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2011年4月

2011年4月30日 (土)

《9つの非言語メディア》 色彩①「奥深いモノトーンの世界(ⅰ)」

第53回まで「メラビアンの法則」に真正面から取り組み、やや硬い内容となってしまいましたので、このシリーズは、本来の私らしく、軽いノリで面白い話題をどんどんご紹介してまいります。そんな意図もあって、「9つの非言語メディア」の9番目(最後)に挙げられた「色彩」から入ることにいたしました。

Q1.「シマウマはどんな模様をしている?」 Q2.「シマウマ的思考とは?」
Q1.の問いに対し、多くの人は「白地に黒シマ」と答える。しかし、現地のアフリカの人に訊くと「黒字に白シマ」と答える。地肌が黒であれば、「白」こそが飾り模様の色となる。(※1)
Q2.の答え「あえて白か黒かを決めない!」(※2)

●Q1.は正に前々回記したマジョリー・F・ヴァーガス女史の言う「ジェスチャー、動作、合図、記号などを、全世界の人間が同じように使い、同じように解釈することなどあり得ない」の証明のようなお話ですね。
また、Q2.の答えは、なにか欧米人から日本人が評価(正しくは批評?)されている感じがして、複雑な心境になります。なお、シマウマ的思考の出典からアニマル的思考例を、以下にいくつかご紹介しましょう。

カオス理論(下記注)で語られる「蝶」の、もう一つの側面は意外にも・・・
チョウ・・・・・幼いころ、誰もが私をチョウになるとは思わない!
ロバ・・・・・愚かに見せることが自分を賢くする!
カメレオン・・・・・ひとつの自分にこだわるな!
トカゲ・・・・・本当に「なくてはならないもの」ですか?
注:カリフォルニア州で今日、蝶が羽ばたけば、それによる大気のかすかな振動で、数ヶ月後には地球の反対側で嵐が起きる「バタフライ効果」の例えのこと。

●先のシマウマを含めた5つが、特に私のお気に入りです。この他取り上げられているアニマルおよびアニマルとおぼしきものは「ライオン」「イヌ」「チンパンジー」「コウモリ」「キリン」「カンガルー」「ラバ」「ヘビ」「神聖な牛」です。ご関心のある方は下記参考書籍をご覧になるか、当ブログにお問い合わせください。

アニマルから進化した人間の男女を、ダーウィン等の専門家はどう評価したか
男女の違いを書いた本はたくさんある。かつてチャールズ・ダーウィンはこう書いた。「直観に関する限り、女性の方が・・・男性より優れている」
そして、モナ・リザ・シュルツ博士の著作『直観の目覚め』にはこう書かれている。
「一般に、女性の場合、左脳、右脳、そして体が同時に共同して動き、情報の処理にあたる・・・・・ところが、男性の脳はこうした直観のネットワークがうまく働かず、具体的なデータが不足していると正しい判断を下せないことが多い」
ラジオ人生相談で有名なドクター・ジョイ・ブラウンの『ジェーン、あっちはジャングルだ』の説明はこんな具合だ。
「男性と女性の脳は配線が異なる。男の脳は情報を黒か白で処理する傾向がある・・・・・女にはグレイの微妙な階調まで見えるのに、男の脳は中間領域が見えないらしい。(※3)

●女性が評価されているのは、同性として嬉しいですね。ところで、最近は黒のモードが流行っていますが、これに対する評価もさまざまなようです。以前読んだ本に、
「無彩色の黒は、虫の目には見えないから黒い花は存在しないんですって。同じ無彩色でも白は光のように見えるらしいわ。だから白い花は香りが高くて、明るさと香りで虫を誘うんですって。虫も寄らない黒ずくめの洋服じゃ、モテないはずね。」(※4)
と、黒と白を比較した記述がありました。

●その片方で、喪服姿の女性が一番美しいとの見解があったりして、殿方の女性を見る目には、アニマル的思考を借りれば「カンガルー的…規則性や常識にとらわれない!」柔軟性があるのでしょうか、それとも「コウモリ的…???(いささか表現がはばかられる)」だからなのでしょうか。
歯切れの悪い終わり方ですが、次回は白黒をはっきりさせる!? つもりです。

