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2011年7月16日 (土)

《9つの非言語メディア》 沈黙① 「沈黙は金」について

今回から4回は「沈黙」です。沈黙がどうして非言語メディア? と考える人も多いと思います。もし、そうした質問が寄せられたらどう答えようかと図書館で、小学館『日本国語大辞典 全13巻』をひも解いてみると・・・。
するとどうでしょう、「【沈黙】:落ち着いていて口数が少ないこと」と書いてありました。「沈黙」の度合いで人柄が判断されるとなると、これはまさに非言語メディアということになり、大いに納得した次第です。

沈黙といえば「沈黙は金」を想起しますが、その語源はどのあたりに
「沈黙」といえば欠かすことのできない格言に「沈黙は金」があります。同じく『日本国語大辞典』によると、英語の(Speech is silver, silence is golden.)からきており、「雄弁は銀、沈黙は金:沈黙の方が、すぐれた弁舌よりも価値があるということ。時に、沈黙は雄弁よりも説得力を持つことがあることのたとえ。」とありました。でも、言論闊達な西欧社会で、これって本当なんでしょうか?

イギリスの諺ですが、どうもルーツは古代にさかのぼるようなのです
英語の諺であることがわかりましたので、改めて三省堂の『英語諺辞典』で「雄弁は銀、沈黙は金」を引くと、「If a word be worth one shekel silence is worth two.:一言が1シェクル(古代ユダヤの銀貨の名称)の値打ちがあるなら無言は2シェクルの値打ちがある=17世紀後期」とありました。

「Speech is・・・は 弁舌は銀、沈黙は金=19世紀中期」として別のページに掲載されており、年代的に、どうやらこのユダヤの諺から転じたと考えてよさそうですが、『ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方』(石角完爾著/朝日新聞出版)には古代ギリシャの格言からきているとありますので、定かではありません。

これまたビックリ! 「ことわざ学会」会長のご見解は意外にも・・・
この6月に出版されたばかりの『ことわざは人生のナビゲーター』(※)によると
「自分の考えを的確に言葉で表現しなければならない西欧社会にあって『沈黙は雄弁にまさる』というような趣旨の《雄弁は銀、沈黙は金》ということわざが存在するのは不思議に思う人も多いであろう(山本もまったく同感です)。

ギリシャ・ローマ時代は銀が金より10倍も価値があった! ということは?
ところが、元来は(ギリシャ・ローマの時代には)、現代と違って、金より銀のほうがはるかに貴重だったのである。アラビアでは紀元前2世紀頃、銀1ポンドは金10ポンドと等価とされたようである。西洋では19世紀まで広く銀本位制が敷かれ銀の価値は高かった(ちなみに現在でも「銀行」と言い、「金行」とは言わない)。

したがって、このことわざができた時点では雄弁は沈黙にまさるという趣旨のものだったと推察される。
このことわざが『沈黙は雄弁にまさる』と意味に使われたのは、英国の思想家・歴史家カーライル(1795-1881)の『衣裳哲学』の中が最初のようである(山本注:カーライルの壮年期は日本国語大辞典の19世紀中期に合いたしますね)。」

諺には全く逆の意味のあるこが多いので、驚くほどのことではないのかも・・・
日本国語大辞典の「一言が1シェクルの値打ちがあるなら無言は2シェクルの値打ちがある」から「雄弁は銀、沈黙は金」に転じたとすると、現在の貨幣価値に置き換えた解釈でよさそうですが、ことわざ学会会長(奥津氏)の説によれば、元々の意味は完全に逆転してしまいます。

でも、驚くことはありません。諺がまったく逆のことを意味する例は多いようです。ここでは、わかりやすいように「沈黙は金」に似た諺から正反対の意味のある事例を同じく前出書(※)から紹介し、ひとまずこの回を終了いたします。そして次回は、非言語メディアである「沈黙」がビジネスの場で、本当に価値を持つのかどうかを「営業」「面接」「クレーム」の3つのシーンで検証いたします。

諺「Still waters run deep:静かな川は深く流れる」の真逆の解釈例(※)
「浅い川はパチャパチャと音をたてて流れるが、深い川は静かに流れ、音を立てない。そのように、口数が少ない人はよく考えているのであり、よくしゃべる人の考えや感情はむしろ浅薄なのだという意味である(山本注:日本語大辞典の「沈黙」とは「落ち着いて口数が少ないこと」と一緒ですね)が、反対の意味で使われることもある。つまりstill waters(静かな川、無口な人)を悪い意味にとって、「無口でおとなしい人は何を考えているかわからない(かえって怖いこともある)」という意味で使われる場合もある。」のだそうです。

※:『人生の知恵とユーモア』(奥津文夫著/三修社)

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