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2010年2月

2010年2月27日 (土)

プロとして、ハートで語る②電話応対研修での〈石川遼選手と語りのプロのこと〉

前回、『プレゼンテーションの教科書』(脇山真治著・日経BP刊)をもとに、石川遼選手の話すスピードが1分間に365カナ文字と書きました。ある意味、コール(コンタクト・カスタマー)センターの電話応対者も語りのプロ(現実的にはセミプロクラスが多いかも)といえます。コミュニケーション研修で参考にさせていただいた同著書の中から、大変興味深い資料を紹介いたします。

NHKのアナウンサーは1分間に350~400文字
この数字は、日本語音声分析の権威のお見立てですが、人が一分間に話す速さは下記事例のようにさまざまです。ニュースについてはその性格から多少テンポを速くするといわれていますが、ニュース番組を担当する下記アナウンサーはいずれも500~600(かな)文字で、ズバリその通りの結果が出ています。また、民放のアナウンサーは、相対的にNHKのアナウンサーより話すのが早いといわれてきましたが、その傾向もはっきり出ていて面白いですね。

1分間の発話のスピード比較(かな換算)
阿部渉(アナウンサー)文字数492 おはよう日本(NHK)09/6/30~ 
畑山智之(アナウンサー)文字数510 週刊ニュース(NHK)06/4/29~
武田真一(アナウンサー)文字数490 ニュース7(NHK)09/6/29~
石川遼(プロゴルファー)文字数365 全英オープン前インタビュー09/6/30
上沼恵美子(タレント)文字数788 おしゃべりクッキング(テレビ朝日)09/6/29~
東国原英夫(宮崎県知事)文字数762 日本青年会議所スピーチ(延岡市)09/6/28
古舘伊知朗(キャスター)文字数524 報道ステーション(テレビ朝日)06/4/27~
小宮悦子(キャスター)文字数585 ニュースJチャン(テレビ朝日)06/4/27~
細木数子(占い師)文字数233 幸せってなんだっけ(フジテレビ)06/4/21~
三宅正治(アナウンサー)文字数637 すぽると(フジテレビ)06/4/25~
二宮清純(スポーツライター)文字数628 サンデープロジェクト(テレビ朝日)06/4/23~
須田慎一郎(ジャーナリスト)文字数622 サンデープロジェクト(テレビ朝日)09/6/29-11:00~
※久米宏(キャスター)文字数580 ニュースステーション(テレビ朝日)04/3/12~
『プレゼンテーションの教科書』より。(※)久米宏さんについては、同書の文中より山本追記。

上沼恵美子さんは細木数子さんのほぼ3倍!
上の一覧でスピードが一番早いのは、上沼恵美子さんの788(カナ)文字です(やっぱり)。これは細木数子さんのほぼ3倍です(何となく納得)。私が同書の文中より追記した最後の久米宏さんについて、著者は「彼は原稿を忠実に読むだけでなく、アドリブや『えー』『あー』など、つなぎの言葉を挿入するので、数字に表れる速さをさほど感じさせない心地よさがある。報道は雰囲気よりもむしろことばと内容の正確さを要する番組だが、多くの視聴者がこのスピードを許容していると考えられる。」と述べていらっしゃいます。久米さんの実際の語りのスピードは、上記アナウンサーより格段に早かったのでしょうね。

では、ジャパネットたかたの高田社長は何文字?
ここには登場しませんが、現代のスーパー語り手ともいえるジャパネットたかたの高田社長は537(かな)文字(『ジャパネットたかた…』より)だそうです。古舘さんと同じくらいですね。ちなみに、これは振り込め詐欺とほぼ同じスピードと、前出の鈴木氏が「一般の人にわかりやすいように」との断わりを入れて述べていらっしゃいます。古今東西、悪事を働く人は、相当に勉強熱心のようですから、よほど注意しないと騙されてしまうかもしれません。大いに用心いたしましょう。

電話応対では、話すスピードが大事なポイントとなります。最初の15秒(真実の瞬間といわれる)や、双方で理解し合えている事柄についてはアナウンサーがニュースを読む(伝える)程度のスピード感があった方が、聞き手には心地よいでしょう。そして、肝心な商品紹介や、状況説明のシーンでは、石川遼選手のマスコミに対する語り口(1分間に350~400かな文字くらい)が安心感を与えるように思います。

