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2010年10月

2010年10月30日 (土)

「面接官・就活研修から」②ノンバーバルコミュニケーション

コミュニケーションには、言葉によるバーバルメッセージに基づいたバーバルコミュニケーションと、ノンバーバル(非言語)メッセージによるノンバーバルコミュニケーションとがあります。私たちは通常、バーバルメッセージとノンバーバルメッセージを組み合わせて対話しています。今回は、前回紹介した〝「印象の良かった、悪かった」面接に関するキーワード〟の中から、コミュニケーションがうまくいかなかったために、印象に大きな違いが出たキーワードを対比して取り上げます(⇔の左が印象の良いキーワード、右が印象の悪いキーワード)。
少し硬い話で恐縮ですが、末尾に殿方が喜びそうな女性の男性に対する〝非言語シグナル〟に関して書きますので、辛抱して最後までお付き合いいただければ幸いです。

バーバルコミュニケーション(面接でのプレゼン力&質問力)巧拙対比
ビジョンが明確にわかった          ⇔雑談のような話題ばかりだった
会社の良いところと課題を話してくれた    ⇔他に行きたい企業の悪口ばかり
答えやすい質問を最初にしてくれた    ⇔意図のわからない質問が多かった
自分の答えに関連した質問        ⇔形式的/マニュアル通りの質問
質問に対して、明確に答えてくれた    ⇔こちらからの質問をはぐらかされた

●一時話題を呼んだ『就活のバカヤロー』という本の、『週刊東洋経済』からの転載記事に会社側が〝面接官に対して実施していること〟というのがありました。その記事によると、
特に何もしていない(41・3%)、説明会資料の配布、メール送信(46・4%)、面接官を集めた説明会(18・5%)、面接官を集めた社内勉強会(8・0%)、外部講師を招いた面接官研修を実施(4・2%)でした。複数回答ですから全体を把握するのは難しいところもありますが、驚かされるのは41・3%の会社が何も対策していないことです。これでは、上記右のような印象の悪いキーワードが応募者から発せられても仕方ありませんね。

●次にノンバーバルコミュニケーションの巧拙です。ノンバーバルコミュニケーションにはナップの7分類(動作行動・身体特徴・接触行動・パラ言語・近接学・人工品・環境要因)がよく知られています。この中から、代表的ともいえる動作行動(ジェスチャー、顔の表情、目の動き、身体や手足の動きなどのようなものを指す)と、パラ言語・近接学・環境要因を取り上げます。

こんな初歩的なこともわかっていない面接官がいるなんて、学生が可哀そう!
あいづちうなずきがあった            ⇔書類にメモばかりしていた
自分の話に共感してくれた           ⇔話をしていて反応がなかった
欲しいという気持ちが伝わった        ⇔上からの目線だった
次に会ったとき、覚えてくれていた      ⇔人事の対応がいい加減だった
目をあわせてくれた              ⇔目をあわせず書類だけ見ている

パラ言語(声の質など)・近接学(座席や距離など)・環境要因の対比
会えて楽しかったといってくれた       ⇔「ふーん、それで?」と言われた
笑顔で接してくれた               ⇔ぶっきらぼう
フレンドリーな雰囲気               ⇔面接官との距離が遠い
受付の応対がよかった            ⇔隣の会議室で怒鳴り声が聞こえた

●今回は藤田依久子著『対人コミュニケーション入門(上)』を参考にさせていただきましたが、同書によると、「パラ言語とは、声の質(声の高さやリズムのこと)、ため息、あくび、笑いのようなもの、声を装飾するようなもの、『あのー』とか『えーとぉ』という言葉を指す。」とのことです。私なりの理解では、面接官の「ふーん、それで?」と言った声のトーンが応募者を不快にするものだったように推測されます。〝ぶっきらぼう〟も態度というよりは、言葉の抑揚が与える印象の方が大きいでしょう。

●ここからは、予告の男性に対する女性の〝非言語シグナル〟のお話(ただし米国事例)です。
独身者向けのバーで観察研究したところ、女性による「誘惑行動」(15秒以内に男性を近くに引き寄せる身体的動作と定義される)は、〈横目で見る〉(服や髪を整える)〈ほほ笑む〉〈笑い声を上げる〉〈うなずく〉〈助けを求める〉〈他の人に触れる〉といったものだったという。それほど魅力はなくても誘惑行動のレベルが高い女性は、魅力的だけど誘惑行動のレベルが低い女性より、男性にアプローチされることが多かった。

