« メラビアンの法則⑬ 〝ひと目ぼれ〟の研究 | トップページ | メラビアンの法則⑮ 採用(就職)面接(2) »

2011年2月26日 (土)

メラビアンの法則⑭ 採用(就職)面接(1)

今回から4回にわたり「採用(就職)面接」です。『メラビアンの法則』が書かれたのは、マレービアン著『非言語コミュニケーション』(聖文社)でした。研修シリーズ第36回で示した「好意の総計=(言葉)7%+(声)38%+(顔の表情)55%」の等式(文中は公式ではなくこの表現が使われている:山本注)は96ページに登場しますが、その次のページに書かれているのが、以下の採用(就職)面接に関する記述です。この前後の解説文が、その後の過剰(誤)解釈の引き金になった可能性もありますので、出来るだけ詳しくご紹介いたします。
※今回、あえて「採用(就職)面接」としたのは、心理学の分野で「面接」というとカウンセリングを想起する方が多いので、その混同を避けるためです。

採用(就職)面接中の応募者観察について、ダイレクトな記述あり!
(本文97頁より)「就職面接の時、求職者は申し分のない返答をしたとしても、行動がそれと矛盾している場合は、採用はおぼつかないであろう。言葉では、その仕事に興味があり、一生懸命働くつもりで、それに、その会社の行っていることが意義あることだと信じている、と述べるかもしれない。つまり、言葉による好意の表明である。しかし、言葉で表された熱意にもかかわらず、顔が無表情で、声に生気が乏しい場合は、面接者は、直感的にその求職者が言っていることは本心ではないと判断してしまうかもしれない。」

●動きの乏しい採用(就職)面接中の応募者観察には『メラビアンの法則』が有効であることに異議をさしはさむ余地は少ないでしょう。問題は第一印象を決定づけるもう一つの要素、入室退出時の動作及び面接中の応募者の限られた所作に適用が及ぶかです。この点について、面接に特定した記述ではありませんが、本文(100頁)に、
「二番目(感情の総計)の、更に一般的な等式は、言葉と表現を組み合わせるためにのみ作成されたものである。この結果から、推定すれば、次のような、安全度のかなり高い一般化を行うことが可能である。」と但し書きをつけ、さらに矛盾したメッセージを受け止めた時と限定して、以下の記述があります。

「言葉以外の行動が、言葉と矛盾する時、メッセージ全体のインパクトを決定するのは前者である場合が多い。言い換えれば、表情と音声表現、および接触、位置(距離、前かがみ、または視線)、姿勢、身振りなどは、すべての言葉より重要であり、メッセージが全体として与える感じを決定してしまうのである。」
※ここで見落とせないのは、太字にした「言葉以外の行動が、言葉と矛盾する時」とシーンが特定されていることです。この文章を見落とすか、意図的に無視することで、過剰(誤)解釈につながったことが容易に推測されます。

●今回『メラビアンの法則』の出典に戻ったところで、これまで紹介できていなかった、法則に至る研究の根幹をなすマレービアン博士の「感情的反応の3つの次元」について触れることにします。以下に原点からの抜粋を一部記しますが、専門的で一般人には理解しづらいところがあるかもしれませんので、この「感情的反応の3つの次元」をSD(意味微分)法との比較でわかりやすく解説したものが、以前にも紹介した福井康之著『感情の心理学』(川島書店)にありましたので、それを今回の参考資料としいたします。比較の上、理解を深めていただければ幸いです。

マレービアン著『非言語コミュニケーション』(聖文社)より「感情の3つの次元」
「インプリッション(ほのめかし:山本注)のコミュニケーションの対象は気持ちや態度や好き嫌いや好みであるといっただけでは、役立つ理論を作ったことにはならない。なぜならば、人間が経験することのできるのはほんの一部だけ取り上げてみても、その数は何百にもなるし、加えて、態度や好みにはいろいろな形や変化がある。しかし、幸いなことに、心理学のさまざまな領域の研究成果は、人間の感情や態度や好き嫌いや好みという現象を概念化させるだけの証拠を提供している。」

