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2010年3月

2010年3月27日 (土)

イチロー選手の心構え②「準備を怠らない」

電話応対研修の必須項目に「事前準備」があります。経験の浅いスタッフにとっては、努力すればできる最大の自助活動といえるでしょう。そして、これができているかいないかで、応対のクオリティは大きく変わります。プロ中のプロといわれ、完璧な準備を心掛けるといわれるイチロー選手の「準備に対する考え方と姿勢」を学ぶことにより、その重要性を再確認してみたいと思います。
※文中「プレー」と「プレイ」の異なる表現が出てまいりますが、出典が異なるため、原文尊重で、そのまま掲載しております。

『夢をつかむイチロー262のメッセージ』より 準備について
ハイレベルのスピードでプレイするために、
僕は絶えず体と心の準備はしています。
自分にとっていちばん大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです。
【2002年、準備について尋ねられたときの言葉】

やれることはすべてやったし、手を抜いたことは一度もありません。
常にやれることをやろうとした自分がいたこと、
それに対して準備ができた自分がいたことを、誇りに思っています。
【2002年9月、200本安打を達成したあとの言葉】

イチロー選手の食事に対する徹底した姿勢
「レストランで注文を取りに来る前に出される水は飲まない。しっかりしたシェフがいないと判断した店では生ものは口にしない。それなのに、1999年春、オリックスのコーチ2人(星野伸之&佐藤義則)とのマリナーズ体験キャンプ中にスペアリブで食あたりした。弘法にも筆の誤り、とはまさにこのことだった。」『イチローの流儀』より。

イチロー選手の同僚は「あいつを見ているだけで疲れてくるよ」と
「イチローは試合に臨むに当たって、現在でも、もっともよく練習し、準備する選手です。本拠地のシアトルのセーフコ球場で試合が行われるときは、試合開始の約6時間前に動き始めるようです。
ランニング、柔軟体操、ストレッチを行い、ウェイトリフティング、マッサージ、チームとの合同練習、室内練習場での打ち込み、そして、対戦相手チームのプレーをビデオで見ます。同僚は『あいつを見ているだけで疲れてくるよ』と評しています。」『イチローの脳を科学する』より。

このイチロー選手の周到な準備は家庭教育の賜物ともいわれています。父親の宣之氏によれば「次の試合会場となる球場にはほとんどイチローと二人で下見に行っていた」そうです。そうした習慣が
「常に、先のことを予測する習慣をつけることは、大事だと思います。その習慣が、一瞬の大事なときに生きます。ムダになることもたくさんありますし、自分が絡んでいないプレイでたくさんの予測をしているとすごく疲れるのですが、自分が疲れるからといって投げだしてしまっていてはプレヤーとしての能力を止めてしまいます」という本人の言葉に昇華しているのではないでしょうか。

最後は、イチロー選手がまだオリックス所属の10年以上も前の話です。「合宿所でも、メジャーリーグ仕様の一回り大きなボールでキャッチボールをして、来るべき日に備えていた。
ある年のオープン戦で、イチローが明らかなボール球を打ちにいくので、不思議に思って聞いてみたところ、『僕にとってはストライクなんですよ』という答えが返ってきた。『向こうではあのコースはストライクです』と。
イチローはストライクゾーンをアメリカ式に広げて、日本ではボールと判定されるところまでも打ちにいく練習を、実戦形式の中で練習していたのだ。」と、『遙かなイチロー』という本の中に書いてありました。
お見事! 感服! です。私も、今からでは遅いかもしれませんが、少しは心を入れ替えて、次回以降に取り組まねばと・・・。

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2010年3月20日 (土)

イチロー選手の心構え①「道具を大切にする」

~聴くStory~音声版はこちら

電話応対研修の際、冒頭に「電話機の扱いを丁寧にしましょう」と語りかけるようにしています。社会人として当たり前のことですので、みなさん納得顔で聞いてくださいますが、どちらかというと「そんなこと、今さら言われなくても、わかっています!」の印象が大半でした。ところが、先月の研修でイチロー選手の道具の取り扱い方を例にとり解説したところ、これまでとは明らかに違う肯定的な反応が見られました。テーマに合致した「エピソード」が、いかに聴く側の“共感” を呼ぶかを体験しましたので、今回は、そのお話を紹介いたします。

見習いたいイチロー選手の道具に対する思い
「道具を大事にする気持は野球がうまくなりたい気持ちに通じる」とイチローは言った。丹念にグラブを磨くことで、一つひとつの自分のプレーにかける思いは強まり、道具作りにかかわった人たちへ感謝の念が湧いた。」『イチローの流儀』より。
続いては、『夢をつかむイチロー262のメッセージ』より
「手入れしたグラブで練習したことは、体に、かならず残ります。記憶が体に残ってゆきます。」2003年のシーズン終了後の言葉。

