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2011年1月 1日 (土)

メラビアンの法則⑥ 「声」から感情を読み取る研究(2)

明けましておめでとうございます。本年も「木の葉ブロク」を書き連ねていくつもりでおりますので、引き続きご愛読いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
さて、前回の「声から感情を読み取る研究」は極めて学術的なものでしたので、読者が退屈してはいけないと思い、若い方にはすでに過去の人になりかけているかもしれませんが、先進国最初の女性宰相、サッチャー英国元首相の〝声〟との取り組みを参考資料として付けさせていただきました。さて、今回は同じ「声の研究」でも、私たちが日常いくらでも遭遇しそうな医師にかかわる大変興味深い内容です。

【医師事例1】アルコール依存症の患者に影響を与える「医者の声」とは
出典は前回も登場した『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著)の、アルコール依存症の患者と医者の関係をハーバードとマサチューセッツの学生30人に判定させた「『パラ・ランゲージ』から読み取れる信頼度研究」です。

「まずマサチューセッツ州の医者9人が、アルコール依存症の新患たちの扱いについて、自分たちの体験を論議している際の声が録音された。次いでハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学:山本注)の学生から選ばれた判定者30人に、この録音を聞かせて、医師たちの声を〈怒りと焦立ち〉〈同情と親切〉〈不安と心配〉〈実務的な冷静さと専門家意識〉の4つの尺度で評価させたのである。」

〈怒り〉と〈焦立ち〉が声に含まれる医師は患者を説得できない!
「この調査結果をざっと見るだけで、それぞれの医師の話し方や声の調子が、アルコール依存症の新患たちにしかるべき治療を受けるよう説得することの成否に影響していることが判明したのである。言い換えれば、医師が患者に話す内容より、その話し方の方がおそらく重要だということだ。」

医師の〝自信のない声〟を、〝信頼できる声〟と聞き違えているのかも!?
「その声に〈怒り〉と〈焦立ち〉の感じが強い医師は、不首尾な結果をもたらすようであり、特にその声に怒りの感情が目立つと判定された医師たちと、彼らによる患者の説得失敗との間には、重要な相関関係が認められたのである。これに反し、その声に心配そうな感じが目立つ医師はほとんど、患者の説得に成功しているのだった。(中略)患者たちは、医師の声に現れる〈不安と心配〉を、その医師の自分たちに対する関心がより強いことを示すメッセージだと解釈するのだと、この研究グループは推論している。」

【医師事例2】誤審を訴えられる医師は、声だけで判断できる!
出典は、これも前回登場の『第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』です。
「実を言うと、医者が医療事故で訴えられるかどうかは、ミスを犯す回数とほとんど関係ない。訴訟を分析したところ、腕のいい医者が何度も訴えられたり、たびたびミスしても訴えられない医者がいることがわかった。一方で、医者にミスがあっても訴えない人がかなりの数にのぼることもわかった。要するに、患者はいい加減な治療で被害を受けただけでは医者を訴えない。訴訟を起こすにはほかに『わけ』がある。」

判断材料は、患者との会話20秒(10秒×2本)の録音テープから
「心理学者のナリニ・アンバディは、レビンソンのテープ(医療について研究しているウェンディ・レビンソンは医者と患者の会話を何百件も録音した:山本注)のうち外科医と患者の会話に注目した。そして1人の外科医について2人の患者の会話を選んだ。次に会話の中から医者が話している部分を10秒ずつ選び、全部で40秒のテープを作った。そして最後にその内容をふるい分けた。単語を聞き分けるのに必要な高周波の音を会話から取り除いた。」

何と!〝威圧感のある声〟の外科医が訴えられやすかった
「あとには意味をなさないイントネーション、声の抑揚、リズムだけが残る。輪切りにした音を使って、アバンディはゴッドマン(第37回に登場した『愛する二人別れる二人』の著者:山本注)と同じような分析をした。それらの音に〈暖かさ〉〈敵意〉〈威圧感〉〈相手に対する気遣い〉といった感情を感じられるかどうか人に評価させてみた。その結果、彼女はこの評価方法だけを頼りに、訴えられた医師とそうでない医師を言い当てることができた。(中略)威圧感のある声の外科医は訴えられやすく、声が威圧的でなく患者を気遣うような感じの外科医は訴えられにくかった。」

●権威あるはずのお医者様が、その声の質で説得力に大きな違いが出たり、訴えられたりすることには驚かされました。不安を抱えている患者は、医師の〈不安と心配〉の入り混じった声を「自信」がないとは聞かず、患者への〝ペーシング〟による〝共感〟と勝手に受け止めるのでしょうか。

●アンバディの研究の基になったウェンディ・レビンソンの研究では、訴えられたことのない外科医は、訴えられたことのある外科医よりも、1人の患者につきあう時間が3分以上長かった(前者が18・3分に対して後者は15分)そうです。また、別の研究では、おしゃべりな医者ほど「患者は満足する」との報告もありました。さて、この多様な人間世界から一転して、今回の参考資料は人間の「声」が動物に通じるか?です。

【参考資料】 米国の親戚を訪ねたドイツ人はドイツ語で犬と会話できたか? 
出典は前々回紹介マジョリー・F・ヴァーガス著『非言語コミュニケーション』です。
「ドイツ系の私の母は、大きな犬を飼っている。この犬は室内犬で、しつけもよく行きとどき、言葉での命令に従うように訓練されている。

最近のことだが、ドイツから母の弟夫婦がやってきた時、母はこの夫婦への配慮から、犬に対して以外はすべてドイツ語で話していた。
たまたま母が数時間外出して、この夫婦と犬だけが家に取り残されたことがあった。この犬はジャーマン・シェパードだったのだが、これまでドイツ語だけで呼びかけられたことはなかったのである。

叔父の方はこの犬とのコミュニケーションがあまりうまくいかなかったのだが、叔母は器用な人だったので、母の抑揚、アクセント、調子、声量をそっくりまねて、ドイツ語で犬に呼び掛けた。もちろんドイツ語独特の話し方とはずれてしまって、ドイツ人には滑稽に聞こえただろうが、この犬にはみごとに通じたのである。」

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