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2010年12月18日 (土)

メラビアンの法則④ 海外著名作家作品に登場する過剰解釈例

前回の補足資料の最後は、「二番目の、さらに一般的な等式は、言葉と音声表現と表情を組み合わせるためにのみ作成されたものである。この結果から推定すれば、次のような、安全度のかなり高い一般化を行うことが可能である。もし、言葉以外の行動が、言葉と矛盾する時、メッセージ全体のインパクトを決定するのは前者である場合が多い。言い換えれば、表情と音声表現、および接触、位置(距離、前かがみ、または視線)、姿勢、身振りなどは、すべて言葉より重要であり、メッセージが全体として与える感じを決定してしまうのである。」でした。

●上記文章の太字部分、特に〝安全度の高い一般化を行うことが可能である〟との解説に続く動作を含めたノンバーバルコミュニケーションへの言及が、『メラビアンの法則』の「顔の表情」を「ボディランゲージ」に過剰解釈させる引き金になっているように思われます。
このシリーズの初回(第34回)で、私自身の過剰解釈の一端となった『4分間交渉術』の当該箇所を記しましたが、2000年以降に国内で刊行された翻訳本に同様な事例を2つ確認しています。いずれもベストセラー作品の著者の手になるものであり、名前をご存知の方も多いと思いますので、参考までに以下に紹介します。

『話を聞かない男、地図が読めない女』『嘘つき男と泣き虫女』の著者作品から
上記〝意味深タイトル〟の2冊はアラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ夫妻の作品ですが、彼らが米国で2004年、日本で2006年に刊行した『本音は顔に書いてある(原題はThe Definitive Book Of Body Language)』の中に、『メラビアンの法則』の過剰解釈があります。

「20世紀に入ると、顔の表情やボディランゲージが本格的に研究されるようになる。1950年代に活躍したアルバート・メラービアンは、ボディランゲージ研究の先駆者的存在である。彼によると、情報を伝える時に言葉が果たす役割は、全体のわずか7%にすぎないという。これに対して、声の調子やイントネーション、声以外の音が38%言語以外の表情や態度が55%もの割合を占めている。」

『愛する二人別れる二人―結婚生活を成功させる七つの原則』の著者作品から
「私が夫婦の会話を聞いていて、離婚を予測できるのは、リペア・アテンプト(修復努力)の不成功が不幸な未来へ夫婦を確実に誘導するからである。4つの危険要因(①非難、②侮辱、③自己弁護、④逃避)だけが存在する夫婦の場合、82%の正確さで離婚が予測できる。それにリペア・アテンプトが成功しない夫婦の場合、正確度は90%台になる。」

●こんな怖い研究をしているジョン・M・ゴットマン氏が心理学、健康、家庭問題を専門とするフリーライターのジョアン・デクレアとの共著で出したのが『「感情のシグナル」がわかる心理学』(米国2001年刊/日本2004年刊)ですが、その中にも『メラビアンの法則』の過剰解釈があります。

「実験によって、人は言葉よりも、表情など非言語的なサインを信用することもわかっています。わざと表情や声のトーンと矛盾する言葉を言うと、相手はどう受け止めるか――たとえば「楽しくお過ごしください」というセリフを、しかめっ面で、どなるように言ったり、人なつこい笑顔を浮かべて「地獄へ行け」というなどです。
ある研究によると、私たちが相手の感情を知るのに、ことばに頼っている割合は7%にすぎず、38%は声の調子やしゃべる速さなどで55%が表情やしぐさという結果が出ています。」
「現実の生活でもそうです。相手の言っていることと、表情などが矛盾する場合、私たちはほぼ100%、言葉を信じないで、表情のほうを信じます。

●この2例を見ると、欧米では日本以上に『メラビアンの法則』の過剰解釈が一般化しているように思われます。とはいえ、大学やその他の研究機関に属する研究者が著した書物に取り上げられる場合は、近年発刊されたものでも、日米とも、きちんと「顔の表情」が55%と書かれている例が多いようですが・・・。

竹内一郎著『人は見た目が9割』にも過剰解釈例が
●日本で、その絶妙なタイトルも手伝ってベストセラーとなった『人は見た目が9割』(竹内一郎著/2005年/新潮社刊)にも、『メラビアンの法則』の過剰解釈があります。その記述内容は以下の通り。
「アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は人が他人から受けとる情報の割合について次のような研究結果を発表している。
○見た目・身だしなみ、仕草・表情 55% ○声の質(高低)、大きさ、テンポ 38% ○話す言葉の内容 7%」

●さて、今回の【参考資料】は上記2番目のゴットマン氏の研究内容についてです。以前紹介したことのあるマルコム・グラッドウェル氏が『第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』の中で同氏の研究を詳しく取り上げています。老若男女を問わず、大変興味深い内容!? でしょうから転載し、今回も最後まで読んでいただいたありがたい読者へ、少し早いクリスマスプレゼントといたします。

【参考資料】 『第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』より
「1980年代から始めて、ゴットマンは3000組以上の夫婦を大学の近くに設けた「愛情ラボ」に招き、その会話の様子をビデオに収め、自ら考案した「感情分析(SPAFT=specific affect)に基づいて分析した。夫婦の会話中に現れそうな感情を20種類に分け、それぞれに番号を振ったものだ。嫌悪感は1、軽蔑は2、怒りは7、防御は10、愚痴は11、悲しみは12、拒絶は13、ニュートラル(無感情)は14といった具合だ。

スタッフには被験者の表情から微妙なニュアンスを読みとる方法を教え、ありきたりの会話に潜む意味を的確に解釈するテクニックを伝授した。そして夫婦それぞれのビデオを再生しながら、1秒ごとにSPAFFコードを割り振らせる。すると15分(900秒)一本勝負の夫婦げんかが1800の数列に変換される。「7,7,14,10,11,11」なら、その6秒間に夫(あるいは妻)がちょっと怒りだし、気を鎮め(ニュートラルになり)、一瞬防衛的になったかと思うと愚痴っぽくなったことを意味する。身につけてもらった電極とセンサーからは、いつ心拍数が上がり、いつ汗をかいたか、いつ尻をもぞもぞ動かしたかのデータが抽出される。それを、複雑な方程式で1800の数列と合体させる。

気の遠くなるような作業だが、結果は出た。夫婦の会話1時間分を解析すれば、ゴットマンはなんと、95%の確率でその夫婦の15年後を予測できたのである。わずか15分のビデオでも、確率は90%前後、共同研究者のシビル・カレール教授によれば、「たった3分」のビデオだけでもかなりの精度で夫婦の未来を言い当てられたという。結婚の真実は、私たちが思っていたよりずっと短時間で理解できるものらしい。」

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