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2010年12月11日 (土)

メラビアンの法則③ 法則に至るプロセス

前回の最後は、マレービアンのノンバーバル(非言語)の重要性に関する記述
「意思伝達におけるノンバーバルの重要性を理解している人は、社会において成功するだろう。人の上に立つ人は言うに及ばず、演技を必要とする職業、説得を必要とする職業には特に大切である」でした。
研究そのものは1967~72年の間に行われたようですから、40年近く前に今日のコミュニケーションの在りようを予見していたように思われます。そう考えると凄いですね。さて、今回は、『メラビアンの法則』の核心部分に踏み込みます。

そもそもの研究は、矛盾するメッセージを見抜く方法の模索から
(本文95頁より)「人が喋っている時、話しかけられた時、そして誰かに話しかける時、諸刃(もろは)のメッセージに注目してみよう。言葉のメッセージと、声の調子、顔の表情、姿勢、身振りとが矛盾する頻度はどの程度だろうか。矛盾するメッセージは、特定の状況において使用される傾向があるだろうか。好意を表す発言と矛盾する行動を見抜くことができるであろか。その方法は何か?」

実験から導かれた「好感」を測る公式
(本文96頁より)「矛盾するメッセージ全体の一般的意味ないしインパクトを分析する系統だった、そして一貫したアプローチは存在するのかということである。その答えは、「然(しか)り」である。われわれが行った実験から、次のような結果が出たのである。
好感の総計=言葉による好意表現+声による好意表現+顔による好意表現
100%           7%           38%          55%

つまり、顔の表情のイ ンパクトが最大で、次が声の調子(音声表現)、最後が言葉となっている。もし表情と言葉が矛盾する場合は、表情によって伝えられる好意の方が優先して、それによってメッセージ全体のインパクトが決まってくる。他方、録音テープのメッセージや電話の会話において、声の調子と言葉が矛盾することがあれば、前者が全体のインパクトを決定することになる。これは、次の場合にも当てはまる。1.言葉は肯定的で、声の調子が否定的な場合は、全体として皮肉なメッセージとなり、否定的なものとなる。 2.言葉は否定的であるが、声の調子が肯定的な場合は、全体として肯定的になる。」

「好意の公式」→「感情の公式」→「メラビアンの法則」(応用範囲に制約)
「一般化すれば、言葉より、行動という伝達手段の方が、他人に感情や態度を伝えることと、密接な関連を持っている。そこで、前述の等式を、どの感情にもあてはめられるように書き換えてみよう。
感情の総計=言葉による感情表現+声による感情表現+顔による感情表現
 100%         7%           38%          55%

この等式中の数値は近似値にしか過ぎないが、言葉、声の調子、そして表情の三者間における重要性の順位は、今後の実験においても変わることはないであろう。この等式を利用する時は、一度に一つの次元の分析に限る必要がある。その次元とは、好意-嫌悪、快-不快、支配-服従、覚醒-無覚醒などであり、また、喜び、心配、苦痛、怒り、憂うつ、好奇心などの特定の感情でもよい。」

視覚と音声に極端な食い違いがあると『メラビアンの法則』は信憑性を失う
(本文99頁より)「声と視覚(顔と体)によるキュー(合図)を用いた、快-不快、支配-服従を示す矛盾したメッセージを総合的に研究した結果、次のことが判明した。余り大きくない矛盾を含むメッセージの全体的な意味を決めるに際しては、視覚的なキューの方が、声のそれよりも影響力は大きい。この視覚的なキューの方が、視覚のそれより重要となる。この逆転は、次のように説明されている。視覚と音声のキューの間に極端な食い違いが生じる場合、つまり欺瞞が感じられる時は、視覚的なキュー(後者に比べ、偽装は容易)は、信憑性をうしなう傾向がある。」

●今回で『メラビアンの法則』の成立過程が少し見えてきました。この法則に対する問題提起の1つは過剰解釈。いま1つは、その根拠への疑問符だったと思います。しかし、等式利用時の制約が明記されていたことで、後者に対する問題提起には解答が得られた(「顔の表情」の「ボディーランゲージ」への過剰解釈を容認しているわけではありません)と思います。

●なお、実験方法(本文中の当該部分を補足資料として、最後に付記します。さらに詳しく知りたい方は「天使と悪魔のビジネス用語辞典」というサイトが詳しいので、そちらをご覧ください)の妥当性に対する問題提起については、後日、他の研究者による研究成果をご紹介して、私なりの意見を述べさせていただきます。

【補足資料】実験方法についての記述(本文99頁より)
「実験室において、まず言葉のメッセージを発している被験者をビデオに撮り、それから数人の者が、個々にそのメッセージが受け手に与える印象という観点から、コミュニケーションの種々の面を、-3から+3まである尺度を用いて評価する。この手順は、もちろん人為的であり、このまま実験室の外で応用できるものではない。しかし、これによって、体系化されていない直感に基づいたデータを客観的なものにすることができるのである。例えば、被験者が伝えた幸福感を見積もる時は、ビデオテープを音なしで再生し、数人の審判が、その画像を見て、顔の表情を、-3(極端に不幸)から+3(極端に幸福)まである尺度を用いて評点をつける。次にタイプしたメッセージ(紙に書いた文字のみで、音も映像もない)も、同じ尺度を用いて評点がつけられる。最後に、録音した音声を、電子装置を使って音声表現の特徴を残しながら、話の内容は理解できないようにする。この濾過(ろか)した音響メッセージに同じ尺度を用いて評点をつけるのである。
この例において、表情は-2、言葉は+2、音声表現は-2の点数を得たとしよう。この数値を等式にあてはめれば、被験者が伝えた幸福感は-1.72(-2×38%+2×7%-2×55%=-0.76+0.14-1.10=-1.72:山本注)という総合得点が得られる。この場合、音声表現と表情は、双方とも不幸である(-2)と判定されたので、メッセージ全体としては、この両者のインパクトと非常に近くなっている。言葉は、この場合、相当の幸福感(+2)を示しているのだが、全体の点数にはあまり影響を与えていない。
二番目の、さらに一般的な等式は、言葉と音声表現と表情を組み合わせるためにのみ作成されたものである。この結果から推定すれば、次のような、安全度のかなり高い一般化を行うことが可能である。もし、言葉以外の行動が、言葉と矛盾する時、メッセージ全体のインパクトを決定するのは前者である場合が多い。言い換えれば、表情を音声表現、および接触、位置(距離、前かがみ、または視線)、姿勢、身振りなどは、すべて言葉より重要であり、メッセージが全体として与える感じを決定してしまうのである。」

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