で、緊急度に応じ次のような申し出をする必要があるでしょう。①名指し人に連絡を取る。②ご用件を承る。③戻り次第折テルのメモを残す。等々。

「期待」を抱かせてしまう中途半端な〈が止め〉(も止め)
〈が止め〉〈も止め〉については、拒否の姿勢をなるべく婉曲に伝えるため意図して使うこともあり、使い分けが難しいところもありますが、対応が不可の下記のようなケースでは誤解を招きやすいので注意しましょう。
「○○の受付は終了いたしましたが」「・・・は終了しましたけれども」
このような応対だと、相手に「でも、なんとかなる?」と期待を抱かせることになりかねませんので、「○○の受け付けは終了いたしました」と言い切りましょう。

清水先生の『大人のための文章読本』より引用させていただいた〈です・ます〉のお話は分かりやすかったと思います。文末をゆるめないためには、文章を意識して語ることが大切です。親しい間柄で頻繁に交わされるメールも、きちんと綴ることで文章感覚が培われますので、なるべく丁寧な表現を心掛けたいですね。

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2009年11月21日 (土)

文末表現を崩さない・途中止め(1)

今回から、久しぶりに再び「電話応対技術編」です。コール(コンタクト・カスタマー)センターの電話応対研修で実感することですが、文末に「けじめをつけて話す」ことができない人が多いようです。代表的な例が「途中止め」で、これには〈体言止め〉及び〈で止め〉〈が止め〉〈も止め〉があります。今回は文学作品の表現を借りて〈体言止め〉と読点〈、〉について書きます。

文学では感動を与える〈体言止め〉ですが・・・
今年(2009年)は太宰治の生誕100年で盛り上がりましたが、彼の代表作である『人間失格』の最後の方に、この文章(一行目が体言止め)があります。
「人間、失格。
もはや、自分は、完全に、人間ではなくなりました。」

「感情を伝えきれない言葉」は電話応対ではタブー
「体言(名詞)止めは言葉では表現しきれない感情を伝える手法として用いられますが、本来は名詞の後に何らかの記述が続くものを、あえて省略し、感極まったという気持ちを投影させる技法です」(中村明著『センスをみがく文章上達事典』より)。電話応対では、この使い方を誤りクレームに発展させてしまうことがあります。

マスコミ報道が〈体言止め〉表現を誤解させる一面も
2002年7月太陽企画出版刊『電話王の話す技術・聞く技術』斎藤ますみ著に以下の記述があります。
「たとえば、『稲葉様でいらっしゃいますね』といわず、『あ、稲葉様』で終わってしまう〈体言止め〉もその一つで、お客様に対して丁寧さに欠ける印象になります。(中略)テレビや雑誌のインタビューなどでは、こういったスタイルが多く見られます。時間や紙面に制限がある中で、より多くの情報を伝えたいため、できる限り省いてもいい言葉はカットし、本題のみが浮かび上がるようにしているのです。
つまり、そこには、インタビューされる人よりも、視聴者や読者を〝お客様〟とする考え方があります。第三者的立場の人がいる場合なので〈途中止め〉が許される、
例外的なケースといえます。」

お客様から「電話番号」「名前」をお聞きする応対例
「お電話番号は 0000‐0000、それでは~」と、なりがちですが、
→「お電話番号は 0000‐0000でございますね(ですね)、それでは~」
「お名前は○○ △△様、それでは~」と、してしまいそうですが、
→「お名前は○○ △△様でいらっしゃいますね、(ですね)それでは~」と、電話番号や氏名を復唱するときは、最後までしっかりと話しましょう。

不用意な読点〈、〉は会話を途切れさせる
〈体言止め〉ほどではありませんが、会話の最後が不用意に読点〈、〉の場合
会話が途切れ、お客様に不快な印象を残すことがあります。『人間失格』の二行目は最初の9文字に読点〈、〉3個です。目で見れば感動も伝わるでしょうが、これを耳で読まされたら、理解できないばかりか、不快を感ずるかもしれません。

今回、木の葉のブログとしては格調高く、太宰治の代表作に素材を求めました。「書く文章」と「話す文章」の違いを知り、併せ、真似てはいけないところを示すことで、電話応対における文末表現の大切さを解説しようとの試みでしたが、背伸びした分、少々消化不良気味になってしまった感は否めませんね。次回は「途中止め」〈で止め〉〈が止め〉〈も止め〉について具体的に書きます。

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2009年11月14日 (土)

「セクシャル・ハラスメント」(4)

民間企業就業者は、男女雇用機会均等法に盛られた「セクシャル・ハラスメントに関する指針〔H19.4.1施行〕」の適用を受けることになりますが、国家公務員の一般職を対象にした人事院の「セクシャル・ハラスメントの防止等:規則10-10」の運用例には、セクシャル・ハラスメントの具体例が以下のように記されています。

【問】 セクシャル・ハラスメントになりうる言動とは、具体的にどういうものか
【答】 セクシャル・ハラスメントになりうる言動としては、相手に対し直接、性的な内容を話題にしたり行動をとる、あるいは第三者を通じうわさを立てたりするなどの性的な関心や欲求に基づくもの、性別により役割を分担すべきとする意識に基づくものがある。具体例をあげると次のようなものがある。

(1) 性的な発言
 ① 性的な関心、欲求に基づくもの
   スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にする。
   聞くに堪えない卑わいな冗談を交わす。
   体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などと言う。
   性的な経験や性生活について質問する。
  ●  性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とする。

