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2011年8月 6日 (土)

沈黙④ 日本的「間」

沈黙シリーズの最終回は、沈黙の一部として会話における「間」についてです。人を評する際に「間抜け」という、あまり芳しくない表現がありますが、実は、この言葉の由来は、「邦楽・舞踊・芝居で、本来あるべき休止がない」(日本国語大辞典より)ことをからきているのだそうです。要するに、間抜けというのは、必要な「間」をとらないことから冠せられた蔑称なのですね。このように見てくると、話し言葉における「間」の大切さを改めて考えさせられます。 

言葉における「間」についての『非言語コミュニケーション』著者の解説
「人間がことばを口にする時には、語、句、センテンスの間に必ず千分の1秒から数分間に至るまでの間隔を置くのだ。厳密な意味では、このような沈黙は、『周辺言語』の延長である。(中略)
もう一つの周辺言語的な沈黙は『間(ポーズ)』である。ことばを区切り、強調し、またことばによるメッセージを相手の心に浸透させるために『間』を置くのだ。コメディアンは『間』のとり方の名人でこの無言の時間を按配して最大限の効果を上げる。コメディアンのジャック・ベニーも『いちばん大笑いしてもらったのは、何もしゃべらずに黙っていた時だよ』と言っている。

人間が対面して話している時には、この『間』に気づかないことが多いのだが、これはその無言の時間が顔の表情、ジェスチャー、目の動きなど他の非言語メッセージで穴埋めされているからである。ところが電話で話すときや録音テープを聞くときには『間』がより目立つことになるのだ。」(※1)

●ジャック・べニー(1894-1974)はアメリカで活躍したコメディアン、ヴォードヴィリアン、俳優で絶大な人気があったそうです。コメディアンを例に挙げているところは日本国語大辞典の「間抜け」の舞台芸術に共通していて面白いですね。
なお、この後に取り上げる日本語に含まれる「余分な言葉」にも通じますが、日常会話で大切な「間」が、電話応対では逆に障害になりかねないとの指摘は、コールセンターの研修を担当することが多い講師の立場としては、大いなる課題でもあります。

日本語の4割は余分な言葉だが、そのおかげで言葉が通じている!?(※2)
「私たちはたいてい、相手に自分の意志を伝えるために必要最小限よりも多くの言葉を費やしている。つまり、会話にはそれだけ余分な言葉が入っているのだ。ある意味を伝える時、どれだけ余分な言葉が使われているか――このものさしを『冗長度』と呼ぶ。ある研究によると日本語はかなり冗長な言語で、その会話の冗長度は、一般に約42%だといわれている。

冗長度というと、何か非常にムダなようなもののように思うかもしれないが、そうではない。じつは冗長度が大きいおかげで、私たちは相手からきたメッセージを多少聞き洩らしても、ほぼ正確にその中身を理解できるのだ。役所の文章や学者の講義がわかりにくくて、評判が悪いというのも、まさにこの冗長度の問題である。」

日本人にはお役所言葉が、外国人には日本語が通じにくいのがわかりました!
ときに主語がなかったりして、外国人はもちろんのこと、日本人同士でさえ理解に苦しむ会話が、(冗長度に助けられ日本人には)支障なくコミュニケーションできる理由が何となくわかったような気がいたします。さて次は、現代のマスコミの寵児に、かつての名コメンテイターの絶妙の「間の取り方」を語ってもらいましょう。

売れっ子の池上彰氏のお手本は、「間の取り方」絶妙の久米宏氏だった!
「久米さんのニュースについてコメントする間の取り方は、実に見事でした。例えば、コメントの途中で『これってね』と三秒間を置く。『何を言うんだろう』と思わせてから、『これはつまり・・・こういうことですかね』と続けるのです。
あるいは、久米さんは、話の途中でいったん間を置いてから、あえて小さな声で続けたりします。小さな声のほうが聞き手が集中する効果を知っての演出です。」(※)

最終回にぎりぎりセーフ、「沈黙は金」のルーツがわかりました!
「沈黙」シリーズの初回(第67回)で「沈黙は金」のルーツを探り、諸説を紹介しましたが、山本なりの結論を得ましたので、その紹介を以って、シリーズを締めくくります。答えをくれたのは、『現代英語ことわざ辞典』(※4)でした。
【参考】①この考えは古くからあり、『旧約聖書』「レビ記」に関する注釈に、If speech is silvern, then silence is golden.(話すのが銀なら黙するのは金)という意味のことが記されている。
【参考】②ギリシャの叙事詩人ヘシオドス(紀元前8世紀)の『仕事と日』に人生訓の一つとして次の言葉がある。「言葉の慎みより尊い宝は、この世にない。/節度を守って動く舌は、何にもまして床(ゆか)しく好ましい。」

※1:『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)
※2:『ビジネス難問の解き方』(唐津一著/PHP研究所)
※3:『分かりやすく〈伝える〉技術』(池上彰著/講談社)
※4:『現代英語ことわざ辞典』(戸田豊編著/リーベル出版)

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