アウトバウンドへの取り組み⑰ 「切り返し話法」(7)
実は、1月末から2月にかけて「クレーム対応研修」で全国を回っておりました。その研修の場でも話題にのぼった「悪質クレーマーに対する切り返し」が、このシリーズの最終回となります。
前回の「資料を送っておいて」同様、実際の現場では、なかなか以下の応答例ようには参りませんが、参考文献『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術(※)』の著者が述べられているるように、日頃から情景をイメージし頭の中でトレーニングしておくだけで対応力が格段に磨かれることは間違いありません。そうした観点で読んでいただければ幸いです。
なお、クレームに対する切り返しだけに、不穏当な表現が頻発しますが、その点は、あしからずご了承のほど…。
相手に対応策を委ねる応答例
クレーマー「謝って済むなら、警察も裁判所もいらねいだろ!」
対 応 者「もちろんです。わたくしどもも警察や裁判所の必要性は認識しております」
クレーマー「じゃあ、どう対応してくれるんだよ!」
対 応 者「どう対応すればよいのか、具体的におっしゃって下さい」
クレーマー「少しは頭を使えよ! どうすればいいかぐらいわかるだろう?」
対 応 者「申し訳ございません。私には理解できないものですから、お客様が具体的にどうなさりたいのか、おっしゃって下さい」
クレーマー「ほーう。具体的に言えば、その通りにしてくれるのかよ!」
対 応 者「あくまでもお客様のご要望として承ります。その上で当社としての判断ということになります」
電話での応答例
クレーマー「お前さっきなんで自分の方から電話を切ったんだよ。話は終わってねえって言ってんのがわからねえのかよ!」
対 応 者「私どもの結論は、先ほどお話した通りです。何度も電話をかけてこられるので、すでに業務に支障が出ております。これ以上お続けになられるのでしたら、警察に通報いたします」
クレーマー「お前、ぶっ殺されてえのかよ!」
対 応 者「お客様、ただ今不穏当な発言がありましたので、これからの通話はすべて録音させて頂きます」
●サービス業を営んでいる以上クレームは避けて通れません。不思議なことに、CSへの取り組みが進むとその数が増える傾向があります。たとえば、病院は患者さんを〝お客様〟と呼ぶようになってから、病室内のルール違反が増え、治療費未払いが増えているそうです。このような現実に直面すると、サービス提供者の側も理論武装を怠ることはできません。今回の参考文献の中にある、法的防衛条項は以下の通りです。
大声は威力業務妨害罪、金銭を迫れば脅迫罪、無理強いの謝罪文は強要罪が
客席で、従業員の制止も聞かずに大声を出し続けるのは、威力業務妨害罪(刑法234条)に該当する。執拗に「どうしてくれるんだよ!」と迫り続けるのは脅迫罪(刑法222条)になるし、ましてや「10万円で許してやる」などと迫れば恐喝未遂罪(刑法250条)、それでお金を得たのであれば恐喝罪(刑法249条)になるのだ。
また、無理やり謝罪文を書かせたりしただけでも強要罪(刑法223条)になってしまう。
法的根拠からクレームをハネのける応答例
クレーマー「土下座して謝ったら許してやらあ!」
対 応 者「お客さまは私に土下座を強要なさるのですか? これは脅迫と理解してもよろしいでしょうか?」
クレーマー「ネットに書き込んでやるからな、覚えていろよ!」
対 応 者「それはお客様の自由です。ただし実害が生じた場合には、組織として断固たる措置をとらせて頂きます」
クレーム切り返しは「沈黙」「オウム返し」「開き直り」での応酬も有効
悪質クレーマーはおしなべて口が達者なだけに、相手のペースに乗せらないためには、時に〝沈黙〟が有効な武器となることを知っておきましょう。〝オウム返し〟も相手のタイミングをずらすうえで有効の様です。また、悪質クレーマーは、組織全体を相手にすると長期戦になることを知っており、単独個人を狙い撃ちにして、相手の弱いところを突き、一気に勝負をつけたがる傾向があります。
このような時は、前述の「相手に対応策を委ねる」ような、〝脱力モード〟や〝開き直り〟の対応を心がけ、クレーマーの挑発に乗らないことが一番の防御策になると、著者は述べられていますので、ぜひ参考になさってください。
※『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(神岡真司著/日本文芸社)
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