「感情の3つの次元」とは「快-不快」「覚醒-無覚醒」「支配-服従」
「人間の感情や態度は、簡単に言えば3つの次元で言い表すことができる。その3つの次元とは、快-不快、覚醒-無覚醒、支配-服従という、それぞれに独立した次元である。いかなる感情や態度の説明にも充分な、この3つの次元はそれぞれ独立していて、相互関係がない。さらにこの3つの次元に、態度や好き嫌いや好みという複合した尺度を組み合わせることができる。

快-不快という次元は、幸福な-不幸な、喜んだ-悩んだ、満足した-不満な、などの対の形容詞で定義することができる。
覚醒-無覚醒という次元は、活動と注意の状態の複合と定義する。覚醒が高いという場合は、活動的かつ注意の状態にあるというわけで、たとえば、コートの中を活発に動いていて、同時に、相手の動きを予測しながら、次の戦術を考えているテニス・プレーヤーである。適度の覚醒というのは、注意の状態ではあるが、ほとんど活動していない場合である。

例えば、複雑な数学の問題を解いている人は、この状態である。逆に、活動が活発で、注意のレベルが低い場合でも適度の覚醒である。例えば空想にふけりながらジョギングをしている人である。低い覚醒の状態とは、注意のレベルも低く、活動のレベルも低い状態である。例えば、いい気持ちで眠っている人はこの状態にあるといえる。

感情や態度の、第三番目の次元は、支配-服従であり、支配する-支配される、影響する-影響されるなどの対の形容詞で定義することができる。権力を持っている、支配している、と感じたり、影響力を持っている、コントロールしている、と感じる度合いを意味する。」

【参考資料】 福井康之著『感情の心理学』(川島書店)より
マレービアンの感情反応をSD(意味微分)法で測定してみた。彼は次の3つの次元で、すべての感情を定義することができると考えている。
マレービアンによる感情の快-不快、覚醒-無覚醒、支配-服従の3次元の分類は、シュロスバーグの示した、快-不快、緊張―眠り、注目-拒否の3次元分類とよく似た構造を持っていることがわかる。

(1) 快-不快 幸福な-不幸な、愉快な-不愉快な、満足な-不満な、などの形容詞の6対で定義される。
(2) 覚醒-無覚醒 刺激的-くつろいだ、興奮した-平静な、目覚めている―眠そうな、などの形容詞の6対で定義される。
(3) 支配-服従 支配する-支配される、影響する-影響される、莫大な-畏怖した、などの形容詞の6対で定義される。

快-不快は、肯定的あるいは否定的な評価に対する感情的な反応で、肯定的に評価されるものは、快をもたらし、否定的に評価されたものは不快を与える。
覚醒-無覚醒は、能動的かあるいは受動的な評価に対する感情的反応で、能動的なものは覚醒をもたらし、受動的なものは覚醒の水準が低いことになる。
支配-服従は、影響を与えるあるいは影響を与えないという評価に対する感情的反応で、影響のあるものは服従感を与え、影響のないものは支配感を与える。

※シュロスバーグ:基本感情を(1)愛・楽しみ・幸福、(2)驚き、(3)恐れ・苦しみ、(4)怒り・決意、(5)嫌悪、の6つに分け、この6つの感情を円環構造(上に「愛・楽しみ・幸福」=「快」、下に「怒り・決意」=「不快」、右に「驚き/恐れ・苦しみ」=「注意」、左に「軽蔑/嫌悪」=「拒否」として、二次元平面内に収めた)山本注。
※SD(意味分析法):言葉・図形などの刺激をいくつか与え、それらが含む意味の相違を、対をなす形容詞を両極とする評定尺度を用いて測定する心理学的測定法。オズグッドにより考案された。意味差判別法。意味微分法。(大辞林)

ホームページ https://www.leafwrapping.com/

※本ブログ内容とは別に、お問い合わせ・ご質問等ございましたら、【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。

|

« メラビアンの法則⑬ 〝ひと目ぼれ〟の研究 | トップページ | メラビアンの法則⑮ 採用(就職)面接(2) »

非言語コミュニケーション」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: メラビアンの法則⑭ 採用(就職)面接(1):

« メラビアンの法則⑬ 〝ひと目ぼれ〟の研究 | トップページ | メラビアンの法則⑮ 採用(就職)面接(2) »