※1:『単純な脳、複雑な「私」』(池谷祐二著/朝日出版社)
※2:『アニマルシンキング』(ベラ・ブライヘル&サリー・バルエル著/英治出版)
※3:『彼女が買うわけ、会社が伸びるわけ』(フェイス・ポップコーン著/早川書房)
※4:『コーディネート・大人の法則』(押田比呂美著/KKベストセラーズ)

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2011年4月23日 (土)

「クレーム」ほど、ありがたいものはない

前回から〈ノンバーバル(非言語)コミュニケーション〉の「非言語メディア」シリーズを開始したところですが、4月20日(水)にFP(ファイナンシャル・プランナー)さんの勉強会を主催されているSG大阪バラエティライブ様から、再度お声がかかり、「クレーム対応」についてお話してまいりました。以前、研修シリーズ第9回(2010年5月1日=「ビジネスマナー研修から」身だしなみについて)でもご紹介いたしましたが、まじめな取り組み姿勢に毎回感心させられております。
今回はスポットで、その前段(落語でいえば「まくら」)で語った「新卒採用面接」とも関係のある重大な「クレーム」について、物語風にご紹介させていただきます。

クレームから生まれた!?「マンホールの蓋はなぜ丸い?」などの想定外質問
以下は、以前読んだ怖そうなタイトル『面接の虎』(※1)の面接での質問例です。
Q.グー・チョキ・パーの中で好きなものは何ですか?(アミューズ)
Q.関東と関西でエスカレーターの乗り方が違うのはなぜですか?(小学館)
Q.10万円札を作るとしたらだれの顔を印刷しますか?(アクセンチュア)
ほんの一例ですが、面接会場で突然こんな質問されたら、ちょっと逡巡(しゅんじゅん)してしまいますよね。でも、私が「マンホールの蓋はなぜ丸いか?」を研修会場で女子学生に質問したら、結構正解を知っていて驚かされた経験があります。いまどきは、しっかり想定外質問にも対策ができていて、この対策も〝イタチごっこ〟かと思える節も・・・。

米国空軍から「優秀なパイロット採用」について相談された心理学者は(※2)
では、どうしてこのような質問をするようになったのでしょうか。そこには、今回のテーマでの、ある重大な「クレーム」が絡んでいるのです。
第二次大戦中のことですが、ドイツ空軍に対抗するためアメリカ空軍が、「優秀な戦闘機のパイロットを採用するにはどうしたらよいか」と高名な心理学者のギルフォードに相談しました。

ドイツ空軍の脅威から連合軍を守るために、そして祖国愛に燃えギルフォードは頑張って「自信のパイロット選考プログラム」を開発して選考に臨みました。この時空軍は、空軍関係者以外の人に全面的に空軍の将来を託すパイロット選抜を任すことに抵抗があったんでしょうね、もう1人空軍司令官経験者にも同じ依頼をしたそうです。

さあ大変! 片方の採用担当者が選んだパイロットがほぼ全員戦死した!
ギルフォードは開発したプログラムによほど自信があったんでしょう。空軍がもう一人選考者を選んだことに腹を立てたそうです。そして、採用されたパイロットが実戦に出てしばらく経った頃、ギルフォードは空軍から呼び出しを受け、ある驚くべき事実を告げられます。「二人の専門家にパイロットの選考をお願いしたが、一人が採用したパイロットはほとんど生き残り、もう1人が採用したパイロットはほぼ全員が撃墜(げきつい)されて戦死した」というのです。

ギルフォードは勝ち誇った気持ちで、「それは、痛ましいことです。あたら才能のある若いパイロットを失ったことはアメリカの損失でしたね」などと、のたまわったかもしれませんね。ところが、次に発せられた言葉は、ギルフォードが卒倒するぐらいに驚くべき内容でした。ギルフォードが採用したパイロットのほうが、ほとんど戦死していたのです。

ギルフォードに突き付けられた選考結果に対する重大な「クレーム」
要するに、「どうしてくれるんだ!」とクレームをつけられたわけです。多くのクレーム対応者がそうであるように、その現実にギルフォードはどん底に突き落とされた気がしたことでしょう。しかし、超一流の人は違うんですね。ギルフォードはプライドをかなぐり捨て、アメリカの空軍を守るためにもう一人の面接官に会いに行きました。そして、自分と元司令官の選考基準の違いを分析したのです。はたして、そこにはどんな違いがあったのでしょうか? 

