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2012年3月

2012年3月31日 (土)

《9つの非言語メディア》 動作(人体の姿勢や動きで表現されるもの)①

前回で9つの非言語メディアの「目」を終え、今回から「動作(ボディ・ランゲージ)」に入ります。ついては、『ハーバード・ビジネススキル講座 対話力(※1)』に「魅力を引き出す10の態度」が書かれており、その第1項目が「アイ・コンタクト」、続く4項目が「動作」であることから、本ブログが「目」から「動作」に移行するに際し(非言語コミュニケーションをご理解いただく上でも)、格好の素材と思い取り上げることにいたします。

「魅力を引き出す10の態度」 非言語メディアの「目(1)」「動作(2~5)」
1.アイ・コンタクト:多いほどよい。視線がわずらわしく感じられない程度に。
2.顔の表情:生き生きとした表情。微笑みを絶やさない。興味深げに見えるように。
3.頭の動き:うなずいて興味を示す。常にあごを上げる。
4.身振り:表情豊かにオープンに。過剰にならないこと。
5.姿勢:背筋を伸ばす。身を乗り出して興味を示す。打ち解けた印象を与えるために後ろにもたれる。

非言語メディア「対人的空間」「身体接触」(6・7)、「色彩」「人体」(8)・・・
6.接近度と位置:圧迫感を与えない範囲で、相手にできるだけ近づく。
7.身体的な接触:相手に不快感を与えない範囲で、できるだけ頻繁に相手に触れる。
8.身なりと体形:服装には色を取り入れる。適度な体形。
9.タイミングと同調:それ以上アップすると効率が悪くなるところまで、行動のスピードを上げる
10.スピーチの言語以外の要素:話すことと聞くことの必要性をバランスさせることに努める。

●『ハーバード・ビジネススキル講座 対話力』が取り上げた「魅力を引き出す10の態度」は、そのうち2、3項目を実行するだけでも魅力が高まり始めるので、一度にすべてを実行しようとする必要はない、とのことです。上段2つのタイトルに「」書きで列記したように、9つの非言語メディアが10の態度にすべて網羅されていることに納得させられます。

●なお、「3.頭の動き:うなずいて興味を示す。常にあごを上げる。」について、誤解があるといけませんので補足しておきます。上げるあごの角度は20度までにしてください。いろいろな角度を試した結果20度でイキイキとした快活な表情になるそうです。また、男性を一番強く見せるのも20度だとか。しかし、これが30度近くになると〝強そう〟を通り越して、尊大で威張った顔になってしまいます。広告のモデルが写真に写るとき、あごを20度上げているのはこのためなのです。(※2)

マイナスのイメージを与える6つの損する態度 「目」「動作」「時間」(※3)
1.手や指で鼻や口にさわる――話している人がこのしぐさをしているとき、その人は本当のことを言っていない場合が多い。説得の場面では、自分の手は顔に近づけたりしないこと。
2.腕を組む ――これは何かを防御するときの姿勢だ。相手にネガティブな印象を与える。
3.アイコンタクト――相手からの核心をついてきた質問に応える場合には、自分の目を相手からそらさないこと。話しているときに目をそらすと、まるで嘘を言っているように見られがち。
4.歩き方――部屋に一人で入っていくときには、歩幅や歩くペースはいつもと変わりなくすること。背筋を伸ばし、肩を張り、手は握ったままで前を見て歩く。下を向いたり天井を見上げたりしてはだめ。あまりゆっくり歩いていると、なにも行くあてや目的がないのだと思われてしまう。逆に早足だと、会社の中であまり重要な存在ではなく、責任のある仕事を任されていないと思われる場合が多い。

9つの非言語メディアに限りなく近い意味を持つ「服装・装飾品・携行品」
5.装飾品――カフスやタイピン、時計、指輪などのシンプルなものなら問題はない。男性の場合、ネックレスやイヤリングは御法度。
6.ブリーフケース――ブリーフケースは薄いものにすること、辞書が2冊も入るようなものはぶ厚すぎる。

●『非言語コミュニケーション』の著者マジョリー・ヴァーカスは、9つの非言語メディアの解説の後に、かなりのスペースを割いて「服装(装飾品・携行品を含め)」「匂い」について触れており、これらは現代における非言語コミュニケーションにとっては欠くことのできない大変重要な要素であると書いています。この2項目については、山本も鋭意材料を集めておりますので、本シリーズが今回始まった「動作」→「人体(次回シリーズ予定)」で終了の暁には、上記2項目を取り上げたいと思います。

※1:『ハーバード・ビジネススキル講座 対話力』
※2:『人は「暗示で」9割動く!』
※3:『「できる人」の話し方、その見逃せない法則』

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2012年3月24日 (土)

目(「視線の交差(アイ・コンタクト)」と目つき)④

今回の「目」シリーズを書いていて気づいたことがあります。山本は「新入社員教育」から経営者の方々への「面接指南」まで幅広く研修を担当させていただいておりますが、そうした研修の場で「目」に関する話題を取り上げることが結構多かったと。やはり「目」が対人コミュニケーションの重要な位置を占めるとの認識があってのことと思いますが、「目」シリーズの最終回に当たり、前3回で紹介できなかった話題をいくつか紹介させていただきます。

