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2009年12月

2009年12月26日 (土)

なるべく使いたくない否定・非難・批判語(3)

皆さんのコール(コンタクト・カスタマー)センターにも、きっと色々な「無理」や「難題」を持ち込まれるお客さまがいらっしゃることでしょう。応対者側の常識からすると「嘘だろ」「考えられない」「よく、そんなこと言うよね」等々。なかには、笑ってしまうような〝奇想天外〟なできごともあろうかと。
今回は、前回予告の以下の「英文」解釈から始めます。

欧米のコールセンターでは「お客様はいつも正しい」!?
「お客様はいつも正しい」の英文は「CUSTOMER IS ALWAYS RIGHT」です。テレマーケティング協会のスタッフ研修で活躍中の後藤啓子さんの著書『すごい!電話術』には、「これは相手の話の内容が正しいという意味ではなく、『お客様がそう思っていることが正しい』ということを意味します。」と解説しています。

『すごい!電話術』より「相手の話に共感、受容する」
相手はわざと間違ったことを言っているのではなく、勘違いや今までの経験、ちょっとした行き違いで「そのように思っている」ということです。「お客様は間違っている」という思い込みからスタートすると、「そうではありません」という会話になりますが、「お客様がそう思っていることは正しい」と考えれば、「なぜそのように考えたのだろうか」という気持ちになり、「もっと相手の話を聞こう」という会話になるはずです。この会話が相手の話に共感や受容を表現することになります。

「相手の話を否定、拒否、批判しない」
引き続き『すごい!電話術』より。
「お客様がそう思っていることが正しい」と考えることで、頭から相手を否定したり、拒否することがなくなります。ただし、相手の内容が間違っていることは訂正しておかなくてはなりません。「商品の使い方がわからないのですが」という問い合わせに、「説明書に書いてありますけど」と伝えると、「なぜ説明書を読まないのか」と批判されているように相手は取ってしまいます。「はい、商品の使い方ですね。それでは説明いたします。今お手元に説明書はございますか」と手元で説明書を見てもらいながら、快く説明しましょう。

必ず「YES & BUT 方式」で応対しましょう
まったく見当違いのことを言われたときに、「それは違います」「できません」と言いたいところですが、そこはぐっと言葉を飲み込んで、とにかく「そうですか~」「そうでうね~」と相手の話を聴くようにしましょう。そして、ある程度話を聴いてから、「大変申し訳ございませんが、私どもとしましては・・・」と切り返します。

繰り返し説明する場合は、異なった表現を心掛ける
「ですから」「だから」「なので」「何度も申しあげておりますが」
何度言ってもお客さまにご理解いただけない場合、このような言葉がつい口から出ていませんか? 同じことを繰り返し説明する場合は、言葉を変える必要がありますし、かみくだいた優しい言葉を選んで話す工夫もしてみてください。

前々回、山本志のぶ「木の葉」ブログ が50回となり、私の思い入れから、少々長めのシリーズで3回書いてまいりました「なるべく使いたくない否定・非難・批判語」を今回で終了します。専門用語が飛び交い、読みづらいところがあったと思いますが、お付き合いありがとうございました。次回から正常ベースに戻すとともに、年が改まったところで、新しい分野への取り組みにもチャレンジしたいと思っております。
新年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2009年12月19日 (土)

なるべく使いたくない否定・非難・批判語(2)

今回も、区切りの50回の続きです。あるビジネスセミナーで、アイデアの発想法について質問を受けたことがあります。その際、有力な手法としてA・F・オズボーンが考案したブレーン・ストーミングを簡単に紹介しました。実際にこの手法を使ったことはなくても、名称はご存知の方も多いと思います。

アイデアを生む集団活動の場での否定・非難・批判を考える
ブレーン・ストーミング法(以下BS法)は5~8名(8~15名などいろいろな説あり)のメンバーで行う集団技法です。ちなみにBSという名前は、脳(ブレイン)から発想する対象に向かって強襲する(ストーミング)ことに由来するそうです(これを「精神に異常をきたした患者さんの錯乱状態における発作」の意と解説した本もありますが・・・)。

BS法には議論を進める上で4つの規則があります。1つ目は、とにかくたくさんのアイデアを出すことが大切との観点から「アイデアの質の良し悪しを問わない」。2つ目は、感情を抑圧しないために「人の発言を決して批判しない」。3つ目は、先入観や固定概念にとらわれない「自由な発想をする」。そして4つ目は、メンバーから出てきたアイデアを結び付けたり、アイデアそのものを練り上げる「結合改善を図る」。

この4つの中でもっとも重要視されるのが2つ目の「人の発言を決して批判しない」です。人の脳には、批判されると効率が一気に鈍る傾向があるそうで、普段から自分でも気づいていない潜在したアイデアを、各人から引き出すことを目的にしたBSでは最大の障害になります。