元司令官は「もし、敵機に遭遇したら、君はどう対応するかね?」と全員に聞きました。その回答が「その場になってみないと、わかりません」に代表されるような、普通に考えたら「ダメ」と判断されるような回答をした人だけを採用したのだそうです。
こんな採用基準で、どうして彼が選んだパイロットは強敵のドイツ機を相手に勇敢に戦い、そして生還できたのでしょうか。

学業優秀だけでは勝てない、ルールを無視する者を採用するわけにも・・・
実は、ドイツ軍は連合軍のマニュアル「敵に遭遇した場合は、急上昇して上空の雲の中に身を隠せ」と書いてあったものを手に入れていたんです。ですから、ドイツ空軍はライオンが集団でシマウマをハンティングするように、連合軍機を雲の中に追い込むグループと、その上空で、急上昇してきた戦闘機を待ち構えるグループとに分かれていました。これでは、敵うわけありませんよね。

ギルフォードが採用したパイロットは、いずれも学業優秀、模範的な人たちだったので、マニュアル通りの対応をして、ドイツ機の餌食になってしましました。
一方、元司令官が採用したパイロットは、ひと癖も、ふた癖もある人たちですから、マニュアルなんかハナから無視して、行き当たりばったりの対応をしましたので、ドイツ軍の思い通りにならなかったというわけです。

レンガが1つあります。この使い道を5分間で考えられるだけ書き出して下さい
こうした事実を確認したうえで、ギルフォードが苦心の末考え出したのが、ある程度の論理的思考ができ、なおかつ瞬時に生死にかかわる柔軟な対応が可能な人材を選ぶ方法でした。それが、受験(面接)対策不可能な「想定外の突飛な質問をする」ことだったのです。たとえば「ここにレンガが1つあります。この使い道を5分間で考えられるだけ書き出してください」といった具合に。そして、この手法が海を渡り、半世紀以上を経て、現在多くの日本の企業の面接で使われるようになったのです。

●「近年、自分の職場でクレームが増えていると思いますか」との質問に39.7%の方が増えていると答えています(※3)。モンスタークレーマーなどという言葉まで出てくるようになりました。クレームは大きくするも小さくするも対応次第ですので、大いに対応力の向上に努めていただきたいと思いますが、その一方で、クレームからビジネスチャンスの発見がある(当ブログ2010年10月9日「コールセンターのホスピタリティ④」で一端を書いております)こともあります。
あまり臆病にならずに、真正面から誠実に取り組んでいただく(それ以上の対処法はありません)ことをお勧めして、今回のスポット企画を終了いたします。

※1:『面接の虎』(就職総合研究所編/日本シナプス)
※2:『スウェーデン式アイデア・ブック1』(フレデリック・へレーン著/ダイヤモンド社)
※3:『日本苦情白書』(関根眞一監修/メデュケーション)

2017年8月25日(金) 超実践型 『クレーム電話対応力強化研修』~クレーム客6つの心理と現場対応10ヶ条~(株式会社アークブレイン様主催公開セミナー) 

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2011年4月16日 (土)

《9つの非言語メディア》 世界中のあいさつ

今回から、9つの非言語メディア(下記)について順に触れていきます。マジョリー・F・ヴァーガスは『非言語コミュニケーション』の中で、
「非言語コミュニケーションのリーダーの一人、レイ・L・バードウィステルは、対人コミュニケーションを次のように分析している――『2者間の対話では、言葉によって伝えられるメッセージ(コミュニケーション内容)は、全体の35パーセントにすぎず、残りの65パーセントは、話しぶり、動作、ジェスチャー、相手との間のとり方など、ことば以外の手段によって伝えられる』と。

この分析が示唆しているのは、外国を旅行するさいに、その国のことばを習得する必要はないということではない。グローバルな段階では、『ことばにならざることば』のほうがことば自体よりおそらく重要だろうということなのである。」(※1)
ここで、筆者が外国旅行を例にとり解説していますのでピッタリの参考例を下記に。