この観察の結果、研究者たちはバーにいる女性が10分間にどれくらいの頻度で部屋を見回し、男性に微笑み、髪をなでつけたかを記録するだけで、その女性がそれから20分以内にダンスを申し込まれるかどうか、90%の確率で予測できたそうです。
このとても興味深いお話は、サンドラ・アーモット&サム・ワン著『脳のしくみ』からでした。

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2010年10月23日 (土)

「面接官・就活研修から」①効果的なプラスイメージ表現後置話法

9月以降「採用担当者研修」を何回か担当させていただいております。その折、分かりやすい資料として活用させていただく一つに、岩松祥典著『採用力を確実に上げる 面接の強化書』の中の〝「印象の良かった、悪かった面接」に関するキーワード〟があります。このキーワードを私なりに、面接当日のシチュエーション別に仕分けし、材料として提供するのですが、そのうちのいくつかを今回から紹介いたします。

「面接官の説明」で明暗を分けるキーワードは
【印象の良かったキーワード】:「会社の良いところと課題を話してくれた」
【印象の悪かったキーワード】:「会社のアピールばかりされた」
面接という限られた時間の中では、どうしても、自社をアピールしたくなりますが、それが逆効果だということがよく分かります。どんな優良企業にも課題はあるはずですから、それを語る〝勇気〟を持っていただきたいですね。ただし、自社の課題とアピールのどちらを先にするかで、その印象は大きく変わります。

逆さまにするだけで効果が格段に違ってくる、プラスイメージ表現後置話法
「好ましい課長のタイプは?」 というアンケートを2種類試すと、内容はまったく同じでも、プラスイメージが後に来る方(下記質問例1)が圧倒的に支持されるそうです。
質問例1. 時には規則を曲げて無理な仕事をさせることもあるが、仕事以外でも人の面倒をよく見る・・・84%
質問例2. 仕事以外でも人の面倒をよく見るが、時には規則を曲げて無理な仕事をさせることもある・・・47%
『説得力が湧きでる本』山口弘明著/ダイヤモンド社刊より

久米宏流「この政治家は嫌なやつなんだぞ!」と、TV視聴者に思わせる法
この倍近い評価の違いには驚かされます。以前久米宏さんが『文藝春秋』の「ニュースステーションのすべてを語る」という記事の中で「この政治家は嫌なやつなんだぞと、テレビを見ている人に思わせるのってそんなに難しいことじゃないんです。つまらないことでわざと怒らせてみたり、相手に見えないように横を向いて嫌な顔をする。原稿を握りしめてインタビューするとか、非常に困った表情をしちゃうとか・・・」と語られているそうですが、そんな高度なテクニックがなくても、マイナスイメージ後置話法(上記質問例2)で、人の評価を落とすことが簡単にできそうで、なんだか怖い気がいたします。

レストランの広告でもプラスイメージ表現後置話法は有効
以前にも紹介したことのある『影響力の武器 実践編』の中にも、「3つのレストラン広告の比較」という同様の事例がありましたので紹介します。
1つ目には、“寛いだ雰囲気”と、プラス面だけを載せました。
2つ目は、“当店は寛いだ雰囲気ですが専用駐車場はありません”とプラス面とそれに無関係なマイナス面を載せました。
3つ目は、 “当店は狭いですが寛いだ雰囲気” と、マイナス面とそれに関係したプラス面を載せしました。
2つ目、3つ目のメッセージは、ともにレストランオーナーへの信用を向上させましたが、レストランの評価が最も高かったのは、3番目のプラス面とマイナス面に関係性(広告を見た人は二つのメッセージをつなげて考えることができた)があるメッセージ(プラスイメージ表現後置話法になっています)でした。

●今回は、採用面接に関するキーワードから、久米宏さん、レストランの広告比較と幅を広げましたが、ご年配の採用担当者の方の中には、ある程度価値観が確立されている方もいらっしゃいます。研修の場で、このような話題を提供しながら進めますと、自然に年代間の垣根が低くなり(残念ながら垣根がなくなることは難しいですね…)、ロールプレイングが盛り上がります。次回以降も、このような事例をいくつか取り上げます。

