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2011年2月 5日 (土)

メラビアンの法則⑪ 裏付けとなる「表情」の研究(2)日本人の研究②

さて、今回は日本人による表情の研究の第2回目ですが、その前にリンカーンの「顔」に関する有名な逸話の紹介です。側近からある人を推薦したいという申し出を受けたリンカーンは、「あの男は顔が悪いから駄目だ」と答えた。驚いた側近が「あなたは顔で人を判断するんですか?」と問うと、「人は40歳になったら自分の顔に責任を持たなければならない」と答えたとのことでした。

日本でも、人相学で高名な水野南北氏が「顔の相を善相にするも悪相にするのもみんな自分が蒔いた種。いつも不平不満をこぼし、人に反発して片意地を張っていると、口の両端が『への字』になってしまう。そんな表情を繰り返していると、ついにはそれが『相』になる。吉相だ、凶相だ、といっても、元をただせばみな自分の癖が長い歳月の間に積み上げていったもの。」と解説されていたと、小沢康甫(やすとし)著『暮らしの中の左右学』(東京堂出版)に書かれていました。この本の中に紹介されていたのが、下記の香原志勢(こうはら ゆきなり)氏の研究です。

美人顔は左右対称という説がありますが、この研究はそれを証明するかも・・・
香原志勢著『顔の本』(講談社)の「左右非対称な表情」より
「本来、顔と目鼻立ちは左右対称的である。ところが、私たち人間の表情には左右対称的なものと、非対称的なものとがある。いろいろ調べてみると、顔を左右対称的に動かす時と、非対称的に動かす時とて、心的状態に質的な差があるように思われる。一方、特定な表情を保っているときには、それに応じた心の流れがある。」

「すなおな心がつくり出す顔には左右の歪みが生じない」のだそうです。
「左右対称的な表情をしている時は、まさに情緒にひたっている時といってよい。
喜び、歓喜、満足、没入、陶酔、安堵、肯定、心服、尊敬、得意、希望、恐く、恐怖、驚愕、慨嘆、悲嘆、困惑、号泣、虚脱、失望、倦怠、疲労などといった心情時には、おのずから表情は左右対称的な形で表れる。作為的でない顔、つまり、すなおな心がつくり出す顔には左右の歪みが生じないといえよう。」

「非対称的な表情」は、なにかものをしてやろうという心の表れだそうです。
「これに対して、非対称的な表情を保っている時には、心の流れは、たぶんに意識的であり、意図的、作為的になる。それはなにかものをしてやろうという心であり、顔である。意外、皮肉、嘲笑、苦笑、無念、否定、批判、部分的賛意、不納得、不審、疑惑、意地悪、侮蔑、玩弄、阿諛、ごまかしなどの思いが心中を流れる時には、左右非対称的な表情が顔に浮かぶ。」

「白痴美」といわれる美人顔は、赤ちゃんの顔に戻っている顔なのかも・・・
「世の中で一番すなおな人間といったら、それは赤ちゃんだといってよいであろう。(中略)赤ちゃんのつくる最初の表情は寝顔であり、泣き顔である。その泣き顔には、怒りも、驚きも含まれる。そして、笑い顔が登場し、あくびや甘えた泣き声が加わることによって、人間らしさが加速的にましてくる。これらの表情すべて左右対称的である。顔をゆがめることは、まずない。赤ちゃんの心はまさに情緒の世界にひたりこんでいる。嬉しかろうが、悲しかろうが、そこには知的なものの介入はない。難しいこと、絡んだことなど、いっさい無関係である。」

●今回は、さらに専門的な研究ですので、各節のタイトルに、私なりの思い(私も女ですから、ところどころ感情が出過ぎたかも・・・)を込めてみました。著者の香原先生始め、読者の皆さんにお叱りを受けることになるかもしれませんが、癇に障りましたら、ご寛恕のほどお願い申し上げます。さて、次は、研修シリーズ弟41回でも登場した福井康之氏の研究です。