世界中で〝あいさつ〟はどのように行われているのか
日本・韓国・・・・もちろん「お辞儀」。
中国(漢民族)・・・・「両手で握りこぶしを作り、胸にあてる」。
インド・タイ・インドネシア・・・・「両手を体の前に合わせてお辞儀」。
モンゴル・・・・「抱きあってお互いの匂いをかぐ」。
チベット・・・・「舌を出す」。
イヌイット・マリオ族・・・・「鼻をこすり合う」。
イギリス・アメリカ・・・・おなじみの「握手」。
南米・フランス・イタリア・トルコ・・・・「左右の頬にキス」。
フランス・ロシア・・・・「抱擁」。(※2)
まさに、非言語メディアのオンパレードといった感じですね。

対人コミュニケーション用の信号「9つの非言語メディア」とは
1 人体(コミュニケーション当事者の遺伝因子にかかわるもろもろの身体的特徴の中で、なんらかのメッセージを表すもの。たとえば性別、年齢、体格、肌の色など) 
2 動作(人体の姿勢や動きで表現されるもの)
3 (「視線の交差(アイ・コンタクト)」と目つき)
4 周辺言語(話しことばに付随する音声上の性状と特徴)
5 沈黙
6 身体接触(相手の身体に接触すること、またはその代替行為による表現)
7 対人的空間(コミュニケーションのために人間が利用する空間)
8 時間(文化的形態と生理学の2つの次元での時間)
9 色彩

マジョリー・F・ヴァーガスの「9つの非言語メディア」の解説
「世間一般の通念には反するかもしれないが、言語が異なれば、同じ事物でも違った意味付けがなされるし、ことば以外の手段によって伝達されることも、極めて多種多様な意味をもつものなのである。つまり、ジェスチャー、動作、合図、記号などを、全世界の人間が同じように使い、同じように解釈することなどあり得ないのだ。ことば以外の表現手段それぞれに差異をもたらす4つの大きな要因は、(1)個人的差異、(2)男女性別による差異、(3)文化形態による差異、(4)状況による差異である。」

●「9つの非言語メディア」の初回ですので、大事なところを出典から抜粋させていただきました。さて、次は直近事例です。2011年4月4日『日本経済新聞』朝刊「会社の常識――新入社員Q&A」のコラムに、Q「初めて後輩ができます。どのように接すればよいでしょう?」がありました。これに対し、「オールアバウト」で話し方・伝え方ガイドを務めるアップウェブの藤田尚弓社長が示された3つのポイントは①「熱意と理論」、②「失敗談」、そして・・・。

後輩に接する際のポイント③は「非言語コミュニケーション」でした。
「無意味に忙しそうにしたり、近づきにくい雰囲気を醸し出したりすることは控える。後輩には常に挨拶をするなどして話しかけやすい雰囲気づくりを心がけ、人間関係への不安をやわらげる。
『後輩への指導を通じ、プレゼン能力やリーダーシップなどビジネスパーソンにとって必要な資質も身につきます』と藤田さんは指摘します。気後れせず、できることから始めてみてはいかがでしょうか。」

●私も、「メンター向け研修」などで「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」の大切さを常々説いておりますが、この記事を読んで、わが意を得た感じでした。このように日常の対人コミュニケーションの中にあふれている非言語情報が、あまりよく理解されていないのは残念なことです。次回は、「9つの非言語メディア」の中から意外に知られていない「色彩」をシリーズで取り上げます。

※1:『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)
※2:『伝わる化』(大塚寿&姥谷芳昭著/PHP研究所)

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2011年4月 9日 (土)

メラビアンの法則⑳ まとめ(2)

いよいよ『メラビアンの法則』シリーズの最終回です。まだまだ書き足りない気もいたしますが、20回でひとまず区切りといたします。今回はこれまで語り継がれ、コミュニケーション研修などで出てきた『メラビアンの法則』が、法則として適用可能なシーンについて、私なりの考え方を示させていただきます。その前に『天使と悪魔のビジネス用語辞典』での人気投票結果。そして最後に、これまで取り上げてきた文献の一覧を参考資料として付記します。