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2010年10月16日 (土)

「コールセンターのホスピタリティ」⑤

2010年9月2日の朝日新聞 (夕刊)に「この名前仕事用です――ビジネスネーム 利用増える」という7段記事(かなり大きな取り扱い:山本注)がありました。ビジネスネームを使うことの効用について、記者と精神科医・香山リカさんの興味深い解説もあります。ご覧になっていない方のため、記事の概略を紹介した後に、ビジネスネーム(芸名)を意図的に使うことで、思わぬホスピタリティ効果を発揮している米国の「お客様電話相談センター」の事例を紹介いたします。

「この名前仕事用です(2010年9月2日朝日新聞・夕刊)」記事の前文(リード)
「仕事で本名と違う名前を名乗る『ビジネスネーム』が増えている。近年目立つのは、女性の企業家らがインターネット上などで本名が出回ることを避けるために使うケース。理想とするビジネスパーソンに『変身』できる、との思いもあるようだ。社員全員が会社の業種にまつわるビジネスネームを持っている会社もある。(藤方聡)

トイレの環境改善を扱う(株)アメニティの業種にまつわるビジネスネーム  
同社では、山戸里志社長が名付け親となり、入社式で命名書を手渡すそうです。今年入社したKさんのビジネスネームは「公道英厠考(くどうはなぶさしこう)」で、命名書には「トイレ文化の創造を目指す宣言が込められている」とあり、手が込んでいますね。同社の代表事例として掲げられえているのは「鈴木雪隠(せっちん)」「水仙(すいせん)美樹」「志便(しべん)太郎」と、思わずうなりたくなる? 傑作ばかり。

「自分を別人視できる」と、精神科医の香山リカさんが解説  
「本名と違う名前で呼ばれたり、名刺を作ったりすると、『かなりキャラクターが変わる』と指摘する。企業家の女性にとってビジネスネームは「この名前になったら、バリバリやっていける、理想のビジネスウーマンのキャラクターにパッとなれる、と思わせる力を持っている」。逆に仕事で失敗した時は『失敗したのは、本名の私じゃなくて、こっちの人なんだ、と一つクッションになる』と言う。(以下略)」 

本名と違った名前を義務付けられる米国IT企業の「お客様電話相談センター」
これは、『経験経済』という本の中に出てくる米国の大手コンピューターメーカーの「お客様電話相談センター」のお話です。この会社の従業員は皆、本名と違った名前を使わなくてはならないそうです。同書によると、そもそものきっかけは、同じ名前の人がいない状況を作りたかった(お客様が指名したら、必ず同一人にたどり着くことを意図)ことのようですが、その運用の過程で、思わぬ副次効果が出たらしいのです。

「芸名」は役柄づくりに役立ち、電話応対係が個性を持つようになった
前出の朝日新聞記者同様、この筆者も興味深く語っているのは〝変身〟効果です。
「違った名前を持つことが役柄作りに役立つということだ。電話係が個性を持つようになり、取り換え可能な部品として扱われなくなる。職場で『芸名』を使うことは、個性的な独自の表現を可能にし、個々のユニークなスタイルを通じて、自分自身を魅力的な演技者として表現し、顧客の思い出に残るような会話を可能にするのだ。相談センターの優れた演技者は、顧客と会社の双方から必要とされるのだ。」

●営業的なアウトバウンドを行うに際して、センター全体で統一ネームを使うことはよくあるケースですが、応対者がビジネスネーム(芸名)を使用する大手企業のセンターは、日本にはあまりないと思います(もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、是非ご教唆下さい)。
でも、そろそろ、そうした機運があってもよいかもしれませんね。メリット、デメリットそれぞれに考えられますが、クレーム対応がともなう応対者には、メリットの方が大きいように感じるのは、私だけでしょうか。

●いろいろなセンターの研修やご相談にあずかりながら実感するところですが、クレーム発生時、しっかりした受け皿(上位職者のアドバイス受けやすい、もしくはエスカレーションに抵抗がない)があるセンターほど、クレーム発生率は低いようです。その最大の要因は、応対者が心にゆとりを持って対応できるからでしょう(この姿勢は、対話者に不思議なほど通じる)。
ビジネスネームが、香山先生(香山リカのお名前もビジネスネームだそうです:山本注)の紙上解説のように、さらに電話応対者のクッションになり、ホスピタリティ対応を促進してくれるようになることを期待したいと思います。