話し方は、上の一覧にもある通り、キャラクターが出ますので、一概にどのスピードがベターかは判断しかねますが、自身の言葉の歯切れなどを考慮し、標準から大きくずれない範囲で自分の形を確立していただければと思います。さて、次回は、スポーツから学んだ別のお話から「プロとして、ハートで語る」を考えてみたいと思います。

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2010年2月20日 (土)

プロとして、ハートで語る②マナー研修での〈石川遼選手のこと〉

前回は、普段にも増してブログを読んでいただく方が多く、いかに石川遼選手の人気があるかを実感いたしました。その人気にあやからせていただいたとはいえ、ご愛読いただいた皆さんに、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。さて、今回は、石川遼選手の「プロとして、ハートで語る」姿勢がどのようにして身についたのかを書きたいと思います。

石川選手の心がけは「誰にでも同じ態度で接すること」
以下は『とっておきの接客術』(桐原千寿著、2009年4月実業之日本社刊)に紹介された、石川遼選手に関する記述です。
「石川選手が心がけているのは、誰にでも同じ態度で接するということだそうです。先輩にも、取材に見えた方にも、同じ態度で丁寧に受け答えするようにしているそうです。17歳なのに立派だと感心しました。まだ若いこともあって、石川選手に会う人の中には彼を子ども扱いする大人もいるでしょうし、ゴルフの勉強もせずに取り囲む取材記者もいるのではないかと思います。ただ、彼が誰にでも同じ態度で丁寧に接していれば、石川選手の態度を反映して、自然に会う人の態度もきちんとした礼儀正しいものになっていくのではないかと思います。」

世界の王(元ソフトバンク監督)に学ぶ
引き続き、『とっておきの接客術』より
「新聞で読んだのですが、彼が誰にも丁寧にするのは、あるパーティで元ソフトバンクの王監督と会ったとき、若い自分にも丁寧に話してくれたことがきっかけだということです。世界的に高名な人ほど、人に対して丁寧に接するのです。品格ある人とはどういう人かも思い知ることができるエピソードだと思いました。」

ゴルフ界のドン・杉原輝雄プロも認める
杉原輝雄プロについては、ゴルフ愛好家で知らない方はいらっしゃらないでしょうが、ゴルフをなさらない方のために申し添えますと、162センチのお身体で、73歳の現在も、病と闘いながら、トーナメントで活躍する名選手です。ショートゲームの巧みさや長尺ドライバー(47インチに取り組んだことも)と同じぐらい有名なのが、「辛口」評論です。

その杉原輝雄プロが昨年末、NHKの国谷裕子さんがキャスターを務める『クローズアップ現代』に出演され、石川遼選手のことを褒めていらっしゃいました。杉原輝雄プロのお立場から、ゴルフに取り組む姿勢が中心でしたが、「マスコミへの受け応えも素晴らしい。先輩プロも大いに学ぶべきだ」とおっしゃったことを記憶しています。

石川遼選手の話すスピードは1分間に365文字
日本の音声分析の第一人者といわれる鈴木松美氏によると、NHKのアナウンサーは1分間に350~400文字(かな文字換算:山本注)程度と(『ジャパネットたかた 思わず買いたくなる“しゃべり”の秘密』金子哲雄著・ぱる出版刊)に書かれていました。石川遼選手は365(かな)文字(『プレゼンテーションの教科書』(脇山真治著・日経BP刊より、次回詳細記載予定)だそうです。

石川遼選手が、NHKのアナウンサーとほぼ同じ速さで話しているのは、単なる偶然でしょうか。前回、今回の内容に照らして考えると、意図して取材側が聞きやすい早さを心得て話しているように思われます。だとしたら、お見事というしかありません。次回は、上記文献から石川遼選手と、話のプロであるアナウンサー、テレビ露出度の高い芸能人などとの比較を見ながら「プロの語り」を取り上げてみます。

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2010年2月13日 (土)

