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2010年9月

2010年9月25日 (土)

「コールセンターのホスピタリティ」②

前回、講演会のサブタイトルを ~電話越しに心と心が通う瞬間 ~ と紹介しました。コールセンターでは、受電した瞬間からの〝15秒〟がとても大切だと指導されていると思います。電話応対日本一を決める3分間応対コンテストでも、「名乗り」の部分の配点が100点満点中15点だそうですから、その重要性が分かりますね。ところで、みなさんは、この〝15秒〟という数字が何に由来するかをご存知でしたでしょうか。今回と次回は、この大事な15秒について書いてみることにいたします。

NHK解説委員から慶大教授に転じた赤木昭夫氏の15秒の認識
これは同氏の著書『説得力』に出てくるお話です。「日本民謡の江差追分だろうが、モーツァルトのピアノ・コンチェルトだろうが、初めの15秒くらいのあいだに、なんとなくひきこまれて、その後もつい聞いてしまうわけです。そのために音楽は、初めに魅力的なメロディーで聴き手を引きつけ、あとはそれを聴き手が予想もしなかったように変奏していく構成に昔からなっていました。」

テレビCMの成否はわずか15秒(スポット広告)で決まる!
テレビCMでは、音楽と映像と話(ストーリー)の三つが重なっているので、なおさらはっきりと初めと終わりが説得の成否を決める仕組みになっているのです。ここまで何度も15秒で決まると強調してきましたが、それはテレビCMで最も短いスポットは15秒、長くても30秒だからです。その間に視聴者に商品を買う気にさせなければならず、CMの成否はわずか15秒で決まります。私たちはそういう世の中で暮らしています。そのために説得力は、最初の15秒で決まると心得ていなければならないわけです。」

●赤木氏が格好の例としてあげられているのが、以下のCMです。
「はい!/「勉強しまっせ、引っ越しのサカイ」/ほんまかいな、そうかいな!/「勉強しまっせ、引っ越しのサカイ」/せっしょうだっせ、やわだっせ!/「勉強しまっせ、引っ越しのサカイ」/この人売るとは申しません!/「勉強しまっせ、引っ越しのサカイ」/それでは皆さま、さようなら。」
若い方はご存じないかもしれませんが、たしかにある時期、一世を風靡したように記憶しております(歳が分かっちゃうかも…)。

●このCMは106文字(漢字含む。ひらがな換算だと約120字)になります。普通NHKのアナウンサーがニュースを読む場合は、1分間で、ひらがな400字程度といわれています(ベテランになると450字くらいの人が多い)ので、前出のCMは丸々15秒ハミングしていたわけではないでしょうから、かなり早口の部類に入る(580字の久米宏さん並み?:詳しくはコールセンター応援歌の第61回「電話応対の技術編」プロとして、ハートで語る(4)を参照ください)でしょう。

●さて、ここで〝15秒〟が感覚的にどのくらいの長さなのかを、書く、話す(聞く)、読む、見るといった日常シーンの中で考えてみましょう。ある情報量調査の指標として使われるデータでは、1分間に成人が書けるのは30文字(漢字含む)、話すのは300文字(同)、読むのは1000文字(同)、見るだけなら2000文字(同)だそうです。15秒だと、それぞれ7・5字、75字、250字、500字となります。

●「話す」と「書く」と「読む」とでは文字数に大きな違いがあることが分かります。これは、電話応対をする上ではとても大事なことですね。お客さまがメモをされている場合には、このスピード感覚(話す方が10倍速い)を心得ていないと、先走って不興を買うことになりかねません。これに対して、双方が同じ資料を見ながらの会話の場合は、ある程度スピードを上げないと(話すより読む方が3倍以上速い)、うまく話がかみ合いません。シチュエーションの違いに応じた対話術を身につけることで、ホスピタリティ・マインドはさらに向上するのではないでしょうか。
さて、次回は〝15秒〟が〝真実の瞬間〟として、広く語られるようになったエピソードについてです。

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2010年9月18日 (土)

「コールセンターのホスピタリティ」①

今回は、久し振りに【コールセンター応援歌】です。8月にコールセンターでお仕事をなさっている方たちの会合があり、懇親会に先立ち、「日ごろご苦労の多い参加者を勇気づけるような講演を」との打診をいただきました。そこで、『コールセンターのホスピタリティ』という演題をご提案したとろ、採用いただきました。その際、ご担当者が用意くださったサブタイトルが、~電話越しに心と心が触れた瞬間 ~でした。このすばらしいセンスに触発されて、何回か講演会に絡めて書きます。

というわけですが、最初は、前回と今回に一部共通するお話から入ることにいたします。前回、米国のレストランでは、ミントキャンディーのプレゼントより、ウェイターによるオーダーの〝オウム返し〟の方が、はるかにチップへの跳ね返りが多いという、興味深い? 事例を書きました。実は〝オウム返し〟が、同じように大事なのだというケースが、ある会社の顧客サービスセンターであったそうですので、まずは、そのシーンから。