バットメーカー製造担当者にイチローから謝罪メッセージ
「あれだけのバットを作ってもらって打てなかったら自分の責任ですよ」とイチローは語る。実は1996年7月6日、近鉄戦で左腕小池秀郎に三振を喫して思わずバットを叩きつけたことが一度ある。その後、我に返って久保田(後出)宛に謝罪のメッセージを送っていた。
『何人かの選手から、自分の手掛けたバットについてお礼を言われたことは過去にもありました。でも、バットへの行為そのものを謝罪されたのはあの一度だけですね』と伝説的なバット職人は語った。道具に対する意識の高さはイチロー流準備の特徴だった。

名工を感激させたイチロー流のバット取扱い
「そんなプレミアムバットを1995年頃から特性のジュラルミンケースに入れて持ち歩いている。ケース内には乾燥剤を入れるポケットがあり、湿気による重量増を防いでいる。この特殊ケースを使い始めるまでは、晴れた日にバックネットで天日干ししていた。
2004年、マリナーズのアリゾナキャンプを訪れた久保田五十一(いそかず、ミズノテックス所属で、イチローのバットの製作者。2003年11月、厚生労働省認定の現代の名工100人に選出。2005年黄綬褒章受章)には印象的なシーンがある。フリー打撃を終えた選手たちがそれぞれのバットを芝生の上に平気で放り投げる中、イチローだけがバットをグラブでそっと包み、まるで眠った赤ん坊をベットに横たえるように置いていた。」本文および本文上段ともに『イチローの流儀』より。

イチロー選手は、試合後ロッカーに向かって座り、アンダーシャツのまま、「一日の反省はグラブを磨きながら、昨日試合後に何を食べたか、よく眠れたのか、というところから、実際にゲームが終わるまでに起こったすべてのことをよく振り返って考えてみる」のだそうです。そして、黙考が終わるとグラブを丹念に磨き直し、小さな棒器具を使って足裏をマッサージした後にシャワーに向かうとのこと。

反省しながらクラブを手入れし(実は、試合前にも入念に磨くそうです)、明日以降の準備に取り掛かる。常に準備万全といわれるイチロー選手の一面が垣間見られるシーンですね。そのシーンの中に食事の話がありましたので、次回は、そんなお話をまじえながら、ナイスプレーの原動力といわれる「準備についての心構え」に迫ります。

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2010年3月13日 (土)

質問:「苦情対応で大事なことは?」を、トヨタ自動車の不具合対応を絡めて考えるその2

前回、「誠意」に関する日本語と英語のニュアンスの違いがかなりあることを書きました。なぜこのような手間をかけたかと申しますと、以下にご紹介する『日本苦情白書』による「誠意とは何だと思いますか?」の質問に対して、私の日本語の解釈をはるかに超えた、回答が寄せられていたからでした。
前回の「苦情対応の際、納得できるときはどんな場合ですか」を念頭に置きながら、ご覧いただければと思います。

誠意とは何だと思いますか(体験から感じるものを、2つまで回答)
正直・・・・・・・・・・・・・・・26・2% 
熱心・・・・・・・・・・・・・・・13・6% 
礼儀正しい・・・・・・・・・・11・7% 
言葉遣い・・・・・・・・・・・・・6・6% 
前向きな態度・・・・・・・・18・6% 
こちらの話を聞く・・・・・・22・4% 
その他・・・・・・・・・・・・・・・0・9%
10%以上が5項目もあります。ひと言に「誠意」といっても、その概念は、人によって〝異なる〟のだ、ということが、この調査結果に明確に表れているのではないでしょうか。

苦情対応における「誠意」は、英語のニュアンスが断然強い
この「誠意とは」の回答に対して、日本語の解釈と共通するワードもしくはニュアンスはゼロ(前回参照)に対して、英文和訳(※)はワードで〈正直〉、ニュアンスで〈言葉遣い⇔誠実な言葉〉〈前向きな態度⇔誠実な行動〉が該当し、どうやら英語解釈の方が合致する度合いが断然高いようです。
※【sincerity】1 誠実,誠意,正直(honesty);表裏のないこと 2 誠意のある言葉,誠実な行動;純粋な気持ち 

この調査対象者が、監修者の関根眞一さんの講演会参加者である(クレーム・苦情対応に関心のある人たち)ことも、微妙に影響しているでしょうが、産業構造が大きく変化し、クレーム(苦情)発生頻度の高いサービス産業(情報通信を含む)が急激に発展したことで、我が国の「誠意」の受け止め方が、欧米の傾向に近づいてきているといえるのではないでしょうか。

このように、「誠意」の受け止め方に多様性があることを認識した上で選択したトヨタ自動車の対応姿勢であれば、米国にも通用しそうな気もします。しかし、もし従来の日本流「誠意」の範疇を出ないものであったとすると、『週刊ポスト』誌に代表される懸念(怒りを増幅させる)が、現実のものとなるかもしれません。

