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2011年10月22日 (土)

追悼! 世界一のプレゼンター『スティーブ・ジョブズ』①

スティーブ・ジョブズが2011年10月5 日に、世界中から惜しまれつつ亡くなりました。たまたま偶然ですが、亡くなる前日に「会社説明会でのプレゼンテーションのあり方」をテーマにした研修に登壇していた山本は、スティーブ・ジョブズ氏が、〝世界一のプレゼンター〟であることを、事例を元に解説していました。このような偶然も重なり、いまだショックら立ち直れませんが、遅ればせながら今回と次回、ジョブズ氏のプレゼンの素晴らしさを紹介することで、追悼の意を表したいと思います。

『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』が描いた、そのカリスマ性
ITがあまり得意でない私が、ジョブズ氏のプレゼンターとしてのすごさに最初に触れたのは、研修講師として独立した同時期の2008年6月に出版された『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力(※1)』でした。この中に、「スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションは、『3分間で100億円を生む』と評される」と書かれていたのです。

〝3分間で100億円を生む〟と評されるジョブズ氏のプレゼンテーション
ⅰPodの販売総計が2200万台を突破するまでに、彼は3回プレゼンを行ったそうです。売上総額をプレゼン時間で割ると、3分間100億円になることから、この表現が使われました。著者の竹内正一氏の言葉を借りれば、このようになります。
「世の中には多くの天才的なパフォーマーがいるが、ジョブズのように、業績や技術などに関する話に2時間も聴衆に身を乗り出させ、聴き惚れさせるエンターテイメントはいない。最後には、感動のあまりのスタンディング・オベレーション(総立ち拍手)が鳴りやまなくなるプレゼンは神技であり、魔法のショーである」

ジョブズ氏に原稿はなく、目線は常に聴衆に向かい、製品と技術を熱く語る
「ジョブズは、数千人の観衆を何時間でも惹きつけ、魅了する術を知っている。アメリカ大統領よりも巧みに、『ここにいてよかった』『今まで以上にすごいことがこれから始まるんだ』と期待させ、興奮させる。
アメリカ大統領といえども、スピーチのときは、専門家が作成した原稿にときどき目を走らせるものだ。しかし、ジョブズに原稿はない。目線は常に聴衆に行く。時には両手を広げ、胸の前で握り、製品と技術を熱く語る」

●ジョブズ氏のプレゼンに対する基本姿勢(単にわかりやすく伝えるだけではダメで、熱意や感動を込めることが大切だ)ということがよくわかりますね。なお、ジョブズ氏のプレゼンにおけるテクニカル部分については、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ著/2010年6月/日経BPマーケティング刊:※2)』に詳しいので、こちらから紹介させていただきます。

ジョブズ氏の声が聞こえてきそうな、タイプの異なる3つのトークから
「メタファーとアナロジー」:「僕にとってコンピューターというのは、人類が考えた最高のツールだ。知性の自転車といったところかな」
「データのドレスアップ」:「今までに売れたiPhoneは400万台。400万台を200日で割ると、1日平均2万台のiPhoneが売れたことになる」
「悪役と正義の味方」:「マイクロソフトが抱えている問題はただひとつ、美的感覚がないことだ。足りないんじゃない。ないんだ。」

プレゼンに重要な表現3例「比喩的表現」「データで語る」「悪役と正義の味方
メタファーとは喩えの一種、アナロジーとは異なる二つを比較することで類似性を際立たせる手法。参加者が各層にまたがる場合、製品(サービス)のイメージが伝わりやすいように、プレゼンには欠かせない要素ですが、上記例は子どもから大人まで、聞く人すべてのハートに入り込む、メタファーでありアナロジーといえるでしょう。

損して得を取り、ライバルを叩くときには徹底的に、が、ジョブズ氏流
あるプレゼンのときの話だそうですが、その新製品は、従来品に比較して速度が2.8倍で価格が半値(キャンペーン)だったとき、ジョブズ氏はIT機器の生命線である速さの0.8倍を捨て、「速度は2倍、価格は半分」の、購買者によりわかりやすい表現の方を選択したそうです。このマーケッター感覚に驚かされます。

●プレゼンに欠かせないストーリー(物語)には、正義の味方が喝采を受けるための悪役の存在が欠かせません。そんな悪役を、ジョブズ氏はとても上手に作りました。敵役(使い勝手の悪い他社製品もしくは自社の既製品)を登場させ、次にヒーロー(日々の暮らしを楽しくしてくれる画期的なアップルの新製品)を登場させるのです。

●敵役(問題)を登場させると、聴衆は主人公(解決策)を応援したくなります。ジョブズ氏はこの古典的な物語の手法を使うことが多かったそうです。世界一のプレゼンターに敵役にされたマイクロソフト(それ以前はIBM)はたまったものではありませんね。次回は、ジョブズの格好の標的とされたマイクロソフトのビル・ゲイツ氏とジョブズ氏のプレゼンテーション比較から、世界一のプレゼンターに迫ります。

※1:『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』(竹内正一著/2008年6月/経済界刊)
※2:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ著/2010年6月/日経BPマーケティング刊)

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