アウトバウンドへの取り組み① アウトバウンドとは
本ブログは、「コールセンター応援歌」と「研修シリーズ」の2部構成となっておりますが、「コールセンター応援歌」で〝アウトバウンド(発信)〟を取り上げて欲しいとの声が2週間ほど前にありました。そこで、早速ご要望に応え、コールセンターで行うアウトバウンドについて、私なりに工夫したものを書いてみようと思います。
アウトバウンドは、その取扱商品(製品)やサービス内容によってトークが大きく異なり、また、BtoB(ビジネスtoビジネス)とBtoC(ビジネスtoカスタマー)によってもその対応が異なります。こうした背景から、なかなか一般論では通じないとの思いがあり(私の実力不足もありますが…)、これまで掲載を見合わせてきたところがございます。本シリーズの1回目は、まずこの辺りから入ります。
インバウンド(受信業務)と、アウトバウンド(発信業務)の違い
研修シリーズ第76回に「なでしこジャパンに学ぶコーチング」で、澤穂希さんの前のキャプテンだった池田浩美(旧姓磯崎)さんが佐々木則夫監督に対して行ったアドバイス的コーチング「監督、ケガで合宿をリタイアする選手を見送らなきゃだめですよ」についてに触れましたが、彼女の書いた『荒地に花が咲く』の中に、インとアウトの違いを理解する上で、助けとなる恰好の文章がありました。
「小さなミスが命取りのDF」と「1本決めれば10のミスが帳消しのFW 」
「小さなミスが命取りになるポジション、それがDF(ディフェンダー)です。
FW(フォワード)は10本シュートを打って、1本でもゴールを決めれば褒められます。しかし、DFの場合は10本のシュートを跳ね返しても、1本決められればボロくそに言われる、割に合わないポジションです。」
●研修でもこのフレーズをよく使うのですが、ミスをしたら〝クレーム〟になったり、〝お客様を失う〟リスクを伴うのがインバウンド。ミスが許されないという点で、サッカーにたとえるならのDFに該当するでしょう。これとは別に、100件電話して数件アポが取れればOK的なアウトバンドは、10本のうち1本シュートが決まれば〝よくやった〟といわれるFWに似ているのではないでしょうか。
〝アウトバウンド〟と〝インバウンド〟は、似て非なるもの
ある本の中に「インバウンドのコールセンターというのは、消費者からかかってくる電話に応えるのが仕事である。一方テレ・セールスやテレ・マーケティングのように、こちらから相手に電話をかけるのがアウトバウンドで、一般にマニュアル通り話せばいいアウトバウンドより、さまざまな質問に答えなければならないインバウンドのほうが、従業員に要求されるレベルは高いといわれている。(※1)」とありましたが、私は、この二つは〝似て非なるもの〟で、その難易度は比較できないと思います。
コールセンタースタッフに澤穂希選手のような〝両刀遣い〟はあまりいない
澤選手は代表選手としての得点(ゴール)が、あの伝説といわれた釜本邦茂さんをW杯で抜いたように、もともとは攻撃的な選手だったそうですが、佐々木監督の判断で北京オリンピックのころからDFに転向したそうです。彼女の豊富な運動量と的確な戦況判断がW杯優勝に導いたことは記憶に新しいところです。
しかし、多くのコールセンターを見渡しても(60%位のセンターがインバウンドとアウトバウンドの両方を手がけている)、澤選手のようなどちらにも傑出した存在は、ほとんど見当たりません。それは、サッカーのDFとFWのように役割が異なり、適性として求められる資質に大きな違いがあるからなのでしょう。
電話活用では〝インバウンド〟より〝アウトバウンド〟の方が歴史が古い
テレアポ電話営業というビジネスモデルは、電話が普及し始めた1960年代、広大な国土を持つアメリカで生まれました。きっかけとなったのは百科辞典の訪問販売だそうで、ずっしりと重い百科辞典を持ち運んで売り歩いていた営業マンが、「何かいい方法はないか?」と考えた結果、前もって電話でお客様に興味があるかどうか確認してから、実際に商品を見てもらおうという営業スタイルを確立させました。日本に電話営業というビジネスモデルが導入され始めたのは、1970年代初頭ビジネスマン向けの自己啓発教材からだそうです。(※3)
1962年、フォードは大々的に〝アウトバウンド〟をキャンペーンに使った
このキャンペーンでは2000万人に対し調査形式の電話のアプローチがなされました。その結果、18万7千件が6ヶ月以内の有力見込み客であることが判明しました。有力情報が販売店に即刻報告されたため、電話した当日の契約も444台ありました。販売実績は9日後には7773台に達したそうです。このキャンペーによる販売コストは1台当たり65ドル(当時)で、他の拡販計画のコストよりはるかに低く、その後のテレマーケティング時代の幕を開くきっかけとなりました。(※4)
※1:『スローキャリア』(高橋俊介著/PHP研究所)
※2:『B2Bマーケティング』(パチェンティ・J・チェザレ著/ダイヤモンド社)
※3:『テレアポの鉄則!』(北原千園実著/アスペクト)
※4:『テレフォン・マーケティング』(マリイ・ローマン著/ダイヤモンド社)
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