BS法のような利害関係を伴わない集団活動でも、ひとたび発言を批判されると、思うようにアイデアを出すことができなくなってしまいます。これが、対面、もしくは電話での会話であれば、批判を受けた側のダメージは想像をはるかに超えたものになるでしょう。

そして、私たちがさらに理解すべきことは、この手法がビジネスの場はもちろんのこと、日常会話でも「YES」「NO」のはっきりしたアメリカで開発されたということです。否定・非難・批判に慣れているであろう、彼の国の人々に対しての必須ルールなのだということです。

最近出版された塩澤実信著『ベストセラーの風景』(展望社刊)に石原慎太郎氏と盛田昭夫氏との対談『「NO]といえる日本』(光文社刊)のことが書かれていました。この本はバブル経済に浮かれる時期に出版された「日米関係」に関する警告の書だったそうです(なんか、現在にも当てはまりそうな内容ですね)。

その中に、盛田氏のこのような発言があるそうです。
「・・・・日本人というのは儒教の影響でしょうか、人間関係の中で『ノー』ということをはっきり言いにくいバックグラウンドがあります。
上下の序列関係等縦の線では、下は上に『ノー』と言うことが失礼にあたると考える。上も下の『ノー』を生意気と捉えるような雰囲気がまだ根強く、身分制度の残滓(ざんし)のように存在します・・・」。

世界を股にかけた(一年の三分の一は米国にいらっしゃたそうです)偉大な経済人の言葉には説得力がありますね。そして、改めて電話応対での〈否定・非難・批判〉の重さを感じさせられました。

テレマーケティングの先進国(主に欧米)のコールセンターでは「お客様はいつもに正しい(CUSTOMER IS ALWAYS RIGHT)」という言葉がよく語られます(次回で詳述)。
日本でも似たようなニュアンスの言葉を聞くことがありますね。すでに亡くなって久しいかつての大物歌手が「お客様は神様です!」と舞台で見得を切りました。最近では、渡辺謙・樋口可南子共演で映画になった『明日の記憶』の作者でもある荻原浩著『神様からひと言』の中に出てきました。
食品メーカーの〝お客様相談室〟をメイン舞台とした興味深い作品(2006年にTV放映)ですが、この会社の社訓が何と「お客様の声は、神様のひと言」でした。
日米欧、共通して「お客様は神様」のようですので、敵(かな)わないのは当然です。どうか皆さんも、どんなひどいことを言われても、神様(お客さま)に逆らわないように、これからも電話応対頑張ってくださいね。

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2009年12月12日 (土)

なるべく使いたくない否定・非難・批判語(1)

おかげさまで、教育インストラクターとして独立半年後(2008年12月)から始めた“山本志のぶ「木の葉ブログ」”が、今回で50回目となりました。この間の教育インストラクターとしての活動を振り返りながら、私にとっては記念碑的なこの回を、少し趣向を変えて書きたいと思います。よろしくお付き合いください。

コーチングの観点から否定・非難・批判を考える
最近、官庁の役職者を対象にしたコーチングの研修を担当させていただきました。その際、部下指導時のコミュニケーションの場面で語った、「対立のコミュニケーション」と今回のテーマが共通するように思いますので、少し解説してみます。

たとえば、相手の言っていることに〈賛成か、反対か〉の意思を示すシーンを考えてみましょう。どちらの立場をとるにせよ、その行為そのものが自身の判断を下していることになります。

この場合、賛成であれば問題はなさそうですが、それでも独自に判断(相手を評価)したことで対立の構図は生まれてしまいます。ましてや、反対の立場でアドバイスするとなると、その根拠を示さなければならず、それは相手の立場を否定するメッセージとなります。自分が信じられていないと感知した瞬間、相手の心は閉ざされてしまいますので、その後は、思うようなコミュニケーションをとることができなくなってしまうのです。

専門家の言を借りれば「私たちは〈自分と違う選択や考え〉を、無意識で〈間違っている〉〈悪い〉〈不十分〉と傷つけようとします。そんなとき自分の内側の〈発信〉に意識が向かいがちになり、対立のコミュニケーションをするのです。」

この「対立のコミュニケーション」の結果を、相手は自分が〈否定された〉〈非難された〉〈批判された〉と受け止めます。電話応対の基本は、お客様の申し出を伺う立場です。コーチングにあてはめれば、いささか大仰な物言いになりますが、応対者側がお客様のホンネを引き出すコーチの役割となります。となれば、努めて「対立のコミュニケーション」は避けなければなりません。そうならないためには、傾聴のスキルを身につける必要があります。