人間は結構正直な生き物を証明してくれたクリントン元大統領のまばたき(※1)
まばたきが発生するのはストレスフルな状態、そして、アイコンタクトが弱くなるのは自信のないとき、触れてほしくない話題などのときに相手の目を見ていられなくなるそうです。クリントン氏が来日時関西テレビに出演したときのビデオ映像分析によると、話題がモニカ・ルインスキーのことになり、「そのことを奥さんに何と説明しましたか」と問われたとたん、ぱちぱちとまばたきが頻発しました。

●世界のビップには、なんとも痛ましい光景ですが、私にはウソのつけな人なんだ!と、何かホッとした記憶があります。彼が奥様のヒラリーさんにお詫びしている様を創造すると気の毒ですが、多分、彼女の心を動かす独特の目線が用意されていたように思います。次は、〝江戸しぐさ〟から、その目線について。

「おあいそ目つき」と「おあいにく目つき」(※2)
目線については、江戸の昔から伝わる「江戸しぐさ」に、今も参考になることがいくつか伝えられています。たとえば、客へのお礼は言葉だけではなく、目つきにも感謝の気持ちをこめるものです。これが「おあいそ目つき」。
また、買い物客が何らかの理由で買い物ができなくて帰る場合があります。そのような客に対しても、言葉だけでなく「あいにく用意していなくて申し訳ありません」というお詫びの態度や、目つきも表すことができれば、より確かに、相手に誠意が届くと伝えられています。これが「おあいにく目つき」。

●商売は関西の方がうわ手との見方もありますが、このような〝江戸しぐさ〟に触れますと、さすが将軍様のお膝元ですね。別れ際のちょっとしたしぐさを、お客はしっかりと受け止めており、大いにCS向上に役立っていたのでしょう。次は、お客がどのように目を意識しているかの、ちょっと怖い、そして身につまされるお話です。

しかめた眼(目)をアブストラクトした絵を描いて店頭に掲げると(※3)
これは建築家のジェームズ・レノンという人実験でわかったことです。
彼は、大きな透明のパネルに、しかめた眼をアブストラクトにした絵を描いて、いくつかの店の店頭に掲げました。彼の仮説で、「これで万引きが減る」だったのですが、案の定、絵をかけた期間中は、万引きの発生率が激減したそうです。

●目をふさぐ行動の起源はとても古く、脳に組み込まれてしまっているそうです。子宮の中にいる赤ちゃんでさえ、大きな音が聞こえると目を閉じる力を備えているとのこと。さらに驚くことは、生まれつき盲目の子どもが、悪いニュースを聞くと目を覆うという事実があるのだそうです(※4)。人間の感情表現は、目とは切り離せない関係にあるのでしょうか。2002年に発表されたナップとホールのこの研究成果には大変興味深いもありますね。
次は、柳生十兵衛が幼少時片目を失うきっかけと、その後独眼のハンディを乗り越え剣豪としての成功を暗示するようなシーンから。

兄の石つぶてで片目が潰れた時、幼い十兵衛は無傷の方の目をかばった(※5)
柳生十兵衛は子どもの頃、兄が投げた石が当たって片目が潰れて失明した。そのとき十兵衛の行動は、普通であれば石の当たった目を押さえるところ、無傷の目のほうを手でかばったといいます。幼くして、無傷の目までつぶされてはかなわないとのとっさの判断には、その後、剣豪として大成する資質が現れていたように思われます。

●ディズニーランドは衰えを知らない盛況を続けていますが、そのコンセプトの原点に「体の感覚受容器官の70%は目にあり、視覚はセットを伝達する最大の感覚である」があるそうです。このためディズニーでは、ゲストが目にするところはすべて、明るく楽しい気持ちを呼び起こすようにデザインされています。
色はパーク全体で統一され、施設内や周辺の公共道路で紫と赤という珍しい標識が使われているのは、ゲスト(来園者)調査の結果、紫と赤という組み合わせが一番覚えやすい色だということが分かったからだそうです。やはり、ディズニーはすごい。

※1:『プレゼンに勝つ! 魅せ方の技術』(佐藤綾子著/ダイヤモンド社)
※2:『もてなしの習慣 みんなで観光まちづくり』(福留強著/悠雲社)
※3:『ビジネスの心理法則』(多湖輝著/ごま書房)
※4:『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(ジョー・ナヴァロ他著/河出書房新社)
※5:『クヨクヨするな! どんな悩みも自分で解決できる』黒川康正著/PHP)
※6:『お客さまを感動させる最高の方法』(ディズニー・インスティチュート/日本経済新聞)

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2012年3月17日 (土)

目(「視線の交差(アイ・コンタクト)」と目つき)③

今回は、そのものずばり「アイ・コンタクト」についてです。最初はプレゼンテーションにおけるスティーブ・ジョブス、続いて、メリル・ストリーブが3度目のアカデミー賞に輝いた映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で久しぶりに脚光を浴びた、サッチャー元英国首相。その後に、対面でのアイコンタクトについて触れます。

