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2011年7月 9日 (土)

身体接触② タッチの効用

今回は身体接触のポジティブ部分にスポットを当て、「出会いの場」「忘れたコインと電話ボックス」「障害者のためのボランティア参加依頼」の3例を紹介いたします。後の2つはアメリカの実験事例(最初の「出会いの場」は調査元不記載)ですから、前回の異文化での身体接触の考察にあったように、日本にそのままあてはまるわけではありません。その点くれぐれも誤解のないようにお願いいたします。

政治家やタレントが、やたら握手して回るのはそれなりの理由があるのでした
握手の効用について、興味深い実験があります。Aという同一人物を以下の①~③の方法で人に引き合わせ、印象をたずねます。(※1)
①目隠しをして、握手はせずに話しをする
②話も握手もしないで相手を見るだけ
③目隠しをして、話をせずに握手だけをする

するとその結果は、①「距離がある」「無感動」「形式的」、②「冷たい」「横柄」「大人げない」といったマイナス評価が多かったのに対し、
③は「温かい」「感覚が鋭い」「信頼できる」「大人らしい」などという印象が強く、半数近くの人がまた会いたいと望んだのだそうです。たかが握手、されど握手ですね。ぬくもりを感じさせる握手には、あなどれない効果があるのでした。

ポケットに手を突っ込んだまま回診する大学教授の態度に疑問を持った講師は
以前、人から聞いた話ですが、ある大学病院の教授が回診の際、いつもポケットに手を入れて歩かれたそうです。日頃のジェントルマン振りとは異なる所作を疑問に思った講師の一人が理由を尋ねたところ、「患者さんは皆さん病状について不安を抱えておられる。その不安な気持ちを少しでも取り除けたらと思って、なるべく温かい手で触診するように心がけています」とのことだったそうです。

見ず知らずの他人に対しても、身体接触は効果があるだろうか?(※2)
ミネソタ大学の研究者が行った実験では、電話ボックススにわざとコインを置いておき、電話ボックスに入ってきた人がコインを見つけて手に取ったところで、「ここにコインを忘れたんですが、知りませんか?」と声をかけたところ、声を掛けるときに相手のひじに軽く触れると、返してくれる率が、23%から68%にまで高まった。

この事例を『本音は顔に書いてある』の著者・ピーズ夫妻は、見知らぬ人間に突然身体を触られることはめったにないため、ひじを触られたことは強烈な印象を与え、そして、わずか3秒間の接触によって、両者のあいだには一時的な近親感が生じるので、コインをとった人はウソをつき通せないと感じたのである、と説明しています。

行きずりの人に、ボランティアを依頼するときタッチは有効か? (※3)
ミズリー大学のゴールドマン博士の実験では、相手に道をたずねる名目で近づいて、「障害者のための2時間のボランティアに参加してくれませんか?」と頼みごとをした場合、相手の腕にタッチしてみると40%の人がOKしてくれたのに対し、何もタッチしない場合には5%しか応じてもらえなかったそうです。

コネチカット大学心理学科のフランク・アラグナ博士たちのタッチングについての研究では、「女性」が利用したときに効果が強く見られるそうです。「女性が男性に」「女性が女性に」あるいは「男性が女性に」の場合は「この人は、温かい人だ」「いい人だ」という好印象を高める効果があるとのこと。「男性が男性に」するのは、あまり効果がないようです。

「電話ボックス」のコインといい「ボランティア」への誘いといい、3~4倍(コイン回収は23→68%、ボランティア参加は5→40%)の成果につながるタッチ効果恐るべしですね。しかし、「男性が男性に」がいずれの場合でも効果がないのはさみしい気がいたしますが、中には以下のような例外もあるようです。

男同士が〝相手の肩や背中に手を当てる〟ことで効果が期待できる例(※4)
警官が容疑者の肩に手を掛ける場合や、相手の肩や背中に手を当てることは、優越感を表すしるしになるそうです。しかし、この同じ優越的な対人接触が、教師から学生へ、医師から患者へ、牧師から信者へ、職場の上司から従業員へということなら、それが相手のためを思う配慮を伝えることにもなり得るとのことですから、指導的立場にいる方には大いに活用していただきたいですね。ただし、異性に対しては、最近勘違いをなさる殿方も多いようですから、くれぐれもご注意いただきたいと思います。

※1・2:『あなたは人にどう見られているか』(松本聡子著/文藝春秋社)
※1:『怖いくらい人を動かせる心理トリック』(樺旦純著/三笠書房)
※2:『本音は顔に書いてある』(アラン&バーバラ・ピーズ夫妻著/主婦の友社)
※3:『「説得上手」の科学』(内藤誼人著/日本経済新聞社)
※4: 『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)

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