 ② 性別により差別しようとする意識等に基づくもの
   「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」「女性は職場の花であり  さえすればいい」などと発言する。
   「男の子、女の子」「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼びかけ方をする。 

(2)性的な行動
 ①性的な関心、欲求に基づくもの
   ヌードポスター等を職場に貼る。
   雑誌等の卑わいな写真、記事等をわざと見せたり、読んだりする。
  ●    カラダを執拗に眺め回す。
   食事やデートにしつこく誘う。
  ●  性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送る。
   身体に不必要に接触する。
   浴室や更衣室をのぞき見する。
   性的な関係を強要する。

 ② 性別により差別しようとする意識等に基づくもの
   女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要する。
   カラオケでのデュエットを強要する。
  ● 酒席で上司の隣に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要する。

以上が、人事院が平成10年度に制定施行した「セクシャル・ハラスメントの防止等:規則10-10」運用例です。これを、男女雇用機会均等法と比較するために、均等法に盛られた「セクシャル・ハラスメントに関する指針〔H19.4.1施行〕を下記します。人事院の方が、より具体的であることがお分かりいただけるでしょう。

男女雇用機会均等方における「性的な言動」とは
性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。

このシリーズの最初(43回)にも書きましたが、コール(コンタクト・カスタマ―)センターは、自他共に認める女性の職場です。「報酬型セクシャル・ハラスメント」も困ったものですが、どちらかといえば「環境型セクシャル・ハラスメント」に対する警戒の方がより重要でしょう。そのような懸念のある職場では、ぜひ皆さんでスクラムを組み、毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。

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2009年11月 7日 (土)

「セクシャル・ハラスメント」(3)

第43回の「環境型セクシャル・ハラスメント」の注釈をつけた『セクハラ・DVの法律相談(改訂版)』の中に、「セクハラの定義」「セクハラの判断基準」「ジェンダーハラスメント」の解説があります。私が手にした本の中では、一番分かりやすく表現してくれているように思いますので、紹介させていただきます。

【セクハラの定義】
セクハラとはどのような行為を言うのですか。
セクハラと言われているものには、違法性のある行為つまり不法行為に該当するケースもあれば、違法とは言えないが雇用管理の面から看過することができないものも、あるいは単にマナーの常識に属する事項などがあり、非常に幅があります。
雇用管理の問題としてのセクハラは、職場における意に反する性的言動ということができます。セクハラは対価型と環境型があるとされます。意に反する性的言動について、拒絶したり抗議したことをもって不利益な処遇がなされるような場合を、「対価型セクハラ」と言います。そのような報復的な仕打ちはないが、意に反する性的言動により職場環境が悪化している場合を「環境型セクハラ」と言います。
男性に対するセクハラもあり得ます。被害者が男性であっても、民法上の不法行為が成立しますし、男女雇用機会均等法上の事業主としての対応も必要です。

【セクハラの判断基準】
具体的にどういう行為がセクハラとされるのですか。何が基準になりますか。
セクハラは「意に反する性的言動」を言うとされますが、何をもって「性的言動」と言うか、どこからが違法か、あるいは雇用管理上の問題として取り上げるべきか、この点について具体的な境界線を引くのは難しい問題です。
しかも、「意に反する」ものなのかどうかという点で、受け止める側の主観に大きく影響されることになります。同じような言動でもAさんにとってはセクハラでなく、Bさんにとってはセクハラということがあり得ます。あるいは、行為者がA君なのかB君なのかによって違うということもあり得ます。
そこで、まず、通常嫌がられるような性的言動なのかどうか、次に、一般的には問題とされないような言動でも、当該状況や受け止める側の事情との関係でどうか、例えば嫌だという意思表示があるかどうか、あるいは明確な意思表示がなくとも、嫌がっていることが分かるかどうか(推察されるような状況であるか)等が基準となると考えます。

【ジェンダーハラスメント】
ジェンダーハラスメントという言葉を聞きますが、どのような場合を指すのですか。またそれらはセクハラとして対応する必要があるのですか。
ジェンダーとは社会的、文化的に作られる性差のことを言います。女は女らしく、男は男らしくという発想に基づく差別や嫌がらせ、女性の役割というものがあるとして性別役割意識に基づく差別や嫌がらせなどがジェンダーハラスメントです。例えば女性にのみお茶くみを命じるような行為がこれに該当します。
ところで男女雇用機会均等法は、セクハラについて事業主の配慮義務を定めていますが、「性的な言動」という縛りをかけています。均等法の通達も、女性にのみお茶くみをさせるなどといった行為は、性的な言動といえなくもないとしてセクハラには該当しないという位置づけです。
性的な言動に当たらないとしても、女性が働きやすい職場という観点から放置しておいてよいかという問題があります。そのような言動の背景に女性労働者を職場の対等なパートナーとしてみていないという意識があるのだとすれば、職場環境の問題として、やはり見直していく必要があると考えます。

(山本注記)ある調査によると、「セクシャル・ハラスメントの加害者に対し処分を行う際に難しかったのは」との問いに対して、「当事者(加害者と被害者)の言い分が違って困った」とする割合が62.8%と非常に高率だったとか。また、「処分の妥当性がわからず困った」26.5%。「処分に対し当事者から不満がでた」11.2%だったそうです。

冒頭に記した通り分かりやすいと思い、紹介させていただきましたが、それでもなかなか分かりにくいというのが正直な感想でしょう。上記の調査結果も、そのことを明示していると思います。次回、定義の分かりやすいもう一つの例として人事院のセクシャル・ハラスメントに関する指針運用例を示しこのシリーズを終了します。

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