プロとして、ハートで語る①マナー研修での〈石川遼選手のこと〉

スポーツ施設の新入社員向けマナー研修の件は前回書いたとおりです。当日の研修では、新入社員の皆さんよりも若い、もしくは同世代の代表選手でもある石川遼選手が、日ごろから「プロとして」周囲に対しどのように「ハートで語りかけている」か、を例にとり、マナーの大切さ、そのことによって得られる評価について話しました。今回は、その内容の一部を紹介させていただきます。

「運転手さん、よろしくお願いします」
ヨネックスと石川遼選手が「3億円」の用具使用契約を結んだことは、ご存知の方も多いと思います。その、「契約を終えて会場を移動する際、ヨネックスが用意したワゴン車に米山勉社長やスタッフたちと一緒に乗り込んだ。すると石川遼だけが、
『運転手さん、よろしくお願いします』
大きな声で挨拶し、頭を下げたという。その配慮、自然に身についた礼儀はとてもいまどきの16歳とは思えなかった。それでまた感服した。」
※文章の「 」部分は、『子供にスポーツをさせるな』(小林信也著、2009年6月中央公論新社刊)より引用させていただきました。以下記述も「 」内は同引用です。

16歳の少年は丹念に一行一行、契約書を読み納得してからサインした
『子供にスポーツをさせるな』の著者・小林信也氏は、ヨネックスの米山勉社長と高校が同窓同期の仲で、米山社長から直接伺ったことを書かれたとのことです。その中の、特にこの部分には、本当に感動されられました。

「契約書にサインを交わすとき、石川遼君は大勢の大人たちが見守っている中で、丹念に一行一行、契約書を読み、しっかりと納得してから契約書にサインをしたんです。その姿が堂々としていて、感心しました。
契約の重さをしっかりと理解している。照れも気負いもない。なすべきことをしっかりと、周りの状況に左右されずにできる。」

僕の好きなヨネックスのロゴが隠れてしまうので・・・
先に書いた、「運転手さん、よろしくお願いします」と石川遼選手が挨拶した車中で交わされた米山社長と、石川遼選手の会話の中に、上記の言葉があります。契約当日、こんなハートのこもった言葉で語りかけられたら、米山社長でなくても、参っちゃいますよね。そして、心底から、石川遼選手のファンになってしまいします。

「車中で、石川遼の方から米山社長に商品開発のアイデアを語ったりもしたという。それは、ゴルフ手袋のこの場所にヨネックスのロゴマークを入れてもらえないかという、石川遼からの要望だった。通常、メーカーのロゴマークは、ゴルフ手袋を着けたとき、しっかりとめるためのストッパーの上側に入れてある。パターを打つとき、ちょうど左の手首のあたりにロゴが見える形だ。通常はそれで問題がない。ところが、石川遼は、
『僕はパターのときに手袋をはずすので、外してポケットに差しこんだときにもしっかりロゴが見えるようにしたいんです。僕の好きなヨネックスのロゴが隠れてしまうので、外した内側のベルクロ(マジックテープの一種:山本注)のところにもマークを入れてもらえませんか』
自分を支えてくれるスポンサー企業、用具メーカーへのここまでの愛情表現の思いやり。初対面の米山勉社長をすっかり石川遼ファンにさせたのは言うまでもない。」

今回紹介させていただいた本のタイトルは『子供にスポーツをさせるな』です。冒頭にも書いた通り、スポーツ施設の新入社員マナー研修を担当するに際し、〝ゆとり世代〟の彼らに通じる話題を探している折に出会いました。手にしたときは、タイトルがタイトルですので躊躇しましたが、内容を拝見すると、教育インストラクターの私には、大変勉強になる非常に中身の濃いものでした。

今回はその中の石川遼選手に関するほんの一部を紹介させていただきましたが、この素晴らしい選手が誕生した背景は感動的な人間愛の物語があり、興味のある方には是非読んでいただきたいご本です。さて、次回は、石川遼選手の米国での活躍を祈りつつ、他媒体で紹介されたエピソードのいくつかをご紹介する予定です。

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2010年2月 6日 (土)

元横綱 朝青龍関のこと

先日、あるスポーツ施設の新入社員向けマナー研修を担当させていただきました。〝ゆとり世代〟といわれる彼らの受け入れには、入社後のコミュニケーション・ギャップが大きいことから、各社とも頭を悩ませていらっしゃるようです。そこで、スポーツマインドの〝ゆとり世代〟に通じる人物を通してマナーを語ることを思い立ちました。