『天使と悪魔のビジネス用語辞典』の関心度NO.1だった『メラビアンの法則』
●第36回に『メラビアンの法則』の実験方法につて詳しく書かれている掲題サイトを紹介しました。その後、平野喜久著『天使と悪魔のビジネス用語辞典』(すばる舎)を拝見したところ、あとがきに以下の文章がありました。著者は『メラビアンの法則』の過剰(誤)解釈に関して鋭い指摘をされていますが、他の用語に関しても興味深い内容が盛りだくさんで、大変勉強になりました。

人気投票では『メラビアンの法則』が圧倒的な1位で、2位は『ホウレンソウ』
「ウェブ上では、訪問して下さった方々に項目ごとの人気投票をしてもらっています。圧倒的な人気の第1位は『メラビアンの法則』です。この用語の誤解を日本語で初めて明らかにしたのが、このサイトだったからでしょう。それほど、この言葉は実態を知らずに安易に語られることが多いということなのかもしれません。
人気の第2位が『ほうれんそう』です。この項目がこれほどの人気を得るとは思っていませんでした。だれもが、新入社員時代にしつこく教え込まれた経験があるからでしょうか。そして、第3位は「カンバン方式」です。」
※本書は、ウェブ上に公開している「天使と悪魔のビジネス用語辞典」を元に、書籍化にあたって全面的に内容を書き換えたものだそうです。

採用(就職)面接では『メラビアンの法則』を素直に信じたほうが結果はよさそう
●まずは、考案者であり、この法則を示した『非言語コミュニケーション』でも取り上げていた「採用(就職)面接」です。良い人材の確保は、どの企業にとっても最大関心事であり、面接の巧拙は会社の将来を左右しかねません。第48回にも触れましたが、面接官が正しいジャッジをするためには観察力が必要になります。この観察力を高めるためにある研究では、一次面接官が二次面接にも同席し二次面接では観察者に徹することで、有効な情報が得られるという認識が示されていました。

矛盾する感情を示す「顔の表情」は1秒の10分の1で消えてしまうものもある
●マレービアン博士も指摘するように、たしかに動きの乏しい採用(就職)面接では、応募者の感情を読み取る要素が限定されますので、「声」「顔の表情」は貴重な情報源になります。しかし、顔の表情は1秒の10分の1で消えてしまうものもあります。この微妙な感情の動きを書類に目を通しながら把握するということの方に無理があるように思われます。そのための役割分担が必要なのでしょう。ただし、一次面接を通じて本人情報をある程度保持していないと、正しい観察はできないとの指摘がありますので、この点は留意いただきたいと思います。

採用(就職)面接は、非言語情報がより多く観察できる椅子に着座が望ましい
●なお、これも第49回で触れましたが、テーブル越しの面接は、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションの80%を損なうとの研究もありますので、できれば中途採用者、経験者採用の場合も、椅子での実施が望ましく思われます。また、面接官からのポジティブなノンバーバル(非言語)コミュニケーションは会話を豊かにするとの報告がありますが、デメリットとしては、応募者が面接官のコミュニケーション手法に反応してしまう(積極的に働きかれば積極的に応えるといった具合)ことから、適度に使い分けが必要と思われます。

男女の出会シーン、営業商談で顧客の本音探る場合、広い会場で後ろからの観察…
●採用(就職)面接の他に、動きが限定され、至近距離の対面でなされるで『メラビアンの法則』が有効に生きるシチュエーションは、第46回の〝ひと目ぼれ〟の秘密の調査(〝ひと目ぼれ〟の要素で上位を占めたのは「顔」にかかわる部分「顔、笑顔、目」でした)に象徴されるように、男女の出会いの場(お見合い、合コン、パーティー等)といえるでしょう。

最近の営業の商談ではソファーに座ってより、圧倒的にテーブル越しが増えていると思いますので、お客様の本音を探る際に『メラビアンの法則』を知っているかどうかで、その正確度は大きく違ってくるのではないでしょうか。また、広い会場で講師の上半身しか見えない講演会、講義、プレゼンなど、「声」と「顔の表情」が評価を決める場面でも有効と思われます。最後に、これまでの20回で参考にさせていただいた文献の一覧を紹介させていただきます。

