メディア情報ピックアップ③『日経情報ストラテジー』より
「クレーム応対研修」で、受電者がつらい思いばかりではモチベーションが維持できませんので、VOC(ボイス・オブ・カスタマー=顧客の声)が新製品の開発に役立つ事例をテキストに織り込もうと、材料をWebで検索していた折、この記事と出会いました。少し古いですが、前回の第一生命の類似事例ですのでご紹介いたします。
サントリー「VOC(ボイス・オブ・カスタマー=顧客の声)」活動と
社員の1日電話体験実習「お客様視点体感プログラム」
「サントリーが社員に『お客様第一』を徹底するための『VOC(ボイス・オブ・カスタマー=顧客の声)』活動を強化している。主幹部門のお客様コミュニケーション部が中心になって展開しているのが、社内における『お客様視点プロジェクト』。このプロジェクトは、サントリーの主要拠点や研究所などの社員を対象とした社内研修『お客様視点気づき講座』と、顧客からの問い合わせやクレームの電話を受けるコールセンターであるお客様センターでの1日体験実習『お客様視点体感プログラム』の大きく2つから構成されている。」
VOC活動の合言葉は「100-1=0」
「お客様視点気づき講座での合言葉は『100-1=0』であり、これは『たった1人の社員の間違った行動でサントリー全体(100)が否定され、これまで築き上げてきた顧客からの信頼が一瞬にしてゼロになり得る』(亀田敦・お客様コミュニケーション部マーケティングサポートセンター課長)ことを意味している。」
電話応対の体験実習に希望者が殺到
「こうしたお客様視点気づき講座の開催は、サントリー社員の顧客に対する意識を大きく変え始めているようだ。その証拠に、お客様コミュニケーション部が一般社員向けに実施しているお客様センターでの電話応対体験であるお客様視点体感プログラムへの参加希望者が、ここにきて急増している。2005年に部課長を対象に始まったこの体験プログラムを、お客様コミュニケーション部は2006年から一般社員にも解放しているが、昨年は募集定員と同数ほどの参加希望者しか表れなかった。だが2007年は、社内で『キャンセル待ち』が出るほど関心が高まっているという。これまでに合計で約60人がプログラムを体験済みだ。」
1日400件(年間12万件)、そのうちの約15%がクレーム
「サントリーのお客様センターにかかってくる電話の件数は1日に400件(年間12万件)ほどで、『そのうちの約15%がクレームなどの当社へのご指摘だ』(亀田課長)。残りの85%は『どこで商品が買えるのか?』といった問い合わせである。プログラム体験者が電話に出る場合、確率的に言えば、10本のうち1~2本は顧客からのクレームであることも考えられるが、そうした電話であっても顧客と受話器越しに直接向き合うことで、『お客様の心を知ってもらう』(同)。」
「やってみてよかった」との意見が大勢
「一般社員にとって、顧客からの電話に出ることは勇気のいることでもあるが、自ら志願した社員たちの体験後のアンケートでは『やってみてよかった』との意見が大勢を占めているという。亀田課長によれば、『体験者はお客様コミュニケーション部が社内で定期的に発信しているVOCのレポートの読み込みが深くなる』という印象を受けているという。」
サントリーでは、この「VOC(ボイス・オブ・カスタマー=顧客の声)」活動から、2007年には、中国産の食材に対する顧客の不信感を読み取り、お客様コミュニケーション部が素早く反応して、「サントリーの烏龍茶が安全であることをホームページに明記した」などの成果をあげているとのこと。
コール(コンタクト・カスタマー)センターに寄せられたお客様の声から新製品を開発した例には、古くは花王の「アタック」があり、最近の例では、資生堂の「TUBAKI」のコンディショナーのキャップ(以前は丸みを帯びていたが、「中が減ると、出しにくくなる」との声を受けてキャップの上部が平らにされ、容器を逆さに立てておけるようにした)や、小林製薬のトイレ用芳香消臭剤「ブルーレットおくだけ」(「詰め替え時に手が汚れる」というクレームに応じて客様相談センターが改良を提案し、手を汚さずに薬剤を詰め替えられるカップ容器型に結びつけた)。また、同社の「のどぬ~る ぬれマスク」や「ケシミンクリーム」などの新製品も相談室が生み出したヒット商品とのこと。こうした、コールセンターが新製品開発に貢献した事例については、別の機会にまた触れてみたいと思います。
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