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2010年10月 2日 (土)

「コールセンターのホスピタリティ」③

真実の瞬間の15秒とは、主にサービス業で使われる言葉で、接客などの現場で企業(従業員)が利用者(顧客)と接するわずかな時間のこと(コールセンターでは、最初の15秒)として語られています。日本では新鮮な響きを持って受け入れられた言葉でしたが、実は、西欧では日常的な言葉として使われていていたのでそうです。

〝真実の瞬間〟とは、闘牛士が牛をしとめる「トドメの一撃」のこと
〝真実の瞬間〟という表現は、スペイン語の“La hora de la verdad”に由来するそうで、闘牛場で闘牛士がウシを仕留める(あるいは逆襲されて闘牛士が命を落とす)一瞬をいうのだそうです。それを直訳した英語表現〝Moment of truth〟も、本来は「とどめの一撃」「正念場」という意味だそうですが、英語圏のビジネスシーンでは顧客接点の重要さを表す言葉としても一般的に使われることがあるそうです。

闘牛場の熱狂が、世界のサービス業の最前線に持ち込まれるようになった
この劇的な一瞬〝Moment of truth〟を、企業が顧客と接する時間に置き換えて、1978年にマーケティグ用語として表現したのは、スウェーデンの経営コンサルタントのリチャード・ノーマン氏でした。このコンセプトに共鳴したある経営者の活躍が、カルメンがしびれたかもしれないスペイン語“La hora de la verdad”を、サービスの世界の金言へと変えたのでした。

経営不振のスカンジナビア航空を再建に導いた〝真実の瞬間〟とは
2年連続して赤字に転落したスカンジナビア航空(以下SAS)の再建を託されたのは、当時弱冠40歳だったヤン・カールソン氏。彼は社長兼CEOに就任すると、「企業は顧客と接するとき(真実の瞬間)から、すべてを学ぶべきである」と提唱しました。この提唱を受け、何から手を付けるべきか現場調査を行った結果・・・

顧客は1回のフライトで5人のSAS従業員と平均〝15秒〟接していた
年間1000万人の旅客が、それぞれほぼ5人のSAS従業員に接し、その1回の応接時間の平均が15秒であることがわかったそうです。ヤン・カールソン氏は自伝的著書の中で「1回15秒で1年間に5000万回、顧客の脳裏にSASの印象が刻みつけられたことになる。その5000万回の〝真実の瞬間〟が、結局SASの成功を左右するのである。その瞬間こそ私たちが顧客に、SASが最良の選択だったと納得させなければならないときなのだ」と述べています。

「サービスマネジメント」のルーツはSASのヤン・カールソン手法
この〝15秒〟を最大限に生かすため、カールソン氏は現場スタッフを適正に訓練し、意思決定に必要な情報が得られるよう環境を整備したうえで、顧客1人1人のさまざまな要望・問い合わせに対して迅速かつ適切な対策を講じる責任と権限を委譲しました。規則や規定に基づいた画一的サービスや上司の判断を仰ぐようでは、せっかくの〝真実の瞬間〟を無駄にしてしまうと考えたからでした。カールソン氏のこのやり方は、その後の発展・洗練を経て、今日では「サービスマネジメント」と呼ばれています。

カールソン氏の自伝的著書の英訳版タイトルが「Moment of truth:真実の瞬間」
困難と目されていたSASを見事に再建したばかりでなく、優良企業の仲間入りをさせたヤン・カールソン氏の著書は広く米国で読まれることになり、一躍〝真実の瞬間〟という言葉が脚光を浴びることになりました。ご存知のように、米国はマーケティグの先進国ですから、具体数の〝15秒〟には強烈なインパクトがあったものと思われます。

なお、この稿は『真実の瞬間―SASのサービス戦略はなぜ成功したか』『「真実の15秒」で個客をつかむ』『コトラーのホスピタリティ&ツーリズム・マーケティング第3版』『ホスピタリティ・マーケティング用語辞典』等を参考にさせていただきました。さて、次回はコールセンターの重要業務となりつつあるVOC(Voice of Customer)の華々しい成功事例を紹介いたします。

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