モニタリングで発見された、クレーム寸前の応対とは・・・
オペレーター 「お気を悪くさせてしまい、申し訳ありません」
女性 (大声になって)「私は気を悪くなんかしていませんよ。怒っているんです」
オペレーター 「はい、ご不快に思われているのは承知しております」
女性 (金切り声で)「不快? 不快ですって? 私は不快じゃなく怒っているんです!」

〝オウム返し〟は、良好な関係を築こうとする際には有効
この例は、ミントキャンディーと同じ出典(『影響力の武器 実践編』)ですが、お客さまの怒りの受け止め方を誤ったために、かえって怒りを増幅させてしまっています。この折、かりに、オペレーターがお客さまの「お言葉通り」に繰り返していたらどうだったでしょうか。多分、結果は違っていたことでしょう(著書には、「お怒りはごもっともです。どうすれば、ご一緒にこの問題を解決できますでしょうか」とでも言えばよかった、と記されています)。〝オウム返し〟は、単純そうでいてチップを増やすのが有効なばかりか、良好な関係を築こうとする際にも、効果的な受け答えであることがよく分かります。

人間の〝怒りの発露〟はどのくらい持続するのでしょうか?
センター業務経験者なら、何度も、お客さまのお怒りの電話を受けた経験があると思います。受電早々から怒声が発せられると、キャリアの浅い方は、一瞬動転してしまうことでしょう。しかし、人間の〝怒りの発露〟は、そうそう長時間持続しないそうですから、しばらく耐えて、先の事例をよき教材として、お客さまのお言葉を尊重しつつ、冷静な応対を心掛けていただきたいと思います。

箱田忠昭氏は「人は5分以上は怒り続けられない」という説を紹介
年間300回以上のセミナーをこなしカリスマインストラクターといわれる箱田忠昭氏の『話す力、伝える力』(成美堂出版)には、「どうしてくれるんだ」と怒り爆発のお客さま対処法の中に、「一説によると、人は5分半以上は怒り続けられないという。疲れてしまって、ピークはそう続きません。」とありました。

弁護士の横山雅文氏は「苦情者の興奮は10分もしないうちに冷める」と
また、『プロ法律家のクレーマー対応術』の著者で弁護士の横山雅文氏は、「苦情を言ってくる人々は例外なく興奮しています。ですから、その興奮が収まるのをしばらく待つことが大切です。人間の怒りや興奮が持続する時間はそう長くありません。10分もしないうちに、興奮は冷めてきます。そこを見計らって、事実確認の質問を始めるのです。」とアドバイスしてくれています。いずれにしても5分、長くて10分は辛抱のしどころですね。お二人の有識者の見解を参考に、みなさんのご奮闘をお祈りいたします。

●さて今回は、幾分本題からずれた感もないわけではありませんが、お客さまの心情をホスピタリティ・マインドで受け止めるためには、人間そのものに対する理解がないと難しいのではないかと思いから、取り上げてみました。次回は、講演会の素晴らしいサブタイトルにふさわしいものを心掛けますので、期待せずにお待ちください。

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2010年9月11日 (土)

レストラン・飲食店のホスピタリティ⑤

今回で、このシリーズを終わりますが、最終回はレストランの接客者(ウェイター・ウェイトレス)の立場からホスピタリティを考えてみます。チップ制度のあるアメリカで、どのようなシチュエーションでチップが決まるのでしょうか。文献から2例紹介し、お客さま(対象はアメリカ人となりますが…)の心情に迫ってみたいと思います。

ミントキャンディーは、はたして〝チップの額〟に影響をおよぼすか?
研修シリーズ第9回(2010年4月24日)に名著として紹介した『影響力の武器』の続編ともいうべき『影響力の武器 実践編』が2009年に出版されましたが、その中に、ミントキャンディーの扱い方で、接客者にとって大切な収入源であるチップの額が大きく変わるという、大変興味深いことが書かれていますので紹介します。

3つの条件による実験が、微妙な顧客心理を見事に浮き上らせた
行動科学者によるある実験によると、チョコレートやキャンディーがチップの額に驚くほどの影響力があることが分かりました。「設定された3つの条件のうち、最初の条件では、伝票を渡す際にウェイターが客1人につき1つキャンディーを渡しました。キャンディーを全くもらわなかった人たちと比べて、この群のチップ平均額は3.3%と、わずかながら多くなっていました。」

レストランには不思議な〝キャンディー方程式〟が存在するらしい
「2番目の条件では、キャンディーの数を1人2つずつに増やしました。すると、1個いくらもしないキャンディーを足しただけなのに、何ももらわなかった場合と比べると、チップの額は14.1%も多くなりました。この結果は、何かをもらうとその分だけ返さなくてはならないと感じてしまう返報性の原理を知っていれば、当然予測可能です。では、どのような要因によって、こうした贈り物やサービスの説得力が増すのでしょうか。その答えは、3番目の条件の結果が教えてくれます。」

1個いくらもしないキャンディーがお客に〝魔法をかける〟瞬間
「3番目の条件では、ウェイターはまずキャンディーを1人1個ずつテーブルで渡しました。そして、いったん客のテーブルから離れる素振りを見せてから、途中でわざわざ戻ってきて、ポケットから2個目のキャンディーを人数分だけ取り出して渡したのです。この一連の動作は、客に対して「おっと、みなさんはいいお客さんですから、もう1つずつキャンディーをサービスしておきますよ」というふうに見えます。さて、結果をみると、この条件ではチップが23%も多くなっていました。」