【参考資料】 これまでに紹介した参考文献一覧(書名の後の【 】は他の登場回)
第34回 『非言語コミュニケーション』(マレービアン著/聖文社)【35・36・47】/『4分間交渉術』(ジャネット・エルシー著/TBSブルタニカ)【37】/『反社会学講座』(パオロ・マッツァリーノ著/イースト・プレス)/『非言語的パフォーマンス』(佐藤綾子著/東信堂)  第35回 『非言語行動の心理学 対人関係とコミュニケーションの理解のために』(V・P・リッチモンド&J・C・マクロスキー著/北大路書房)【38】  第36回 「天使と悪魔のビジネス用語辞典」(平野喜久氏のサイト)  第37回 『「感情シグナル」がわかる心理学』(ジョン・M・ゴットマン&ジョアン・デクレア著/ダイヤモンド社)【41・51】/『愛する二人別れる二人―結婚生活を成功させる七つの原則』(ジョン・M・ゴットマン&ナン・シルバー著/第三文明社)【39】/『人は見た目が9割』(竹内一郎著/新潮新書)/『第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』(マルコム・グラッドウェル著/光文社)【39】/『本音は顔に書いてある(原題はThe Definitive Book Of Body Language)』(アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ箸/主婦の友社)  第38回 『「声」の秘密』(アン・カープ著/草思社)【51・52】/『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)【39】/『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ箸/主婦の友社)  第40回 『コミュニケーション心理学』(深田博己著/北大路書房)/『顔は口ほどに嘘をつく』(ポール・エクマン著/河出書房新社)【41】  第41回 『眼力 人を見抜く「カリスマの目」が持てる本!』(斎藤孝著/三笠書房)/『人と人とのかかわりの発達心理学』(福井康之編著/福村出版)/『夢を食った男たち』(阿久悠著/毎日新聞社)  第42回 『「人を見る目」の心理分析』(樺旦純著/三笠書房)/『EQ~こころの知能指数』(ダニエル・ゴールマン著・講談社)【51】/『感情の心理学』(福井康之著/川島書店)【44・47】/『姿勢としぐさの心理学』(ペーター・E・ヴァル著・北大路書房)  第43回 『「言いたいこと」が言えない人たちへ』『一瞬の表情で人を見抜く法』『読顔力』(佐藤綾子著/PHP研究所)  第44回 『コミュニケーション力』(児島建次郎編著/ミネルヴァ書房)/『顔の本』(香原志勢著/講談社)/『暮らしの中の左右学』(小沢康甫著/東京堂出版)  第45回 『言葉でたたかう技術 日本的美質と雄弁力』(加藤恭子著/文芸春秋社)  第46回 『「ひと目ぼれ」の秘密』(アール・ノーマン著/東京書籍)/斎藤勇著『恋愛心理学』(ナツメ社)/『3分間で成功を勝ち取る方法』(リカルド・ベリーノ著/ゴマブックス)【51】  第48回 『ボディ・コード からだの表情』(ウェレン・ラム&エリザベス・ウォトソン著/紀伊国屋書店)【51】/『非言語コミュニケーションの基礎理論』(M・L・パターソン著/誠信書房)/『非言語行動の心理学 対人関係とコミュニケーションの理解のために』(V・P・リッチモンド&J・C・マクロスキー著/北大路書房) 第49回 『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(ジョー・ナヴァロ&マーヴィン・カーリンズ著/河出書房新社) 第50回 『ボディ・ランゲージQ&A』(ジュリアス・ファスト著/読売新聞社)/『ハナマル式就活のすべて』(上田晶美著/学習研究社) 第51回 『90秒で“相手の心をつかむ!”技術』(ニコラズ・ブースマ著/三笠書房)/『サービス業の経営革新』(小谷重徳編著、河瀬雅秀著/日科技連出版社)/『しぐさと表情の心理分析』(工藤力著/福村出版)/『感性がビジネスを支配する ビジネスを変える非言語コミュニケーション』(小暮桂子&青木かおり著/ファーストプレス)/『魅せる力』(ブライアン・トレーシー&ロン・アーデン著/ダイヤモンド社) 第52回  『随筆 春の海』(宮城道雄/埼玉福祉会) 第53回 『天使と悪魔のビジネス用語辞典』(平野喜久著/すばる舎)

