身だしなみについて③
前月(6月)末にリーマンインテリジェンス様主催の「関西サラリーマン勉強会」で「ビジネスマナーで変わる あなたの人生」を担当させていただきました。
とても和やかな雰囲気で、勉強会も主催者の人柄が投影されることを学びました。その際、時間が短く(2h)語り尽くせないところがありましたので、研修報告シリーズ第9・10回の身だしなみについて(1・2)と重ならないところを、本ブログでフォローすることにいたします。なお、今回は病院のホスピタリティ②の予定でしたが、次週に繰り越しますので、あしからずご了承ください。
夏のクールビズが浸透してますが、ネクタイは不要でしょうか?
米国はリサーチ社会ともいわれますが、「物もらい調査」というネクタイに関する面白い調査結果がありますので紹介いたします。
調査員:「まことにすみませんが、家に財布を忘れて出まして、75セントないと家に帰れないのですが・・・」。このテストをネクタイなしのスーツのみで1時間、ネクタイ着用で1時間したところ、最初のネクタイなしの1時間は7ドル23セントもらい、その後のネクタイ着用の1時間では26ドル稼いだそうです(約3.6倍)。中には新聞を買うお金まで都合してくれる人もいたとか。
●お願いしていることは同じなのですが、言っていることに信憑性(しんぴょうせい)があるかどうかの判断が、ネクタイの有無で大きく別れたことをうかがわせます。暑くても、ネクタイが必要なケースもあるでしょうから、ビジネスマンには締めずとも必携のアイテムといえるでしょう。
さて、次は服装の良し悪しを、周囲の人間がどのように評価するかのテストです。研修報告シリーズの第10回でスーツと作業服では横断歩道の信号無視で3・5倍のハーメルン効果があると書きましたが、今回は、服装のグレードの違いについての同じくアメリカでの事例です。
歩道で服装良し悪しは、よけてくれる人の数に影響するか?
30代で、身長も体重もごく平均並みの二人の男性に、毎日交代で中の上と下の階層の服(アメリカではこのようなランク付けが普通のようです)を着てもらい歩道を歩いてもらったところ、相手によけてもらえた回数は中の上の服装の場合2日間で86回中58回で、あとの12回はじろじろ見られた上で、やっとよけてもらえた。これに対し、中の下の場合は62回中ほとんどがわきに押しやられ、3回ほどは肉体的な暴力を受けたそうです。
●日本では〝怖いお兄さん〟には道を譲る傾向がありますが、アメリカでは服装がよければ体格は普通でもよけてもらえるんですね。このことは、身だしなみが整っていれば、通りすがりの人にも敬意を表されることを語ってくれています。大切な人に会うときは、特に身だしなみに気をつけたいですね。何しろ、悪く見られるとひどい扱いを受けることになるのですから・・・。その典型的なお話しがアメリカのある銀行の窓口でありました。
銀行は50セントの駐車料をケチり、100万ドルの口座を失った
ワシントン州スポースケンに住む男性がひどくみすぼらしい服を着て、取引口座がある銀行で手形を現金に割り引いてもらい50セントの駐車無料券を要求しました。行員は彼の姿を見て、手形割引程度の取引で無料駐車券の発行は出来ないと告げました。男性は「そんなひどいことはない」と苦情を述べ、上司との面会を求めると、行員と上司は軽蔑の眼差しで、再度駐車券は発行できないと告げました。すると、男性客は彼の預金全部を解約したいと言い出し、ちょうど満期が来ていた100万ドルを解約してしまいました。
●この銀行は、この事件をきっかけに顧客サービス基準を見直したと出典の『苦情という名の贈り物』に書かれておりますが、上司までこの有様ですから改善にはかなりの時間がかることでしょう。でも、ほんの少し身だしなみに気を使えば、このお金持ちの男性も不愉快な思いをしなくて済んだでしょうから、お互いさまということでしょうか。
しかし、お金持ちではないことを自認する人たちは、ひどい目に会わないように、さらに身だしなみに気をつけたいですね。なお、最初の方のおもしろい2つのテストについては古い文献ですが『ビジネス 成功する服装学』を参考にさせていただいております。
これから夏本格化、ビジネスマンにはつらいシーズンが続きますが、評価に値する服装を身にまとい、スマートにご活躍ください。
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