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2010年10月 9日 (土)

「コールセンターのホスピタリティ」④

「お客様相談室」の草分けが『花王(1954年に消費者相談センターを開設)』であることはよく知られておりますが、その『花王』がVOC(Voice of Customer)活動のシャンプー容器で果たした社会的貢献はあまり知られていないようですので、この機会に紹介させていただきます。あわせて、消費者にとって嬉しいVOCの成果を、親しみやすい商品の中から3点取り上げます。

各社のシャンプー容器にギザギザ状のきざみがついているのは・・・
シャンプーの容器にギザギザ状のきざみがついているのは皆さんご存知ですよね。このきざみのおかげで、目の不自由な方だけでなく、目をつぶって髪を洗うとき、触っただけでシャンプーとリンスを区別できるので大変便利です(改良以前は約6割の人がシャンプーとリンスを間違えた経験があったとか)。このきざみ入り容器は次のような消費者の声(1989年)から誕生しました。 
「シャンプーとリンスの容器が同じで紛らわしい。形を変えて欲しい!」
「洗髪時、目をつぶっていても区別がつくといい。」
「目が不自由なので容器に工夫をしてほしい。」

『花王』は研究成果を自社で独占せず、シャンプー容器の標準モデル化に貢献
『花王』は、お客さまの声を参考に、盲学校に出かけて行ったりして研究し、容器にギザギザ状のきざみを入れる工夫で容器開発に成功しました。このとき、『花王』は「商標登録」や「特許」を取得せず、他社や業界団体にもこのデザインを公開しました。「より多くの人が間違えずに快適に使っていただくために、自社で独占することを放棄した」のだそうです。その結果、現在では大半のシャンプーメーカーがこの形をシャンプー容器に採用することとなり、「きざみ」はシャンプーの標準モデルとなりました。なんか、心が温かくなるいいお話ですね。

『小林製薬』「ブルーレットおくだけ」詰め替え用容器をカップ容器に改良
小林製薬では、お客様相談センターがニッチなアイデア商品を開発し、ヒットさせているとのこと。主力のトイレ用芳香消臭剤「ブルーレットおくだけ」では、「詰め替え時に手が汚れる」というクレームに応じて改良をセンターから提案し、手をよごさずに薬剤を詰め替えられるカップ容器型に結びつけたそうです。他に、消費者の声を生かし「のどぬ~る ぬれマスク」や「ケシミンクリーム」などの新製品も相談室が生み出したヒット商品とか。

『資生堂』「TUBAKI]のコンディショナーキャップを丸から平らに
資生堂のお客様センターは、1969年にスタート(やはり歴史がある:山本注)し、苦情・クレームを受け付けただけでなく、店頭の美容部員が毎日、顧客との会話をメールにまとめ、専用の携帯端末でお客様センターに送ってくるそうです。その中に、椿の花弁をかたどり、キャップが丸みを帯びていた「TUBAKI]のコンディショナーは、「中が減ると、出しにくくなる」との声があり、これを受けてキャップの上部を平らにしたそうです。このおかげで、容器を逆さに立ててられるようになりました(筆者も恩恵を受けた一人)。

VOCの最後は、『サントリー』「午後の紅茶」で喉を潤して・・・
お客様相談室のデータベースに蓄積された過去20年分の顧客の不満情報(残しているのがすごい:山本注)を活かして、製品リニューアルに成功したのが『サントリー』です。
顧客情報を洗いだしてみると、「午後ティーって甘い?」「ミルクティ一飲んだら、太りそう?」「レモンティの色は着色料の色?」といったもやもやとした不満や疑問が蓄積されていることが分かったそうです。このような人気後退の原因究明の結果、「紅茶をヘルシー飲料として打ち出そう」という仮説にたどりつき、製品開発に生かしました。

●CMに登場するタレントさんの中には、自分がその製品もしくは商品に納得しないと出演を断る方も多いと聞きます。消費者は、タレントさんのイメージで品物を購入することがありますので、そうした良心的な方を応援したくなります。さて今回は、お話しの性格上メーカー名を具体的に挙げさせていだきました。他のメーカーにお勤めの方、ご愛用者の方にはごめんなさい。いずれも、筆者の愛用品からの紹介ですので、ご容赦のほど。