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2011年4月 2日 (土)

メラビアンの法則⑲ まとめ(1)

「木の葉ブログ」の記念すべき通算100回目(2010年11月27日)よりスタートした「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」の『メラビアンの法則:好意の感情の総計=7%(言語)+38%(声)+55%(顔の表情)』シリーズがこんなにも長くなるとは、書き始める時点では想像もできませんでしたが、次回(20回目)で終了とします。まとめの1回目は、38%の「声」と55%の「顔の表情」についての私なりの結論です。

多くの「声」の研究から 「声から感情をある程度聞き分けることは可能」
『メラビアンの法則』に対する問題提起の一つ、「単語を表現しただけで、本当に感情が読めるのか?」については、第38回で取り上げたジョエル・R・ダヴィッツとその妻ロイス=ジーンの「アルファベット1文字の発声だけでもある程度感情が読みとれる」とした研究成果があり、また、特定の音声的感情状態(悲しみ、怒り、嫌悪、恐怖、興味、驚き、幸福)と関連する手がかりが存在することを示唆したシェアラーとオシンスキーの研究も多くの支持を得ています。以上から「声から感情をある程度聞き分けることは可能」との判断でよいと思いますが、この考え方に確信を持たせてくれた2人の盲目の方の述懐を以下に記します。

『「声」の秘密』から 「盲目の英国元内相は、声の調子で議場のすべてを察した」
イギリスのディヴィッド・ブランケット元内相は、生まれつき目が見えない。だが、公式な会議の場では、出席者の声の調子を聞くだけで細々とした情報をすべて拾っていると自分では考えている。「いわゆる『言いつくろうための沈黙』が起きたときも分かります。みんなが話し合いに満足しているかどうかも」。『「声」の秘密』(アン・カープ著/草思社)

『随筆集 春の海』より 「箏の名人は声だけで相手の顔の形や性格がわかった」
これは『春の海』などの作曲家としても知られる宮城道雄氏の語る「音の世界」です。「八卦見が手相、人相、骨相などを見て、人の性格や吉凶や運命を判断するが、声もその通りである。(中略)その声の調子によって、その人の性質なり顔の形がわかるのである。ことに性格はよく声に現れる。そして、その時の表情なども大かたは声で想像できるのである。(中略)太った人と瘠せた人の声は非常に違うし、頭のよし悪しも声をきけば、大抵わかるようである。また、同じ人でも、心に悩みがある場合は、どんなに快活な声を作っていても、すぐにわかるものである。」『随筆 春の海』(宮城道雄/埼玉福祉会)

●先に紹介したブランケット氏は生まれながらの盲目。一方の宮城道雄氏は「7歳ころから光が失われ始め、箏を習い始めた9歳のころは手でさぐりながらも、糸を見て弾いていたように私は記憶している」とのことなので、両者には明らかに物象に対する認識に違いはありますが、「声」や「音」だけを頼りに人間を観察する点においては同じでしょう。それぞれの世界で秀でた人物であるから「声の調子」で相手を判断できたともいえるでしょうが、その情報源が「音声情報」でしかないことは明白なので、「声」で感情が読めるかの問題提起に対するもう1つの回答といえそうです。

「顔の表情」の研究から 「基本的感情は表情に表れる」で間違いなさそう
●『メラビアンの法則』に対する二つ目の問題提起、「顔の表情で感情が読めるのか?」については、写真を使って感情を読み取る研究が広くなされています。代表的なものはポール・エクマンによるもの(『顔は口ほどに嘘をつく(ポール・エクマン著/河出書房新社)』に詳しい)ですが、この時に使用した写真をそのまま使った日本人の研究も、ほぼ同じ結論に至っています。また、「顔の表情から感情を読み取ることは可能」との立場に否定的な研究は、私が目を通した資料(次回の参考資料に一覧掲載)見当たりませんので、ここもマレービアン博士の説を覆す余地はないと思います。