その結果、誰もが知っているスーパースターのプロゴルファー石川遼選手と横綱・朝青龍関のお二人に対象を絞り、私なりに勉強して当日に臨みました。ところが、その朝青龍関が突如の引退です。今回は、哀惜の気持ちを込めて、元横綱のエピソードを交えながらの木の葉ブログです。

2008年3月大阪場所、千秋楽の優勝インタビュー
モンゴルでのサッカー問題を挟み、4場所ぶりに復活優勝した(当時)横綱朝青龍関は「わしは大阪好きやで! ほんま好きやで! まいど、おおきに!」と、インタビューに答え、大阪体育館を埋め尽くした満員の観衆から大歓声を受けました。ところが、翌日、この発言を問題視する意見が『日刊スポーツ』の評論コラム『土俵』に掲載されて・・・。

そのコラム担当が、かつての大横綱の大鵬さんだったことから、この問題は一躍世間の注目を集めることになりました。ちなみに、若い方たちは大鵬さんをご存じない(あまり若くはありませんが、私も実はほとんど存じ上げません)でしょうから申し添えますと、大鵬さんはあの有名なフレーズ「巨人、大鵬、卵焼き」の「大鵬」のことで、幕内優勝回数32回の角界記録保持者です。

横綱の言葉にはもっと重みがあるべきだ
「大鵬さんの評論コラム『土俵』では、相星決戦を分析した後、
《今回の優勝インタビューも、大阪弁を使って地元のファンを喜ばせたかもしれないが、横綱の言葉にはもっと重みがあるべきだ。かつて表彰式で外国の航空会社の人が、各地方場所の方言を使ってファンを喜ばせたが、横綱と彼とは立場が違う》と書かれていました。」『土俵の真実 杉山邦博の伝えた大相撲半世紀』(杉山邦博&小林照幸著、文藝春秋社刊)より。

元横綱・朝青龍関のこの発言には、場所後の横綱審議委員会の場で議論があり、「方言でのインタビューの締めくくりを容認する方もいらっしゃれば、改めて指導を、と話された方もいたそうです。」と杉山さんは書かれています。なお、杉山さんによると「『君が代』斉唱から内閣総理大臣賞授与式までが協会の公式行事で、その後に行われるNHKアナウンサーによる優勝力士インタビューはその対象外」だそうです。
プロスポーツマンのファンへのサービス精神を是とするか、国技としての品位、横綱の品格を重視するかの立場の違いが、見解の相違となったのでしょう。

言葉は、受け止める人によって全く評価が異なります。「プロとして、ハートで語る」ことも、場の状況によって使い分けが大事なのだということを改めて学ばせていただきました。こうした解釈を踏まえ、マナー研修の場では、この事例を「公の場での発言と、私的な発言の違い」を知る素材として語り継いでいこうと思っています。

品格に対する元横綱・朝青龍の考え方
内館牧子さんに代表される横綱の品格の指摘に対し本人はどう思っていたか…。
「俺ね、品格っていうもんが、今でもよくわからない・・・。誰もがその人なりの品格を持っているんじゃないですか? 品格っていう言葉はどういう意味ですか?」
「横綱として、きちんとした言葉遣いをするとか、みんなのお手本になるようにするとか、そういうことは大切だと思うんですよ。でも、俺は品格を持った機械じゃないから。人間なんだから、言いたいこと、思ったことは言えるべきなんじゃないのか。違いますか?」
写真集『横綱 朝青龍』(撮影・野村誠一/2008年9月ゴマブックス刊)より。

実は、研修で取り上げたのは、マナーとしてのガッツポーズについてだったのですが、受講者の関心が高かったことから、言葉遣いのところでも元横綱に登場していただきました。元横綱の愛嬌のある語り口は、素人目にも切れのある豪快な取り口と併せ、人気の原動力だったかもしれません。

「プロとして、ハートで語った」であろうあのシーンを回想するにつけ、文化の重さと、融和の難しさを感じます。国内のコール(コンタクト・カスタマー)センターにも、外国語対応で海外の方が就業いただくケースもあるようですが、コミュニケーション・ギャップの大きさは〝ゆとり世代〟の比ではありません。心して取り組んでいただければと、願うばかりです。

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