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2010年4月24日 (土)

「冠婚葬祭マナー研修から」東西(主に東京と大阪)の違いを考える④

3回にわたり、桜の開花日が平年並みでは大阪より東京の方が2日も早いという、意外な日本気象協会のデータを紹介し、そこから東西の言語、服装を含む文化の違いに発展させてまいりましたが、そろそろ「木の葉ブログ」のメインテーマである、コール(コンタクト・カスタマー)センターに話を戻します。
はたして、東西の文化の違いは、センター業務にどのような影響を与えているのでしょうか。
第62・63回に「誠意の意味」の日米比較で取り上げた、関根眞一さんの『日本苦情白書』の「異領域比較編」に、そのものずばり《東京・大阪のアンケート回答比較》がありますので、その中から、特に顕著な違いのある項目について、以下に紹介いたします。
※本稿は、昨年末「クレーム研修」を担当した折の調査資料をもとに書きましたが、たまたま書店で発見した、2010年3月出版の関根眞一著『苦情対応実践マニュアル』(ダイヤモンド社刊)は、『日本苦情白書』のデータ解説的書籍でした。ご興味のある方は、是非こちらをご覧いただければと思います。

対応でいちばん困ることは何ですか
※「その他」を除き、東京対大阪比1・5倍(40対60or60対40)以上の開きがある、回答内容は頭の表示を●に、そうでないものは○。最右欄にその対比数値を記載。
【回答内容】                        【東京】  【大阪】  【東京対大阪比】
○こちらの知識不足、相手が上  26・8% 22・4%
○真意・心理が読み取れない   30・4% 23・2%
○怒鳴る・暴力的             23・2% 21・6%
●説明を聞かない            16・1% 26・6%     (37・5対62・5)
○その他                    3・6%   6・4%

(著者コメント、以下同じ)「知識不足」の4・4%の差はよく分かる。大阪では職につく上下の差がはっきりしており、指導も厳しいが、自らも早く一人前にならんとあかん、という意識を持っているものが東京より強く感じます。その代り心理など読まんでも うったる(売ったる:山本注)わ という気概があります。「怒鳴る・暴力的」に対しては差は出ていません。大きな差が出たのは「説明を聞かない」のが大阪ということですが、東京がしつこく説明をしようと努力するのに対して、大阪人は、「聞かんなら しゃ―ないわ」と簡単に打ち切るものもいることは確かです。

苦情で怒鳴られたとき、対応が変わりますか
【回答内容】                        【東京】  【大阪】  【東京対大阪比】                ●怒鳴り声には反発してしまう       3・8%  5・8%    (40対:60)
○変わらない                   57・7% 79・2%  
●怒鳴られると怯えが先に立つ     32・7%   7・5%    (81対19)
○その他                       5・8%   7・5%

大阪人は8割が「怒鳴られても変わらない」と回答しました。実は、大阪では怒鳴ることが比較的少ないのです。たとえば「いいやろー、そうしいや」と軽く圧力をかけますが、関東のように「なぜそれが出来ないんだ!!」と大声を上げることは稀です。その証拠に、怒鳴られたら怒鳴り返すとまではいきませんが、「反発」の数字によく表れています。南部は少し言葉がきつく、怒鳴られているような感じがしますが、その土地の話調です。

どんなとき苦情を言いますか
【回答内容】                           【東京】  【大阪】  【東京対大阪比】
●間違いがあった時               3・8%  5・8%    (61対39)
○相手に知識ない,説明がわからない 5・7%  5・0%    
○態度が悪い                   24・3% 21・1%  
●言葉遣いが悪い                 4・3%    7・5%   (37・5対62・5)
○いい加減な対応                 31・4%  41・6%   
○その他                         5・7%   6・2%
「いい加減な対応」には、どちらも厳しい判定をしています。特に大阪の人は厳しい苦情になります。それは東京も変わりません。東京は「間違いがあった時」にきびしく指摘します。大阪はその点大幅に寛容です。「相手に知識がない、説明が分からない」は双方が同じ割合でした。さらに、態度の悪さには若干東京が苦情になる率が高そうです。

苦情は大阪の方が東京より3~5倍多い
ここでは紹介しませんが、「苦情を申し入れる際、内容に限らず、嫌な思いを何回ぐらいした時にいますか」の質問があり、その解説に興味深い記述がありました。
「件数でいうならば大阪が3倍から5倍苦情を言います。その代り、苦情をいつまでも引きずることは少ないのです。もちろん納得できないことは、しつこく迫りますが、それはどこでも当然のことです。しかし、丁寧に謝罪の言葉を口にすると、返ってくる言葉は「いいねん、言ってみただけやねん」と気持ちよく許してくれる方が多いのです。ところが東京では少ないのですが、なかなか許しが出ないという現実があるのが実態です。」

関根さんは、この違いは、「実際に両地域のセンターで仕事をした経験のない人間にはわからない」と書かれています。これは、私自身も過去の経験から実感するところです。大手企業・大手のテレマ会社では、東西のセンターを同一の尺度で評価(クレーム発生率など)するケースもあるようですが、このようなデータをもとに、地域の独自性を加味した評価制度の検討を、未導入のセンター運営者の皆さんにお願いして、このシリーズを終わることにいたします。

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