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2010年10月 2日 (土)

「コールセンターのホスピタリティ」③

真実の瞬間の15秒とは、主にサービス業で使われる言葉で、接客などの現場で企業(従業員)が利用者(顧客)と接するわずかな時間のこと(コールセンターでは、最初の15秒)として語られています。日本では新鮮な響きを持って受け入れられた言葉でしたが、実は、西欧では日常的な言葉として使われていていたのでそうです。

〝真実の瞬間〟とは、闘牛士が牛をしとめる「トドメの一撃」のこと
〝真実の瞬間〟という表現は、スペイン語の“La hora de la verdad”に由来するそうで、闘牛場で闘牛士がウシを仕留める(あるいは逆襲されて闘牛士が命を落とす)一瞬をいうのだそうです。それを直訳した英語表現〝Moment of truth〟も、本来は「とどめの一撃」「正念場」という意味だそうですが、英語圏のビジネスシーンでは顧客接点の重要さを表す言葉としても一般的に使われることがあるそうです。

闘牛場の熱狂が、世界のサービス業の最前線に持ち込まれるようになった
この劇的な一瞬〝Moment of truth〟を、企業が顧客と接する時間に置き換えて、1978年にマーケティグ用語として表現したのは、スウェーデンの経営コンサルタントのリチャード・ノーマン氏でした。このコンセプトに共鳴したある経営者の活躍が、カルメンがしびれたかもしれないスペイン語“La hora de la verdad”を、サービスの世界の金言へと変えたのでした。

経営不振のスカンジナビア航空を再建に導いた〝真実の瞬間〟とは
2年連続して赤字に転落したスカンジナビア航空(以下SAS)の再建を託されたのは、当時弱冠40歳だったヤン・カールソン氏。彼は社長兼CEOに就任すると、「企業は顧客と接するとき(真実の瞬間)から、すべてを学ぶべきである」と提唱しました。この提唱を受け、何から手を付けるべきか現場調査を行った結果・・・

顧客は1回のフライトで5人のSAS従業員と平均〝15秒〟接していた
年間1000万人の旅客が、それぞれほぼ5人のSAS従業員に接し、その1回の応接時間の平均が15秒であることがわかったそうです。ヤン・カールソン氏は自伝的著書の中で「1回15秒で1年間に5000万回、顧客の脳裏にSASの印象が刻みつけられたことになる。その5000万回の〝真実の瞬間〟が、結局SASの成功を左右するのである。その瞬間こそ私たちが顧客に、SASが最良の選択だったと納得させなければならないときなのだ」と述べています。

「サービスマネジメント」のルーツはSASのヤン・カールソン手法
この〝15秒〟を最大限に生かすため、カールソン氏は現場スタッフを適正に訓練し、意思決定に必要な情報が得られるよう環境を整備したうえで、顧客1人1人のさまざまな要望・問い合わせに対して迅速かつ適切な対策を講じる責任と権限を委譲しました。規則や規定に基づいた画一的サービスや上司の判断を仰ぐようでは、せっかくの〝真実の瞬間〟を無駄にしてしまうと考えたからでした。カールソン氏のこのやり方は、その後の発展・洗練を経て、今日では「サービスマネジメント」と呼ばれています。

カールソン氏の自伝的著書の英訳版タイトルが「Moment of truth:真実の瞬間」
困難と目されていたSASを見事に再建したばかりでなく、優良企業の仲間入りをさせたヤン・カールソン氏の著書は広く米国で読まれることになり、一躍〝真実の瞬間〟という言葉が脚光を浴びることになりました。ご存知のように、米国はマーケティグの先進国ですから、具体数の〝15秒〟には強烈なインパクトがあったものと思われます。

なお、この稿は『真実の瞬間―SASのサービス戦略はなぜ成功したか』『「真実の15秒」で個客をつかむ』『コトラーのホスピタリティ&ツーリズム・マーケティング第3版』『ホスピタリティ・マーケティング用語辞典』等を参考にさせていただきました。さて、次回はコールセンターの重要業務となりつつあるVOC(Voice of Customer)の華々しい成功事例を紹介いたします。

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