キャンディーも使わず、もっとチップを増やす方法がある?
「ある調査では、客の言葉とまったく同じに注文を繰り返しただけ(言い換えも、うなずくのも、「はい」もなしで、ただその注文を一語一語繰り返すだけ)で、ウェイターに支払われるチップが70%も増えました。
なぜ、相手を正確に真似すると、その人からそれほど気前のよい反応を引き出すことができるのでしょうか。恐らくこれは、自分に似た人を好むという人間の持って生まれた性質に関係していると考えられます。」これも出典は上記と同じです。

●ホスピタリティというと、お客さまに喜んでいただける〝最良のおもてなし〟へと気持ちが一気に向かいがちですが、ミントキャンディーの例などを見ると(ただし、3番目のポケットから取り出すのは少々いただけませんが・・・)、接客側に多少の遊び心があってもよいような気がいたしました。また、ウェイターのオウム返しが効果絶大というのも面白いですね。ビジネスマナー研修の「報・連・相」では、相手の発言に対する〝確認の大切さ〟を必ず取り上げますが、このお話をすることで、講師の説得力が増しそうな気がいたします。

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2010年9月 4日 (土)

レストラン・飲食店のホスピタリティ④

このシリーズでは、過去のブログからいくつか、レストラン・飲食店に関わるものを紹介してまいりましたが、今回は、日米のホスピタリティ・シーンの比較の観点から、【コールセンター応援歌】第27回 の「セレブの奥様の座を射止めたきっかけは・・・」と題した、あるレストランでの出会いの一コマの概略転記から始めます。

食事を運んだウェイトレスが、「どうも、お待ちどうさま」と言って、お膳をお客さまの前に置き、さらに、「どうぞ!」と軽くほほ笑んで、ちょうど良い位置に据え直してくれたそうです。「どうぞ!」の一言と、そのほほ笑み(笑顔も、決していやらしい媚ではなく、本当に女らしい愛嬌を感じさせた)に、セレブの奥様がすっかりほれ込んでしまい、後日、ご子息のお嫁さんにと申し入れがあったというおめでたいお話しでした。

これと同じようなお話がアメリカにもあります。『顧客第2主義』の著者であるハル・ローゼンブルース(地方の代理店を短期間に全米3位の旅行代理店に成長させた)が、自身の価値観を一変させたあるウェイトレスとの出会いを自著の中に書いています。東西の比較としても興味深いので紹介いたします。

彼女が私にコーヒーを注ごうとしたとき、予期せぬことが起こった
「彼女は丁寧で、愛想がよく、てきぱきとしていた。自分の仕事に誇りを持っていることが伝わってきたので、私はサービスもよいのではないかと思い始めた。そして、彼女(フランシス)が私にコーヒーを注ごうとしたとき、予期せぬことが起こったのだ。通常、標準的なレストランでは、注文したコーヒーの90%がカップに注がれれば、上出来である。」

コーヒーを注ぐ前、「右利きですか、左利きですか?」と聞かれた
「しかしフランシスは、コーヒーを注ぐ前、私に
『右利きですか、左利きですか?』と聞いたのである。
右利きが幅を利かす世界で、そう聞かれたこと自体が驚きだったが、レストランのウェイトレスに聞かれたことはもっと驚きだった。私が『左利きだ』と答えると、彼女はコーヒーカップを左側に移し、食器もすべて左利き用に置き換えたのだ。」

ハル・ローゼンブルース氏の提唱する「社員第一主義」とは
顧客第2主義を掲げる経営者が、ウェイトレスのホスピタリティに感動したお話です。ここで、誤解のないように、ハル・ローゼンダール氏の顧客第2主義(裏を返せば社員第一主義)を同書のご本人の言葉を借りて解説しますと、「社員を大切に扱い、社員の価値を認め、社員に力をつけさせるのだ。企業が社員を最優先すれば、効果は絶大である。社員は心から良いサービスを提供する気持ちになるからだ。」ということです。

●米国には、ハル・ローゼンダール氏のように社員第一主義をモットーとする会社は日本よりはるかに多いようです(格安航空会社でありながら、優良企業として評価の高いサウスウエスト航空に関する『社員第一、顧客第二主義―サウスウエスト航空の奇跡』という書籍もあります)。とはいえ、『顧客第2主義(THE CUSTOMER COMES SECOND)』のタイトルは、本書の初版が出版された1992年(本稿は2003年の改訂版を参考にしています)当時としては、米国でもセンセーショナルだったのではないでしょうか。

●なお、参考までに記しますと、同氏が急成長させたローゼブルース・インターナショナル社は『顧客第2主義』によると、顧客に占める法人比率が95%だそうですから、旅行代理業という典型的なサービス業とはいっても、一般顧客を対象にした企業とは、状況が多分に異なるであろうことを、賢明な読者はお含みください。

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