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2011年9月 3日 (土)

周辺言語④ 日本語の特徴と〝訛り〟について

今回は、去る4月9日に亡くなった井上ひさし氏へのオマージュとして、氏の最新刊『日本語教室(2011年3月刊)』から、日本語の音節に関して語られているところから入り、最後は周辺言語では欠かせない〝訛り〟について日米の事例に触れ、(私にとっては)難解な周辺言語シリーズを終了することにいたします。

哀悼! 井上ひさし氏 著書『日本語教室』(※1)より
「日本語の音節の数は、114から116くらいです。英語はもう数え切れないくらいあって、3万とも4万とも無限ともいわれているようです。北京語、中国語は400くらい。もし日本語にCVC、つまり子音で終わる音節があったら、理論的には1125の音節があることになります。そうなっていたらよかったのにと思わないでもありません。同音異義語が少なくなりますからね。まあ、駄洒落の楽しみは減るでしょうけど」

●『日本語教室』は井上ひさし氏の講演録をまとめたものですが、氏が語られているように、同音異義語の多い日本語はコミュニケーション上不都合の生じやすい言語です。それでも支障なく会話ができているのは、研修シリーズ第69回で紹介した唐津一氏の説を借りると、「非言語を含めムダ話を会話に織り込むことで、考える時間を稼ぎ、その間に相手の言葉を正しく理解する」からなのでしょうか。

アメリカ人は、地方別の訛りで格付けされているってホント!?
マジョリー・ヴァーカスは『非言語コミュニケーション』の「9つの非言語メディア」の【周辺言語】で、〝訛りのハンディキャップ〟について次のように書いています。
「アメリカ国内での地方訛りは、外国語訛りほどには聞き手の話し手に対する価値判断を低下させないようだ。しかしニューヨーク訛りの強い話し手は、間のびした南部訛りの話し手に比べて、よりダイナミックだが社交性はより低いと評価された。さらに中西部訛りの話し手は、南部やニュー・イングランド地方の訛りを持つ話し手と比べて、より有能かつ信頼できると格付けされたのである。つまり訛りを識別することが、アメリカの地方別の共有固定概念を明らかに助長しているのだ。」(※2)

訛り〟といえば、第一に想起されるのが、松本清張氏の『砂の器』です
このアメリカの地方別訛りによる格付け説を見ると、標準語と関西弁の関係が思い起こされますが、関西出身者が少しもハンディキャップを感じていないのは、日本文化の誇りでしょうか、それとも・・・。これ以上は、差しさわりがあってもいけませんので話題を変えます。この訛りについて考えるとき、私が、まず一番に思い出すのは、映画・テレビでも何回も作品化されている松本清張氏の名作『砂の器』(※3)です。

次第に追い詰められていく天才ピアニスト・・・何だかドキドキしますね
「カメダは今も相変わらずでしょうね?」
被害者の連れは、被害者にそう東北訛で聞いた、とバーの女給の一人が話した。その二人はしきりと「カメダ」という名前を話題にしていたのである。
この「カメダ」が、今西刑事たちの血の滲むような努力によって、「出雲の音韻が東北方言のものに酷似していることは古来有名である」との文献に出会い、島根県の地図で宍道駅からの支線(木次線)の10番目に「亀嵩(かめだか)駅」があることを発見。ここから難航していた殺人事件が劇的展開を見せることに・・・。

●この稿を書くために、久しぶりに『砂の器』を手に取ったら、止まらなくなってしまい困りました。2回前に取り上げた『ミステリー傑作選』も多分に影響しているのかもしれません。さて、気を取り直して、このシリーズのまとめに入ります。最後は、やはりミステリーから横溝正史氏の「金田一耕助ファイル」シリーズからと行きたいところですが、金田一違いで、国文学者の金田一春彦先生のご登場です。皆さん、国語辞書で大変お世話になっていますから、懐かしい感じがするのでは・・・。

金田一春彦氏の〝訛り〟の解読率は、名探偵の金田一さんもビックリ!
金田一春彦先生のご見識に触れることで、このシリーズを終了といたします。
「誘拐事件で犯人の声のテープが公開されると必ずマスコミが取材に来るが、一番苦労することは準備の時間がないこと。テープを聞かされてすぐその場で回答しなければいけないので、口頭試問と同じだ。さいわい、今まで犯人が検挙されてみると、的中率はほぼ90%。100%にならないのは、グリコ誘拐事件の犯人はまだ捕まっていないので、的中したかどうか分からない。しかし出身地についてはほぼ図星だろうと信じている。」(※4)

●専門家恐るべしですね。声については、出身地の他に、体型は肥満型と痩せ型についてはよく当るそうです。身近な似た体型の人からの類推との見方もあるようですが、体型の気になる方(残念ながら私もそのうちの一人)は、気をつけましょう。そして、もっと恐ろしいのが、育ちが分かってしまうらしいということ。体型は努力で改善余地がありますが、育ちばかりは変更が効かないですから、きびしいですね。

※1:『日本語教室』(井上ひさし著/新潮社)
※2:『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)
※3:『砂の器』(松本清張著/新潮社) 
※4:『日本語は 京の秋空』(金田一春彦著/小池書院)

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