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2010年6月19日 (土)

サービスとホスピタリティ③ホテルのホスピタリティ

ホテルのホスピタリティといえば、〝ゲストのリクエストに決して「ノー」といわずに希望を実現する〟ことを教育方針としているリッツ・カールトンが代表格でしょう。「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女である」と書かれている「クレド=マニュアル※」も印象的です。ホテルのホスピタリティを語る上で、このリッツ・カールトンの話題を欠かすことはできませんが、その前に、日本人が感じた真のホスピタリティを、他のホテル事例で紹介させていただきます。
※質の高い独自の「クレド」を作成し、ゲスト(利用者)から高く評価されたことから、今日ではリッツ・カールトンの専売特許のように語られる風潮がありますが、クレドはラテン語で信条、志(こころざし)を表す言葉です。

ホスピタリティのプロ(力石寛夫氏)を感動させたサプライズとは
力石氏は75回に取り上げた『勝てるホスピタリティ』の著者ですが、氏の体験談が『ホスピタリティ・マインド』(石川英夫著/研究社刊)にありました。サンフランシスコにキャンプトンプレイスというホテルに泊まり、気に入った力石氏は3月後に予約をして空港からタクシーで到着すると、

ドアマンがMr.CHIKARAISI,Welcome back to CAMPTON PLACE HOTEL.と3月前に1回しか泊っていない氏の顔を覚えていて声を掛けてきたそうです。そして、その日はたまたま氏の誕生日だったのですが、ベルマンに案内されて部屋に入ると、テーブルの上にきれいな花とシャンパンがあって、「私どもはこのお部屋を力石さまのお誕生日のために予約しておきました」というメッセージがありました。

部屋番号は氏の誕生日と同じ612号(6月12日)。その時の感動を氏は一生忘れないだろうと述懐しています。氏の想定では、フロントの人が3月前の宿泊表に書かれた誕生日を見て思いついたのだろう……とのことです。ベルマンに「しびれた」と言うと、「サービス業が私の天職です」と言わんばかりの,ほんとうにうれしそうな顔をして、happy birthday!と祝ってくれたそうです。

ホテルでの「サービス」と「ホスピタリティ」の違い
●似たようなお話が超売れっ子の神田昌典氏にもありました。氏の著書『口コミ伝染病』によれば、NY郊外のマリオットホテルにチェックインした氏は、「おめでとう、本日のゲスト大賞です!」と受付の女性から語りかけられ、5分後に果物やコーラ、10ドル相当の朝食券他数点が届けられたそうです。値段はたいしたことはないが「正直、嬉しかった」とのことでした。

遠い旅先でのことですから、このようなハプニングへの好感度は高いでしょうが、当日宿泊客の誰かに当たるものがたまたま当たったのは「サービス」の範疇を出ないでしょう。これに対し、前出の力石氏が受けた、〝氏の当日だけの特別な事情〟に配慮されたものは、まさに「ホスピタリティ」のそのものといえるのではないでしょうか。

ザ・リッツ・カールトン大阪に届いたお客様からの感謝状
あるお客様からザ・リッツ・カールトン大阪での滞在の感想を記した手紙が届きました。そこには、「何よりも感動したのは、デザートのときでした」と書かれていたそうです。そのお客様は数人の友達とホテル内の日本料理店で食事をし、デザートになったとき、連れの1人が「メロン、苦手なんだ・・・」と仲間内に漏らしたところ、それを耳にしたサービススタッフは、何も言わずにメロンの皿を持ってその場を離れ、再びそのお客様のもとに現れたとき、皿にはみずみずしい桃が用意されていたそうです。『お客様からの感謝状』(佐藤寛著/実務教育出版刊)より。

●上記のような例はリッツ・カールトンでは、日常風景の一つなのでしょうが、このようなもてなしを受けた側には、深い感動として心に刻まれるのでしょうね。高級ホテルだからできる対応との見方も否定しきれませんが、第14回の冒頭に記した「町のレストランでのお誕生日サプライズ」にも同様の事例が見られました。
ホスピタリィ精神は企業(店舗)のランクではなく、お客さまと対応する個々人の心の持ちようによって実現可能と皆が前向きに取り組めば、その裾野はもっと広がり、豊かな社会の実現に寄与することになるのではないでしょうか。

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