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2010年11月27日 (土)

メラビアンの法則① 過剰解釈との問題提起

今回で、〝山本志のぶ「木の葉ブログ」〟は通算100回(コールセンター応援歌66回と併せ)となります。私にとっては記念すべき区切りの回に、これまで私の研修を受けて下さった方への報告を兼ね、是非とも書きたいテーマがありました。それは、「マナー研修」や「コミュニケーション研修」で定番ともなっている『メラビアンの法則』についてです。本年8月ごろに問題意識をもち、その後、自分なりに資料を集め、やっと100回目に間に合わせた感じです。そのため、準備不足の点もございますが、連載を続ける中で、足らない部分は補ってゆくつもりでおります。

これまで多くの研修で語られ、著書に記された『メラビアンの法則』とは
一般的な解説例はこんな感じでしょうか。
「人は他人に何かメッセージを伝えようとするときには、通常次の3つの要素(言葉・話し方・ボディランゲージ)でコミュニケーションしています。この3要素がどの程度影響力を持つかを、米国の心理学者メラビアン教授は
『言葉7%、話し方38%、ボディランゲージ(実は「顔の表情」の誤り)55%』と分析しました。これを『メラビアンの法則』といいます。」

「メラビアンの法則」の解釈に、誇張ありと問題提起した佐藤綾子氏の見解
日本のパフォーマンス論の第一人者と言われる佐藤綾子氏はその著書『非言語的パフォーマンス』の中で、「日本の数え切れないほど多くの研究者や教師、マナー教育や人材研修の指導者たちが、顔の表情55%のデータの内容として衣服や髪型まで入れて文書及び口頭で伝えている。研究者の視点から見れば、論外以外の何ものでもない。

※なお、上記コメントの前段部分は、『メラビアンの法則』に関する理解を深めるために、とても重要と思いますので関連資料として最後に付記します。関心のある方はご覧ください。

なぜこのような過剰解釈(「顔の表情」が「ボディランゲージ」に)が生じたのか
私自身が表現上の誤り(適用範囲に制約を設ければ、内容的にそれほどのズレはないように思いますが、この点に関しては詳しく後述)に気付かなかった原因は3つあります(ちょっと言い訳です・・・)。その第1は、教育インストラクターを目指していた頃に受けた各種研修テキストに何度も登場したこと。第2は、研修やマナー関連以外の多くの書物にも同様の内容で紹介されていたこと。以上の2つは正に佐藤綾子氏のご指摘の通りです。そして第3の理由は、それ以前の会社員時代に、次に紹介するアメリカの文献に書かれていた同内容のことを既に読んでいたことでした。

コミュニケーション学教授、ジャネット・エルシー著『4分間交渉術』より
「表情やしぐさなどのボディ・ランゲージと外見は、あなたについての情報をびっくりするほどたくさん相手に提供している。この方面のパイオニア(アルバート・メーラビアン、レイ・バードウィステル、J・ロイシュ、W・ケイスら)の研究によって証明され、現在もマーク・ナップ、ポール・エックマン、ナンシー・ヘンリーらの専門家たちが実証し続けているように、非言語コミュニケーションだけで、あなたが持参した「メッセージ」の半分以上を提供してしまうことがあるのだ。」
※同書は米国で1984年に出版され、日本語訳は1989年に出版されています。上記文にはメラビアンの呼称はありませんが、巻末の「原注」に〈先の2書籍を参照〉と、meherabianの1967年、1982年の文献が明記されています。

『4分間交渉術』からの「メラビアンの法則」関連部分抜粋
「見た目で、あなたの印象の半分以上が決まってしまう」と多くのコミュニケーションの専門家たちは断言している。言おうとすることの55%は、まだ口を開きもしないうちに、顔の表情としぐさなどのボディ・ランゲージだけで伝わってしまうという。
次に、他人(ひと)は耳に入る音に注意を集中する。あなたが話すときの声は、音色、声の大きさ、高さ、音質、抑揚などさまざまな特徴を示す。実際に話される言葉とは別に、あなたの声だけで、面と向かって話す相手に言おうとすることの38%が伝わるという。これが電話となると、相手には顔の表情や身ぶり、視線などのボディ・ランゲージが遮断されているから、声が伝える情報量はぐんと多くなる。
そして最後に、やっとほんのわずか、あなたの言葉に注目するが、それで伝えられるのは、言おうとしたことのほんのわずか7%にしかすぎない。

●『4分間交渉術』を書いたジャネット・エルシー女史は、同書の紹介文によると「コミュニケーション・スキルズ社」の創設者で、スピーチ・コミュニケーション並びに演劇をテーマに、アイオワ大学から博士号の学位を取得。アリゾナ州立大学コミュニケーション教授(1970~78年)。彼女のコミュニケーション指導を受けた団体には世界銀行、カーター時代のホワイト・ハウスなどがあるとのこと。きわめてパワフルな女性であり、著書の影響力も大きかったものと思われます。

●前出の佐藤綾子氏以上に辛辣に、『メラビアンの法則』の過剰解釈を取り上げているパオロ・マッツァリーノ氏(日本在住のイタリア人?:山本注)は、著書『反社会学講座』の中で「リチャード・スプロートさん(WebによるとAT&Tの方のようです:山本注)は、この法則を都市伝説(口コミで広まった、原典が不明確なお話)のひとつだと断じています。」と書かれています。

●次回以降では、はたして『メラビアンの法則』は、リチャード・スプロート氏が語るように本当に都市伝説なのかどうかを、ご当人・マレービアン氏(法則の出典である下記出版物の著者名、他著者の非言語コミュニケーション関連書籍にはメラビアン、メラービアン、メーラビアン、meherabianでも登場するが、いずれも同一人物、本ブログではマレービアンとする)著『非言語コミュニケーション』(1986年、聖文社刊)より、関連箇所をピックアップしながら、検証していきたいと思います。

【関連資料】佐藤綾子著『非言語的パフォーマンス』より前出文の前段部分
言語的な内容は話し手の意図の手がかりとしてあるが、それに比重は置かれずむしろ、音声的手掛かりからくる内容に多く比重が置かれると主張し、一連の注目すべき研究を行ったもう一人の代表的研究者メラービアンとウェイナーは、マイナス・プラス、そのどちらでもないゼロに評価された単語(英語)を使って、プラスかマイナスの声の調子である単語を相手に聞かせた。この実験の結論は次のようである。「内容と声の調子の両方を一緒にした情報をもとにして話し相手の態度について推論するわけだが、その変動は主として声の調子の変化によるものである。例えば内容から伝わる態度がマイナスの態度を伝えていると判断するのである」(Mehrabian&Weiner,1967,筆者訳)。
同じような方法で行われた研究に、音声の手がかりを顔と言葉の手がかりと対比したのがあるが、それによると顔の手がかりが一番影響力があった。このような研究を土台にメラービアンとウェイナーは言葉と音声と顔の手がかりの与える影響の差異を表す次のような公式を考案した。
「知覚される態度=言葉0・07+音声0・38+顔0・55(Mehrabian&Weiner,1967;Mehrabian,1972,P.108,筆者訳)

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