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2011年8月27日 (土)

周辺言語③ 電話コミュニケーションと周辺言語

今回は、電話での会話に、どの程度「周辺言語が含まれているか?」という身近な研究事例(『コミュニケーションどうする?どうなる?(※1)』から)です。被験者は、面と向かって話したことがほとんどない、あるいはまったくなかった10人(うち日本語母語話者男女各3人で以下の会話データ作成)の人たちにお金を払って、10週間以上にわたって、毎週1回、電話で30分間話してもらいました。会話内容がわざとらしくならないために特に制限を設けず、自由に話してもらったとのこと。

電話による発話には、非言語情報が50%(総発話数の半分)も含まれていた
お互いを知らない者同士(実験が進むうちに、自然に親しさは増していったとのこと)ですので、家族や恋人同士による〝あうん〟の呼吸のようなコミュニケーションは成立しにくい状況といえます。にもかかわらず、会話に使用された言語情報と非言語情報がほぼ半分ずつだったことがわかりました。

電話会話(言語+非言語≒20万語)に登場した非言語発話数ランキング
1位「うん」10,073回
2位 @S:鋭い吸気(空気すすり=日本語ではよくある会話行動)」9,092回
3位「はい」8,607回
4位「laugh:(声を立てて)笑う」4,216回  5位「うーん」3,487回
6位「ぇぇ」2,906回  7位「はーい」1,702回  8位「うーーん」1,573回
9位「ズー」 10位「フン」1,139回

NHK大河ドラマ「江」の主人公・お江の口癖?「あのー」は何位?
ちなみにNHK大河ドラマ「江」の主人公・お江さまの口癖?「あのー」は第11位で1,098回。残念ながらベストテン入りを逃しました(あまり視聴率には関係しないでしょうが・・・)。そして、あわて者の私がよく言いそうな「あっ!」の親戚と思われる「あっ」が1,084回で、ここまでが1,000回以上でした。

●100位の「いや(104回)」までの出現総数は72,685回で全体の3分の1を構成し(そのほとんどは標準的な日本語の辞書には載っていない)、以下に続くその他多く(大半はほとんど意味不明と思われますが・・・)を含めると、非言語が、言語とほぼ同じになるのだそうです。
なお、100位の「いや」が「厭」「嫌」それとも、「いやいや」の短縮形なのか、山本には分かりかねます。このように非言語は前後の脈絡がないと意味が不明になってしまいますね。

言語情報だけ、周辺言語だけに仕分けすると、分かることが全く違ってくる!
繰り返し使用され、相手の発話に対する反応を示すような(非言語)発話をオーディオ・ランドスケープ(音の見取り図)から取り除いてしまっても、会話されていることのうち「誰がいつどこで何をどのようにどうした」にかかわる部分は依然として理解できるそうです。
逆に、非言語的な発話の部分しか聞かないと、発話内容は分からなくなりますが、そこで行われている社会的なやり取りはたいてい把握できとのこと(外国人として見知らぬ言語の会話を垣間見ても、いろいろなことが察せられることと同じ)。

非言語発話のベスト100の中から代表例を探すと、「あー」「うー」!?
上位100の非言語発話の半分以上の表現(以下の例は発生頻度順)。
「あーー」「あ」「あーーー」「あー」「あ。あー」「あ。あーー」「あーーーー」や、
「うーん」「うーーん」「うん。うん」「うーーーん」「うん。うん。うん」)が、同じ文字(「あ)」や文字列(「うん」)でできていることが分かりました。
なお、あまり相違を感じない伸びのサイン「---」ですが、一般に日本語の発話時間の長短は発話の意味の違いを引き起こすことから、無視することができないのだそうです。

もう一つのパターンは「単純な音の引き伸ばし」と「繰り返し」でした
頻度の高い発話に同じものが何度も形を変えて現れるのには、いくつかのパターンがあります。
「はー」「はーー」「はーーー」や
「ふん」「ふーん」「ふーーん」「ふーーーん」のように、音を引き伸ばすというのはその一つです。
「ハ」「ハハ」「ハハハ」「ハハハハ」「「ハハハハハ」のように、繰り返すだけというパターンもあります。

もっとも複雑なバターンは「そうです」「そうですね」「あそうなんですか」
「うん」「うんうん」「うんうんうん」のようにかたまりを繰り返すパターンや、
「そうです」「そうですね」「そうですねー」「そうなんですか」「あそうなんですか」のようにさらに複雑なパターンもあります。
最後のパターンには、これでも非言語と、その奥行きを感じさせられました。以上、非言語グルーピング3例をご覧いただいて、今回は終了といたします。

※1:『コミュニケーションどうする?どうなる?』(林博司&定延利之/ひつじ書房)

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