プロとして、ハートで語る①マナー研修での〈石川遼選手のこと〉
スポーツ施設の新入社員向けマナー研修の件は前回書いたとおりです。当日の研修では、新入社員の皆さんよりも若い、もしくは同世代の代表選手でもある石川遼選手が、日ごろから「プロとして」周囲に対しどのように「ハートで語りかけている」か、を例にとり、マナーの大切さ、そのことによって得られる評価について話しました。今回は、その内容の一部を紹介させていただきます。
「運転手さん、よろしくお願いします」
ヨネックスと石川遼選手が「3億円」の用具使用契約を結んだことは、ご存知の方も多いと思います。その、「契約を終えて会場を移動する際、ヨネックスが用意したワゴン車に米山勉社長やスタッフたちと一緒に乗り込んだ。すると石川遼だけが、
『運転手さん、よろしくお願いします』
大きな声で挨拶し、頭を下げたという。その配慮、自然に身についた礼儀はとてもいまどきの16歳とは思えなかった。それでまた感服した。」
※文章の「 」部分は、『子供にスポーツをさせるな』(小林信也著、2009年6月中央公論新社刊)より引用させていただきました。以下記述も「 」内は同引用です。
16歳の少年は丹念に一行一行、契約書を読み納得してからサインした
『子供にスポーツをさせるな』の著者・小林信也氏は、ヨネックスの米山勉社長と高校が同窓同期の仲で、米山社長から直接伺ったことを書かれたとのことです。その中の、特にこの部分には、本当に感動されられました。
「契約書にサインを交わすとき、石川遼君は大勢の大人たちが見守っている中で、丹念に一行一行、契約書を読み、しっかりと納得してから契約書にサインをしたんです。その姿が堂々としていて、感心しました。
契約の重さをしっかりと理解している。照れも気負いもない。なすべきことをしっかりと、周りの状況に左右されずにできる。」
僕の好きなヨネックスのロゴが隠れてしまうので・・・
先に書いた、「運転手さん、よろしくお願いします」と石川遼選手が挨拶した車中で交わされた米山社長と、石川遼選手の会話の中に、上記の言葉があります。契約当日、こんなハートのこもった言葉で語りかけられたら、米山社長でなくても、参っちゃいますよね。そして、心底から、石川遼選手のファンになってしまいします。
「車中で、石川遼の方から米山社長に商品開発のアイデアを語ったりもしたという。それは、ゴルフ手袋のこの場所にヨネックスのロゴマークを入れてもらえないかという、石川遼からの要望だった。通常、メーカーのロゴマークは、ゴルフ手袋を着けたとき、しっかりとめるためのストッパーの上側に入れてある。パターを打つとき、ちょうど左の手首のあたりにロゴが見える形だ。通常はそれで問題がない。ところが、石川遼は、
『僕はパターのときに手袋をはずすので、外してポケットに差しこんだときにもしっかりロゴが見えるようにしたいんです。僕の好きなヨネックスのロゴが隠れてしまうので、外した内側のベルクロ(マジックテープの一種:山本注)のところにもマークを入れてもらえませんか』
自分を支えてくれるスポンサー企業、用具メーカーへのここまでの愛情表現の思いやり。初対面の米山勉社長をすっかり石川遼ファンにさせたのは言うまでもない。」
今回紹介させていただいた本のタイトルは『子供にスポーツをさせるな』です。冒頭にも書いた通り、スポーツ施設の新入社員マナー研修を担当するに際し、〝ゆとり世代〟の彼らに通じる話題を探している折に出会いました。手にしたときは、タイトルがタイトルですので躊躇しましたが、内容を拝見すると、研修講師の私には、大変勉強になる非常に中身の濃いものでした。
今回はその中の石川遼選手に関するほんの一部を紹介させていただきましたが、この素晴らしい選手が誕生した背景は感動的な人間愛の物語があり、興味のある方には是非読んでいただきたいご本です。さて、次回は、石川遼選手の米国での活躍を祈りつつ、他媒体で紹介されたエピソードのいくつかをご紹介する予定です。
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