カウンセリングの観点から否定・非難・批判を考える
伸び盛りの中堅企業の風土調査の依頼があった時のことです。職場が暗いことの原因が、どうも上下間のコミュニケーション不足と判断し、直属の上司に部下の評価を確認してみました。ところが、驚いたことに、まったく部下を評価していなかったのです(一般的には、仕事のできる方、ご自身に自信のある方に多い傾向)。

そこで、再評価のために個人面談をお願いし、その際、留意いただきたいことは ①部下の立場を尊重し対等の立場で(受容)、 ②部下の話を途中で遮らず全部聞く(傾聴)、 ③ただ聞くのではなく、部下の〈立場・気持ち〉になって聴く(共感)。 そして、④意見やアドバイスは必ずその3つを実践してからにする。の4点でした。
実は、①~③はC・Rロジャースのカウンセリング手法からの応用です。彼は、
カウンセリングの3原則を【受容】【共感】【自己一致】としています。概略は以下。
【受容】相手の言うことを批判的な態度ではなく、先入観にとらわれずに受け入れること
【共感】あたかも相手の立場になって自分が感じるように相手の感情や苦しみを感じること
【自己一致】あるべき自分と現在の自分の差がない状態にあろうとすること

上記3原則以外に、C・R・ロジャースの著書によく出てくる言葉に【傾聴】があります。3原則の最初の二つ【受容】【共感】と、【傾聴】、このカウンセリングのキーワドを並べてみて思いつくのは、電話応対、特にクレーム応対時に求められる応対者の基本姿勢と全く同じだということです。
前の「コーチングの観点から否定・非難・批判を考える」で、電話応対者は“コーチする側の立場”に近いと書きましたが、クレーム応対時の応対者には“カウンセラーとしての立場”が求められている、ということになりそうですね。

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2009年12月 5日 (土)

文末表現を崩さない・語尾伸び(3)

前回〈で止め〉〈も止め〉〈が止め〉の「途中止め」について書きましたが、これに関連して、第31回 「電話応対技術編」“馴れ馴れしい言葉”で触れた語尾伸び(※)が、〈で止め〉〈も止め〉〈が止め〉と組み合わされて使われると、聞き手にさらに悪い印象を与えることになりますので、簡単に解説します。
※根本的に改めなければいけないのは語尾伸び「~まーす」でしょう。これは失礼を通り越して軽薄な印象を与えてしまいます。

語尾伸び、言葉不足は相手に突っ込まれやすい
「~ですがー、」「~ですけどもー、」と文章がまだ続くかのような語尾伸びの後、読点〈、〉で終わらせる話し癖の人がかなりいます。場合によっては“馴れ馴れしく”も聞こえ、間延びした感じで絞まりがありません。この話し癖のある人は、その後に続く言葉が不足しているため、相手に突っ込まれやすい傾向があります。

担当者が外出で20分後に戻ってくる場合の応対事例
応対者「申し訳ございません、担当の○○は外出しておりますがー、」ですと、
お客様「急ぐんだけど、連絡取ってくれる」などと切り返され、依頼を受けてしまうことになりかねません。20分後ですから、説明次第で担当者からの「折テル」で了解いただける場合でも、改めて連絡を入れる手間が一つ増えてしまいます。

きちんと状況説明すればご納得いただけるケースは多い
応対者「申し訳ございません、担当の○○は外出しておりますが、30分後には戻ってまいります。戻り次第ご連絡させていただきますが、いかがでしょうか?」と明確に言えば、お客様「まぁ20分なら、いいか」となり、
お客様「はい、ではお願いします」で収まるケースも多いでしょう。
 
〈が止め〉と〈語尾伸び〉で言い訳に聞こえてしまうことが・・・
「~だと思うんですがー、」「~のようなんですがー、」
コール(コンタクト・カスタマー)センターの研修の場では、さすがにこのような表現をする人はほとんどいませんが、実際の電話応対をモニタリングしてみると、長い会話の最後の方や、難しい局面で結構つぶやかれているようです。

クレーム応対の鉄則「言い訳や責任逃れをしない」
「謝罪する」「迅速に対応する」「たらい回しをしない」などのクレーム対応の中でもこの鉄則は、相手が信頼できるかどうかの“判断基準の最上位”にランクされているのではないでしょうか。応対者に「言い訳」や、それに類する気持ちがなかったとしても、お客様にそのように受け止められるリスクは高いといえます。

電話では、こちらの思いと相手の思いが違ったとき、大変苦労することがあります。出来る限り、最後の提案まできちんと話す癖をつけましょう。その際、文章で話すフィーリングを大切にすると、丁寧さが出てきて好感度が増します。皆さんもワンランク上の電話応対を目指して、文章イメージを強化ください。

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