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2010年8月28日 (土)

レストラン・飲食店のホスピタリティ③

今回は、お店側の対応ではなく、ご年配の同伴者に対する接待者の配慮について、格好の素材がありますので、これをご紹介いたします(懐かしいお名前が登場しますが、筆者の年齢とは関係なく、最近の書籍からの引用ですので、誤解のないように…)。もう一つは、日頃ごく身近で見聞しているかもしれない、おそば屋さんでのあるシーンからです。

フランス料理店で〝おはし〟を3人分頼んだ往年の名テナーとは
「ある日、藤原義江氏(1898~11976 日本を代表する名テナーとして活躍し、藤原歌劇団の創始者。ご年配の方に聞いていただければ、多分ご存知です)が老夫婦をフランス料理に招待して会食したそうです。そのとき、緊張している夫婦を見た藤原さんが、ウェイターを手招きし「箸を3人分持ってきてもらえないかね?」と頼んだとのこと。
そして、ご夫婦に「ナイフとフォークで食べるより、僕も箸で食べるほうが気楽なんです」と告げた。老夫婦は喜び、「そうですか、先生も箸でめしあがるほうがいいのですか!」と、感動さえしていたそうです。

●これは、「少年H」を書かれた妹尾河童さん(せのお かっぱ:舞台美術家でありエッセイスト)がご一緒していた席でのことを『こころに響いた、あのひと言』に書かれていました。その中で、かっぱさんは、今まで長いお付き合いの中で、藤原氏からそんな言葉を聞いたことがなかったので驚いたそうです。

●後日、パーティ会場で かっぱさんは、そのご夫婦が「実は先日ちょっと驚いたことがあったんです。藤原義江先生がフランス料理も〝箸で食べるほうが美味しい〟と言われ、私たちと一緒に箸で召し上がったんです」と嬉しそうにしゃべっている現場を目撃。「とんでもないことになっていますよ」と、事の顛末を藤原氏に告げると、氏は笑いながら「いいじゃないか。ご夫婦はあの会食が楽しかったようだから」と受け流されたとか。

マナーの達人が教える〝テーブルマナーの基本精神〟とは
その折の藤原氏から かっぱさんへのレクチャーは「君ねえ、テーブルマナーって、ナイフやフォークを上手に使うことじゃないんだよ。食卓を共にしている人に不愉快な思いをさせないことが、テーブルマナーの基本精神なんだ。もし相手に恥をかかせることがあったら、それこそ〝マナー違反〟だからね。一番大事なことは、食卓を共にした人たちが、楽しく会食することへの配慮。それだけは忘れないことだね」だったそうです。

食後、薬を飲もうとしたら、頼まないのに「お水」を用意してくれた
「私(『毎日が楽しくなる 17の物語』の著者・志賀内泰弘氏)は持病があって、旅先でも薬が手放せません。さて、東京の神楽坂に友人を訪ねた時のことです。夕食に、『おいしそうなそば屋さんがある』と連れていかれました。食事の後、いつものように薬袋を取り出します。お水をお願いするのも面倒なので、今日はお茶で飲もうか、それともそば湯で・・・などと考えつつ錠剤を1回分手にした瞬間のことでした。」

「目の前にトンッとコップが置かれたのです。
店のおばちゃんが私の様子を見ていて、頼んでもいなのに気を利かせてくれたのでした。うれしいことに、氷が入っていません。『ありがとう!』と言いました。そして、口に含んでから、さらに驚きました。ほんのり温かいではありませんか! なんと、それは『白湯(さゆ)』だったのです。たかが、お水。されど、お水。心憎い気遣いに脱帽でした。」

●〝さて、お薬を〟と思ったとき、お水を用意いただくのは気の利いたサービスといえるでしょが、そこに、ほんの少しのお湯を注ぎ「白湯(さゆ)」としてお持ちするのは、ホスピタリティそのものといえるのではないでしょうか。ただし、親切にしていただいた方に〝おばちゃん〟の表現はいただけないと思いますが・・・。

ホームページ https://www.leafwrapping.com/

※本ブログ内容とは別に、お問い合わせ・ご質問等ございましたら、【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。

 

 

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