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2010年6月 5日 (土)

サービスとホスピタリティ①サービスとホスピタリティの違い

ある「CS研修」の最後に「サービスとホスピタリティはどのように違うのでしょうか?」との質問を受けました。「サービス」と「ホスピタリティ」は微妙に重なり合う部分があり、難しいテーマですので、「ある飲食店に届いたお客様からのお礼メール(『勝てるホスピタリティ』力石寛夫著/玉川大学出版部刊より)」をもとに以下の解説をしました。

お礼メールから「サービス」と「ホスピタリティ」の違いを考える
お礼メール:「先日○○店を利用させていただいた者です。7人での利用でしたが速やかに7人一緒に座れる席を用意して頂いたうえに、会話に耳を傾けていてくれたらしく、あす誕生日を迎える友人へのサプライズも用意していただいたりと、とても高度な接客に驚きと感動を覚えました。祝ってもらった友人もとても喜んでいました。本当にありがとうございました!」

解説:この事例は分かりやすいと思います。ご来店時に〝7人一緒の席をご用意した〟のは、気の利いた店ならどこでもする「サービス」ですね。しかしその後の、“お客さまのお一人が明日お誕生日”という会話内容は、常に傾聴姿勢を持っていないと吸い上げらません。お客さまにとって特別な状況に対する適切な対応(この場合は〝お誕生日のサプライズ〟)が、お客さまに“驚きと感動”を呼び起こしました。広くアンテナを張り、得られた個別情報をもとに感動を呼ぶ「おもてなし」をすることが、「ホスピタリティ」なのではないでしょうか。

20世紀は「サービスの時代」であった/21世紀は「ホスピタリティの時代」
これは、『ホスピタリティ原論』(山本哲士著/文化科学高等研究院出版局刊)に出てくる表現ですが、私の実感に丸々フィットするものですから、お気に入りのフレーズとして(出典を明確にし)よく使わせていただいております。同様の認識は『ホスピタリティ精神の深化』(山上徹著/法律文化社刊)にも、世紀をまたいで「サービス社会からホスピタリティ社会へ」と書かれておりました。なお、山本流の解釈だけでは不十分と思い、以下にプロ中のプロの見解をお示しいたします。

国際的なホテル東京支配人が語る「サービス」と「ホスピタリティ」の違い
『日本が教えてくれる ホスピタリティの神髄』(マルコム・トンプソン著 /詳伝社刊)という、ザ・ペニンシュラ東京総支配人が書かれた本の中に、「サービス」と「ホスピタリティ」の違いが明瞭に記されていますので、紹介いたします(ホスピタリティの語源については次回詳しく触れます)。外国人の超一流ホテルマンが、日本体験を踏まえての解説ですので、わかりやすいと思います。

「サービス」は従属関係で、「ホスピタリティ」は対等関係
一般的に、「サービスは従属関係で、ホスピタリティは対等関係」などと解説されます。それは両社の語源であるラテン語をたどることによって導かれたものです。簡単に記せば、次のようになります。
■サービス (語源)「奴隷」を意味する「Servus]  (類語)「召使い」(Servant) (概念)従者が主人に仕えること
■ホスピタリティ (語源)「客人の保護」を意味する「Hospes」  (類語)「病院」(Hospital)「宿泊所」(Hostel) (概念)対等を前提とした主人と客人の関係

「サービス」と「ホスピタリティ」は一体化したもの
辞典的な解説では、こうなっています。しかし、私の考えは異なります。結論から述べましょう。
「サービス」と「ホスピタリティ」は一体化したものです。「サービス」は「ホスピタリティ」という歯車を回す潤滑油のようなものであり、それがあることで全体が円滑に運営されるのです。

また、「ホスピタリティ」は感覚的なもの、形のないもので、触れることはできません。しかし「サービス」は実際に見ることができ、有形に近いものです。そのためにはスキルやテクニックが要求されます。
お客様の視点から言えば、「ホスピタリティ」はお客様の経験全体を指し、そこで感じられる感覚、印象です。その経験をよどみなく回し続けるために必要なのが、「サービス」という潤滑油なのです。

●今回のテーマは、冒頭に記した駆け足「解説」時から、自身の宿題のように感じていたものです。過去の「ホスピタリティ研修」と、ある病院での「講演」資料をベースに、10回くらいのシリーズ(間に旬のテーマを挟むかもしれませんが…)で、「ホスピタリティ」の〈語源と歴史〉から業種別に〈ホテル〉〈病院〉〈ディズニーランド〉〈航空会社〉〈レストラン〉〈その他業種〉を、目線を変えて〈言葉のホスピタリティ〉と〈チームで支えるホスピタリティ〉を、具体例を織り込みながら、取り上げるつもりです。

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