はたして、「顔の表情」がノンバーバル・コミュニケーションを代表するだろうか?
さて、『メラビアンの法則』に対する最大の問題提起は、何といっても「顔の表情」55%をノンバーバル(非言語)コミュニケーションに置き換えられるかとの指摘でしょう。この点については、当ブログは過剰(誤)解釈の立場を貫いてきましたが、その根拠とするところを最後に書かせていただきます。
『しぐさで人の気持ちをつかむ技術』(渋谷昌三著/新講社)に「人の本音や本心は、どこに表れるのか」と題して、名著『裸のサル』で知られる動物行動学者のデズモンド・モリスの研究が紹介されています。

「モリスは、『マンウォッチング』の中で、『動作の信頼尺度』をより詳しく記している。それによると、人間の各動作は、次にあげた順番で信頼できるということらしい。
①自律神経信号:汗をかいたり、動悸が激しくなったりなどの生理的反応のこと。〝
②下肢信号:貧乏揺すりをしたり、足を組んだり・・・と意外に足の動きと感情は密接につながっている。
③体幹(胴体)信号:体を前に乗り出している、後ろに反りかえっている、背筋が伸びているなどの姿勢。④見分けられない手振り:④⑤はともに手の動きだが、モリスは、わずかな指の震えなど、より微妙な動きほど本心に近いものとしてとらえている。
⑤見分けられる手のジェスチャー
⑥表情:緊張感の伴う人間関係では、表情を押し殺してしまうことも少なくない。言葉同様、表情で相手をごまかし、けむに巻くのは、自分のペースに持っていきたい交渉や折衝の場では基本的なテクニックである。
⑦言語

●「言語(ここには声の部分も含まれると思われる)」の位置づけは、『メラビアンの法則』通りの最も影響力が低い位置づけとなっています。しかし、エクマンの『顔は口ほどに嘘をつく』(河出書房新社)にある「私たちは、顔面の筋肉や発声器官を制御する力に乏しく、身体の筋肉や言葉を制御する力に長けている。」とされる「顔の表情」が下から2番目でした。

●以上を総合して、『メラビアンの法則』で矛盾した感情を読み取る際に55%の影響力があるとされた「顔の表情」を、そのままノンバーバル(非言語)コミュニケーションに置き換えるのには、やはり無理があるように思われます。とはいえこの『法則』がこれほどまでに語り継がれてきたのは、単にノンバーバル(非言語)研究者にとって都合が良いからとの先人の指摘ばかりとはいえないように思います。次回は、『メラビアンの法則』の応用範囲について、私なりの考え方を示します。

参考資料 『メラビアンの法則』掲載内容(2010年11月27日~2011年4月9日)
第34回メラビアンの法則① 過剰解釈との問題提起
第35回メラビアンの法則② 出典と法則誕生の時代背景
第36回メラビアンの法則③ 法則に至るプロセス
第37回メラビアンの法則④ 海外著名作家作品に登場する過剰解釈例
第38回メラビアンの法則⑤ 「声」から感情を読み取る研究(1)
第39回メラビアンの法則⑥ 「声」から感情を読み取る研究(2)
第40回メラビアンの法則⑦ 「表情」から感情を読み取る研究(1)ポール・エクマン
第41回メラビアンの法則⑧ 「表情」から感情を読み取る研究(2)ゴットマン他
第42回メラビアンの法則⑨ 「表情」から感情を読み取る研究(3)国際(民族)比較①
第43回メラビアンの法則⑩ 裏付けとなる「表情」の研究(1)日本人の研究①
第44回メラビアンの法則⑪ 裏付けとなる「表情」の研究(2)日本人の研究②
第45回メラビアンの法則⑫ 「表情」から感情を読み取る研究(4)国際(民族)比較②
第46回メラビアンの法則⑬ 〝ひと目ぼれ〟の秘密 
第47回メラビアンの法則⑭ 採用(就職)面接(1)マレービアンの研究から
第48回メラビアンの法則⑮ 採用(就職)面接(2) 面接者と応募者
第49回メラビアンの法則⑯ 採用(就職)面接(3)矛盾したメッセージを読み取る
第50回メラビアンの法則⑰ 採用(就職)面接(4)面接とボディー・ランゲージ
第51回メラビアンの法則⑱ こんなにもある過剰(誤)解釈例
第52回メラビアンの法則⑲ まとめ① 第53回メラビアンの法則⑲ まとめ②

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