ゆとり世代とほめ言葉について①
新入社員の受け入れ対策として、先輩社員を対象に「○×△□研修」をする企業が増えているようです。何しろ新人さんは、コミュニケーションが大の苦手な「ゆとり世代」ですから、まったくすれ違いに終わった? ここ数年の轍(てつ)を踏まないようにとの、ご判断が働いているのかもしれません。今回は、不安そうな面持ちの先輩社員が多かった、ある「リーダー研修」でのお話です。
「ゆとり世代」のコミュニケーションの特徴とは
この「研修テキスト」の最初に出てきたのは、やはり「コミュニケーション」でした。一年ごとに様相の変わる就活戦線では、いささか旧聞に属するかもしれませんが、2009年7月に出版された『就活格差』(常見陽平著/中経出版刊)によると、「『ゆとり世代』の特徴は『コミュニケーションが一方向』であること(つまりは、キャッチボールしているのではなく、壁に向かって投げている感じ=山本注)。」だそうです。
本人の意見を引き出す〝あったかいコミュニケーション〟を
「これは、メール・コミュニケーションへの慣れが主な理由と考えられる。したがって、彼らとコミュニケーションをとる際は、本人の意見を引き出すように接すること、あったかいコミュニケーションが必要となる。」とありました。また、「意味・答えを求める気持ちが強い」ことも特徴だそうです。この他には、「個性へのこだわり」「キャリアへの意識が強い」とのことでした。
〝シチュエーション別の直接的語りかけ〟を学ぶ
こうした特徴の持ち主と近々接することになる先輩社員の方々に、一般的な「コミュニケーション」について語っても〝役に立たない〟との思いから、私自身初めての試みでしたが、〝シチュエーション別の直接的語りかけ〟を一緒に勉強してみました(意外と好感触あり)。この際、苦手?な新入社員対応を後回しにし、「先輩・上司」に対してを先行させ、感じをつかんだところで、「後輩・部下」に対してと、段階を踏むことにしました。
なお、以下の参考例の出典は『人を動かす「ほめ言葉」』(本郷陽二著/中公新書)です。
先輩・上司に対する「ほめ言葉」とは
尊敬できる上司に対して ⇒「○○さんの下で働けるなんて光栄です」
どんな小さな特技でも ⇒「○○の達人ですね」
普段から社交的な人に ⇒「ここは顔の広い○○さんにお願いするしかないと…」
上司や先輩への敬意を表したい ⇒「とても私には真似できません」
専門的な技能や知識をほめるときに ⇒「この道には詳しくないのですが、迫力を感じます」
仕事で業績を上げた人に ⇒「成功の秘訣を教えてください」
どんな年齢の人にも ⇒「すごい、どうやったらそんなふうにできるんですか?」
かなり世話好きな人に ⇒「○○さんには、どれだけ助けられたことか」
かなり目上の人をほめるなら ⇒「さすがに、格が違いますね」
●今回は、怖いはずの「先輩・上司」への「ほめ言葉」までにいたします。先輩社員の方たちは、仕事に対する自信がおありなのでしょうね、照れながらも、抵抗なくみなさん「ほめ言葉」を口にしていたのが印象的でした。この調子なら、新入社員に対してもそれほど心配する必要ななさそうと思ったのですが・・・、以下は次回のお楽しみといたします。
●なお、最後に「先輩・上司」への「ほめ言葉」に関して肝心なことを一つ。普段、何気なく「○○さんには、とてもかなわないですよ」といったりしている方もいると思いますが、著者は、「俺に勝てると思っているのか!」と反感を買う危険性があるので、この表現は避けるようにと、書き添えてありましたので、念のため。
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