イクマンの実験写真(米国人)から日本人の学生が感情を読み取れるかの研究
福井康之著『感情の心理学』(川島書店)の「表情の識別」に関する、著者の大学の学生に対する12の表情の観察実験から。 
「彼(イクマン)の作成した表情写真から、6種類の基本感情(イクマンは、基本感情が6種類あるとしている)を示す表情写真を各2枚宛て、約10秒間、OHP(オーバーヘッドプロジェクター:山本注)で教室前方のスクリーンに、ランダムに提示して、その感情を回答させた。被験者は、筆者の授業を受講している教育学部学生、男子35名、女子115名だ。」

写真で感情が読めた!  12枚中10枚以上の正解者55%、全数正解も10%
「写真は、イクマンの妻パトリシアと彼の大学院の学生だったジョンで、呈示の順序は、幸福、怒り、驚き、嫌悪、悲しみ、怒り、幸福、恐怖、驚き、悲しみ、恐怖、嫌悪。実験に先立ち、6つの基本感情について説明をしておく。パトリシアの無感情の表情写真を役30秒呈示し、続いて実験に入った。」

「2枚のうち、10枚以上の正解者は55・3%と半数以上で、10・0%のものが全数を正解している。基本感情に関しては、かなり的中しているといえる。しかし、正確にすべての表情が読みとれるものは少なく、必ずしも、正確に表情を識別できるとはいいがたい。」

分かりやすい感情は「幸福」「悲しみ」「驚き」。ここでも女性の観察力が勝った
「表情写真のうち、どのような種類の感情がわかりやすいかというと、〈幸福〉の表情は、的中率が最高だった。〈悲しみ〉と〈驚き〉はかなり的中している。〈恐怖〉は〈驚き〉や〈悲しみ〉ととり違えやすい。〈怒り〉は〈恐怖〉や〈嫌悪〉と混同されやすい。一般に、女性の方が男性より感情に敏感だとされている。表情の識別力も女性の方が優れているといえそうだ。」
※8枚以上の正答者は、男性68・6%に対し女性は91・2%だったそうです。

●日本人が米国人の「表情(写真)」から「感情」を米国人と同じレベルで読み取ることができる(研修シリーズ第42回のエクマンによる各国調査値よりは低い感じだが…)ということは、前々回の国際(民族)比較の検証材料といえるかもしれません。さて、今回の参考資料は、やはり日本人による研究です。「メラビアンの法則」に近い実験ですが、プレゼンテーションにおけるコミュニケーション力(著者はプレゼンテーション・インパクトと表現している)を論じる上での実験ですので、観察対象との距離感も異なります。そうした違いを認識したうえで、参考資料としていただくことをお願いいたします。

【参考資料】 児島建次郎編著『コミュニケーション力』(ミネルヴァ書房)
「パーソナリティ――ノン・バーバルコミュニケーションで表現力を高めよう」より。

「コミュニケーションを発信・受信する手段はことばだけではありません。ことばを活かし自分の考えを聴き手に受けいれてもらうための表現技術は多様です。
表現技術を分類すると、1つは、話の内容・素材を効果的に表現する技術です。
もう1つは、ことばを補い、ことば以上に思いや意味を伝えるしぐさや行動などの非言語、つまり、ノン・バーバル(Non Verbal)コミュニケーションです。

私が大学生を対象に行った調査では、言語と非言語コミュニケーションがもたらすプレゼンテーション・インパクトについて、言語36%、態度など43%、話し方21%の結果を得ました。言語とは話の内容であり、話し方とは話す調子や声の高低・強弱などを指し、態度とは外見や姿勢・表情・視線などをいいます。こうしてみると、非言語コミュニケーションによるインパクトが64%も占めており、非言語の影響が大きいのに気付きます。
ことばを補足するものとしては、体全体から発信するコミュニケーション、しぐさや行動、表情、目の動きなど、いわゆるボディ・ランゲージ(Body Language)があります。

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