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2011年3月12日 (土)

メラビアンの法則⑯ 採用(就職)面接(3)

面接では、入室してきたときの第一印象(初頭効果)が評価に大きく影響する傾向があるようです。仮に、第一印象がよかった場合は特に、面接官はこの評価に矛盾するメッセージ(マレービアン博士によればインプレッション)が応募者から発せられるかどうかを見極める必要があります。
最近の応募者は面接対策がかなりできているので、言葉(バーバル)で読み取るのは難しいと言われています。そうなると、非言語(ノンバーバル)領域の観察が重要となり、『メラビアンの法則』が大変重要な意味を持ってくることになります。

●私(山本)が「面接官スキルアップ研修」を担当させていただき、時間的ゆとりがある場合に限りますが、面接場面のロールプレイングで、この矛盾するメッセージ(ウソ)を応募者に意図的に演じてもらうことがあります。以下にその概略を記し、研修の際に解説で使うさまざまな事例のうちから、いくつかをご紹介いたします。
なお、ウソの見分け方にもそれぞれの解釈があるようですので、ここでは『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(ジョー・ナヴァロ&マーヴィン・カーリンズ著/河出書房新社)に取り上げられたものに限定して、3つのサインを示した後に、著者が実際に体験した生々しい現場を再現することにいたします。

山本志のぶ「面接官スキルアップ研修」での〝ウソ〟3つのサインとシグナル例
(1)顔にかかわるサイン:「一瞬目を閉じる」「唇をきつく結ぶか、唇を隠す」「首をかしげながらイエスという、もしくは、ノーと言いながらうなずく」
(2)なだめの行動のサイン:「膝をこする」「手を首か顔に持っていく」「首をかしげながらイエスという、もしくは、ノーと言いながらうなずく」
(3)足or脚のサイン:「足をいすの下の方に10センチほど引く」「足のつま先を広げる」「足のかかとを上げ下げする」

顔にかかわるサインから 「一瞬のまばたきで警備員のウソを見破った」例
「97名の犠牲者を出したプエリトリコのホテル火災で、放火犯として捜査線上に浮かびあがった警備員にいくつかの質問をした。その折、「出火当時どこにいたのか?」の質問に対してだけ「目をふさぐ動作」が表れた。ところがおかしなことに、「放火したのか?」というと質問には不安な様子を見せない。この反応から、男は放火にかかわったのではなく、出火当時の居場所に隠さなければならない事情があると判断。問い詰めると、勤務中に持ち場を離れ、ガールフレンドに会いに行っていたことが分かった。」

顔にかかわるサインから 「共犯者の写真を見ると瞳孔が収縮し見破られた」例
「スパイの尋問で、共謀者を突き止める際に、縦3インチ横5インチ(7.5㎝×13㎝)のカード32枚をこのスパイに見せた。そこには彼が一緒に仕事をしたことがあり、彼を助けた可能性のある人物の名前が一つずつ書かれていた。その名前の人物について語らせる作業中、男は特に2つの名前を見たときに目がまず大きく広がり、次にすぐ瞳孔が縮んで、わずかに目を細めた。無意識のうちにそれらを見たくないと思ったか、何らかの危険を感じているのが明らかとなった。」

なだめの行動のサインから 「ストレスを感じると、本能的に手が身体に向かう」
「わしたちはストレスを感じると、首をそっと撫でたり、顔をさすったり、髪の毛をもてあそんだりする。本人は無意識なのに、脳が「今すぐ、なだめて」というメッセージを出すから、直ちに手が反応し、自分を快適な状態に戻す行動を起こしているにすぎない。
膝をこするしぐさは嫌な出来事があるとすぐ現れるので、とても大切だ(膝をこするしぐさは、脳がなだめを求めていることを示す)。膝をこするしぐさが強まったり、回数が増えたりすれば、ウソをついているのか、または話したくない話題に質問が近付いたのかもしれない。」

足or脚のサインから 「逃げる方向に自然と足が向いてしまってバレル!」
●税関の申告をするとき、からだを検査官の方に向けながら足先を出口に向けている旅行客は、乗り継ぎを急いでいるだけの可能性もあるが、その行動は疑いを抱くに十分とのこと。研究によれば、検査官に「申告するものは何もありあません」と言いながら足先をそむけている人は、申告すべきものを隠し持っている可能性が高いことがわかっているそうです。

ボディー・ランゲージから 「左に曲がったと言いながら手は右を差した」例
ある事件の容疑者の尋問では、男の言葉はなるほどと思わせるもので、内容も理にかなっていた。綿の畑を抜けてから左に曲がり、歩いてまっすぐ家に帰ったのだという。ところが、このとき、容疑者は口では左に曲がったと言っているのに、手で右の方向を指していた。右方向には事件現場に通じる道があった。

ボディー・ランゲージから 「面接のとき手をテーブルの上に出すと印象が良い」
「学生相互に面接をする実験で、会話の間半数は手を机の下に隠し、残りの半数は手を見えるようにさせた。15分の面接の後の手を隠していた学生たちへの評価は、「落ち着きがない」「引っ込み思案(本心を明かさない)」「ずるい」「何かをごまかしている」。一方、手を見せていた方は、「率直で親しみやすい」とみなされ、何かをごまかしているとされた学生は一人もいなかった。」

●上の例はテーブル越しの面接例ですが、この分野の研究者によると、テーブル越しだとボディ・ランゲージの80%が隠れてしまうそうです。その点椅子での面接は応募者の発する非言語メッセージを観察しやすいメリットがあります。にもかかわらず、面接官が書類ばかり見ている(ということは、サインを見逃しているので、ウソをついた応募者はラッキー!)との応募者からの指摘も多いようです。

ボディー・ランゲージを読み取る視線は「上から下」ではなく「下から上」へ
「ボディー・ランゲージを読み取ろうとするとき、相手の顔から観察をはじめ、上から下へと焦点を移動させていく人が多い。ところが、虚勢を張って本心を隠すために一番よく利用されるのが顔だ。だから私のアプローチは全く逆になる。FBIで無数の事情聴取をこなしてきた私は、最初に容疑者の足と脚に注目しそこから少しずつ観察の対象を上に移していって、最後に顔の表情を読み取ることを覚えた。正直さという点についていうなら、足から頭に移るにつれて誠実さは薄れていく。
顔の表情に人をだます性質があるのは当然だろう。私たちが顔でウソをつくのは、小さい頃からそう教えられて育ったからだ。子どもが目の前に置かれた料理に正直嫌な顔をすれば、『そんな顔をしないで』と、親に一喝される。」

●このように、物ごころついてから鍛えられてきている(『なぜ人は10分間に3回嘘をつくのか――嘘とだましの心理学』という本があるくらいですから…)ので、ウソを見分けるのはとても難しいのでしょうね。1980年代に始まったいくつもの研究によれば、大半の人たち(裁判官、弁護士、臨床家、警察官、FBI捜査官、政治家、教師、母親、父親、配偶者を含む)にとって、ウソを暴く確率は五分五分しかない。ウソ発見器でさえ、操作する人によって60%から80%の精度しかないそうです。

●ウソを含むボディ・ランゲージに関する「8つの俗説とその真実」という興味深いものが2006年刊行の『ハーバード・ビジネススキル講座 対話力』(ダイヤモンド社)に掲載されています。『メラビアンの法則』シリーズ(20回を予定)終了後に、ボディ・ランゲージを取り上げる予定ですので、その折に詳しくご紹介いたしますが、次回その予告編的に、面接でのボディ・ランゲージを取り上げます。

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