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2011年5月28日 (土)

色彩⑤「色彩の人間活動への影響(ⅱ)」

工場の生産性に色彩が及ぼす影響には恐るべきものがありました。これに対して、ビジネスマンが勤務する都会のオフィスはどうなのでしょうか。以下に「険悪な職場の元凶」、「赤、緑、白の部屋での作業比較」、「知的作業に適した部屋」について3例記します。工場とはやや趣を異にするものの、やはり、色彩の影響からは逃れられないようです。

口論が絶えず、非協力的で相手の仕事を妨害する、無茶苦茶なオフィスのお話
あるラジオ放送局では、教養もあり、技能も高いはずの職員たちが、絶えず軋轢を繰り返すという状態にあった。そして部内での口論や不協力のために仕事が妨害され、ついに2人の有能な職員が、辞意を表明するという事態になった。このラジオ局の経営者は、自然な照明の利点についての講演を聞いたばかりだったのだが、突然あることに思い当たったのである。それは、この局では美的効果のために職場にピンク色の蛍光照明を採用していたのだが、これが問題なのかもと思い、すべて自然色の蛍光管に取り換えたところ、それから1週間も経たないうちに、職場の険悪な空気はおさまり、協力体制が復活し、辞意も撤回された。(※1)

意外! 森林浴の恩恵を与える緑が、校正作業には混乱をもたらした
部屋全体が、赤、緑、白、の3つの部屋を用意して、それぞれの部屋で校正作業(文章を読ませて誤字を発見させる作業)をさせたところ、部屋全体が赤色の壁紙で作業させたときが、一番生産性をあげた。白い部屋で作業をすると、間違いが一番多くなり、緑の部屋で作業をすると、頭が混乱してしまうことも分かった。(※2)

知的なアイデアで勝負するなら壁は「青色、オレンジ色、黄色」がお薦め
アメリカの環境心理学者ギフォード博士は、あれこれと部屋の壁紙を変えてみて、人間のアイデアがどのように影響を受けるか調べてみたことがある。彼は、①青色の部屋、②オレンジ色の部屋、③黄色の部屋、④真っ白な部屋、⑤茶色の部屋、⑥真っ黒の部屋、の6つの部屋を用意し、机や照明などは、すべての部屋で同一。違うのは部屋の壁紙の色だけ。
さて、実験室に参加者を入れ、大人用のIQテストをさせてみた。その結果、「青色、オレンジ色、黄色」の部屋に入った人たちは、「真っ白、茶色、真っ黒」の部屋に入った人々よりも、平均して26ポイントも高い点数を取っていた。
つまり、知的なアイデアで勝負している会社のオフィスは、青か、オレンジか、黄色にしなさいとアドバイスできるのである。(※3)

●ピンク色は、短い休憩時間を過ごす食堂にはよかったのですが、長時間机に向かうオフィスには向かないのですね。しかし、これは色彩学の素人の私にも分かるような気がいたします。分からないのが2番目の「緑」です。緑には精神の癒し効果がある(次回取り上げる予定)とされており、リラックスし過ぎてダメだというなら納得ですが・・・いささか混乱・・・???。やはり、分かりません。それにしてもショックなのは3番目ですね。自分の生家の部屋が望ましい3色のいずれでもなかったことが、恨まれるのは私だけでしょうか・・・。
さて心を取り直して、次は、教会と刑務所の変な組み合わせです。

心の安らぎは、何によってもたらされていたのか? ある教会の物語
壁は黒ずんだオーク材の板張り、信徒席は暗い赤のクッション張りで全体に暗かった教会を、牧師や信徒総代の意見で現代風(壁は白く、青いカーペットと座席のクッションを取り付けた)の軽やかな内装に変更した。見事な模様替えは、信徒席も内堂も、広さが倍増したような感じとなったが、白くなった祭壇のため牧師の姿は小さく見え、以前ほどの威厳が感じられなくなった。
そして定期礼拝の出席者の数もがた減りして、関係者一同大慌てという事態になった。礼拝が冷え冷えした感じで、心の安らぎを得られないというのが、信徒たちの声だった。牧師も、オルガン奏者も、音楽も、礼拝の式次第もすべて昔のままで、ただ色が変わっただけだったのに。(※1)

ピンクは不可思議な色! オフィスでは争いを増やし、刑務所では減らした
争いごとの絶えなかった刑務所で、壁を灰色から薄いピンク色に塗り替えると、受刑者同士の争いごとが激減したという例があります。
ピンク色はエストロゲンの分泌を促します。エストロゲンは、安らぎや穏やかさという感情を引きだします。(※4)

●モノトーンの深さにも考えさせられましたが、今回は「緑色」に信頼を打ち砕かれ、自らが育った「部屋の色」に落胆し、「ピンク」に不可思議な世界を垣間見せられ、色彩が「非言語メディア」の重要な位置を占めることを再確認することとなりました。これを良い刺激として、次の2回では、色彩と感情の世界に迫りたいと思います。

※1:『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)
※2:『人は「暗示で」9割動く!』(内藤詮人著/すばる舎)
※3:『アイデアの極意』(内藤詮人著/角川書店)
※4:『感性がビジネスを支配する』(小暮桂子&青木かおり著/ファーストプレス)

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