さて、ここで電話応対業務でのクレーム(苦情)対応の本題に戻ります。これだけ苦情に対する納得概念が多岐にわたると、「対処のしようがない」との悲痛な声が、あちこちから聞こえてきそうですが、必ずしもそうではないと、私は思います。
前回のアンケート「苦情対応の際、納得できるときはどんな場合ですか」の中に、人が納得するのは【誠意がある、態度が良い】が64・2%とありました。これまで述べてきたように【誠意がある】の概念は、人によってさまざまですが、もう一方の【態度がよい】は、応対姿勢に対する評価ですから、私の経験からすると、それほどの違いは出ません。
冒頭に、大事なのは「誠意をもって対応する姿勢」との見解を記しましたが、この姿勢が「態度がよい」という評価につながると、確信しているからでもあります。

その「誠意をもって対応する姿勢」は、“接遇の基本”をマスターすればおのずと身につきます。応対スキルは短期間では容易に身に付きませんが、 “接遇”は人間の心構えの問題であり、スキルを身につけるのはそれほど難しいことではありません。日常性格の中で、素直に自信を顧みることができる人には、すでにその大半が身に付いているスキルでもあるのです。

自身のおさらいの意味合いもあって、いささか力が入り、勢いで2回にわたり長々と書きつらねてしまいました。最後まで読んでくださった方、お付き合いいただき、ありがとうございました。
これを契機に、私も心新たに、研修の場で“接遇教育”の重要性を、根気よく説いていこうと思います。
前回、今回と、タイトルを「クレーム対応研修から」にしました。次回も、研修の場で披露した内容を予定しておりますので、これを契機に「研修から」シリーズに切り替えることにします。引き続きご愛読をお願いいたします。

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2010年3月 6日 (土)

質問:「苦情対応で大事なことは?」を、トヨタ自動車の不具合対応を絡めて考える その1

実は、先月担当した「クレーム対応研修」の最後に、「クレーム(苦情)対応でいちばん大事なことは、なんですか?」との質問を受けました。その折、個々にいろいろな考えがあるでしょうが、私としては「誠意をもって対応する姿勢」だと思います、とお答えしました。
それから数日も経たないうちに、トヨタ自動車の不具合対応に関して、さまざまな媒体に「誠意」の文字が踊ったのは、みなさんご承知の通りです。米議会公聴会での世界企業トヨタの対応についてですから、次元は違いますが、クレーム(苦情)対応の姿勢を示していることは共通します。そこで、改めて「誠意」とは何なのかについて、自分なりの考えを整理してみました。
今回は「プロとして、ハートで語る」の続編予定でしたが、記憶が冷めやらないうちにと思い、変更させていただきます。

トヨタの手札は「誠意」、米公聴会に社長出席へ
これは、2010年2月20日の『朝日新聞』朝刊の記事のタイトルです。そして、文中に「豊田社長は今のところ、トップ自らが説明するという『誠意』だけが先行し、具体策を提示できない状況だ」とあります。
また、3月12日号『週刊ポスト』誌は(新聞広告でしか見てないのですが)特集の見出しとして、「トヨタ、日本流『誠意』が米国人の怒りを増幅させる」とありました。いずれも、トヨタ自動車の今回の問題に対する取り組み姿勢が「誠意をもって」であることを伝えています。

クレーム(苦情)対応で「誠意」は通じるのか?
『週刊ポスト』誌が報じるように、このトヨタ自動車の「誠意」を前面に出した日本流対処法は、果たして米国で通用するのでしょうか。その判断にはもう少し時間がかかりそうですが、わが国で発生するクレーム対応でいえば、「誠意」は有効な対処法であるといえそうです。
『日本苦情白書』(2009年の7月刊。『となりのクレーマー』などの著書がある関根眞一さんの監修に、以下の調査結果(同氏の講演会参加者を対象に5,059人のアンケートを集計)があります。

苦情対応の際、納得できるときはどんな場合ですか
誠意がある、態度が良い・・・64・2% 
説明がわかる・・・・・・・・・・・・32・1% 
サービス品を頂いた・・・・・・・・ 1・8% 
次回 の優遇約束・・・・・・・・   1・1% 
その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0・8%
圧倒的に、「誠意がある、態度が良いと」なっていることがわかります。日本人の〝論理ではなく感情面を評価する傾向〟がはっきり出ている感じですね。
ところで、わかっているようで、実はそうではないかもしれない「誠意」とは、の本当の意味はなんなのかを、山本流に調べ直してみました。

日本語と英語ではだいぶニュアンスが異なる
日本語で「誠意」の意味は、
『広辞苑』 私欲を離れ、曲がったところのない心で物事に対する気持ち。まごころ。
『大辞林』 うそいつわりのない心。私利・私欲のない心。まごころ。
代表的な二つの辞典では、その内容は大同小異といえますが、これが英語になると趣を変えます。

研究社の『新和英大辞典』によれば、誠意は【sincerity】です。
これをさらに、研究社の新英和大辞典で牽き直すと
【sincerity】1 誠実,誠意,正直(honesty);表裏のないこと 2 誠意のある言葉,誠実な行動;純粋な気持ち 
でした。
これで、「誠意」に関する理解はできました。さて次回は、その「誠意とは」がクレーム(苦情)対応の場では、意外な受け止め方をされている事実を、上記紹介の調査結果の続編としてご紹介いたします。

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