スティーブ・ジョブズがしっかりしたアイコンタクトを取れるのは・・・(※1)
彼が、何週間も前からプレゼンテーションの練習をするからだ。だから、各スライドに何が描かれているのか、スライドごとに何を言ったらいいのかすべてを把握している。もうひとつの理由は、スライドがとてもビジュアルだからだ。言葉が書かれておらず、写真だけのことが多い。書かれている場合もごく少しだけ――スライド一枚に単語がひとつだけだったりする。スライドをビジュアルにすると、情報はスピーカーが聴衆に伝えなければならなくなるからだ。

●「目」からは外れますが、今回のブログのメインタイトルが「非言語コミュニケーション」ですので、今は亡きジョブズのかけがえのない置き土産として、彼のとても印象的な「動作」についても紹介いたします。なお、ジョブズのプレゼンテーションに関しては本ブログの研修シリーズ80~82回でも取り上げております。

世界一のプレゼンターといわれたジョブズの「開いた姿勢」と「手ぶり」
ジョブズは腕組みをすることはめったにせず、姿勢が常に開いている。姿勢が開いているというのは、自分と聴衆との間に何もないことを意味する(ジョブズは演台を使わない)。コンピューターを操作するときも終わったらすぐに聴衆の方を向き、今、何をしたかを説明する。
ジョブズはさまざまなしぐさでしゃべりを補強する。昔は、両手は体の両脇にたらすべきだとされていたし、今もそう教える人がいる。然し、両手を体の両脇にたらすと緊張しているように見えたり堅苦しく感じたりする。

コミュニケーションの専門家を驚かせたサッチャー元英首相のアイコンタクト
英国のサッチャー元首相が帝国ホテルで講演をした時、最前列中央で聞いていた佐藤綾子氏(パフォーマンス学の第一人者)は、サッチャーさんのアイコンタクトの長さ、強さに驚かされました。それは彼女がスピーチの間、ほとんど100%に近いアイコンタクトを聞き手との間に保っていたからだそうです。しかも適当に配分(デリバリー)されてたのではなく、会場の隅々までに行き届いていたとのこと(※2)。

●ある調査によると、話し手の注視率と聴衆がその人に対して感じる誠実度との関係を調べていますが、それによると、「誠実」な話し手がスピーチの時間中の63.4%は聴衆を見ているのに対し、「不誠実」な話し手は20.8%しか見ないということでした(※3)。サッチャー元首相の100%のアイコンタクトがいかにすごいか、この調査からもわかりますね。次は、対面する二人のアイコンタクトについてです。

見つめる時間が長いほど好感度が増し、威厳も感じさせられる(※4)
1分間に5秒しか目を見つめない人と、30秒見つめる人とでは、30%以上も相手に感じさせる好意の度合いが違ってくることが確認されています。同性同士が会話しているサイレントムービーを見せてその登場人物を評価してもらうと、登場人物の一人が話をしているときに、相手をじっと見つめる時間が長ければ長いほど、そのビデオを見た評価者たちに「威厳」を感じさせることがわかったそうです。
つまり、相手に威厳を感じさせたいときは、相手をじっと見つめればいいんですね。

●これには、「人と向かい合っている時、アイ・コンタクトを多くするほどよいというのは俗説」との指摘(※5)があります。その根拠とするところは
「たとえば就職の面接などで最初に顔を合わせた時、ずっと視線を動かさずに相手を見つめる行為は、面接官を居心地の悪い気分にさせるだけだろう。大多数の人々は、2、3秒間のアイ・コンタクトにより安心感を得るが、それより長い間見つめられると、落ち着かない気持ちになる。」というものです。

●極端に見解が分かれますが、だからといって、ハーバードのスキル講座もアイコンタクトの必要性を否定しているわけではありません。場と状況をわきまえた、それぞれの感覚が大事だということなのでしょう。
米軍のイラクの平和維持軍では、兵士の多くがサングラスをしている(アイコンタクトがしづらい)部隊では、そうでない部隊に比べ、精神不安定を訴えるケースが多く、また死者も多かったそうです(※6)。
人が生きるうえでアイコンタクトの重要性を物語る逸話のように思われます。

※1:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ著/日経BPM)
※2:『プレゼンに勝つ! 魅せ方の技術』(佐藤綾子著/ダイヤモンド社)
※3 : 『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)
※4:『一瞬でデキる奴になる!48の心理テクニック』(内藤誼人著/日経BP社)
※5:『ハーバード・ビジネススキル講座 対話力』(ダイヤモンド社)
※6:『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』(ケヴィン・ダットン著/NHK出版)

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2012年3月 9日 (金)

目(「視線の交差(アイ・コンタクト)」と目つき)②

イッセー尾形さんという個性的な役者さんがいらっしゃいます。そのイッセー尾形さんは、一人芝居を演じることでも有名ですが、彼は一舞台で20人くらいの女性を演じ分け(おばあさんや中年女性はもとより、帰国子女、キャリアウーマン、ウェイトレス、恋される女などなど)、それが20変化とは思えないほど見事なのだそうです。
そんなイッセーさんがあるシンポジウムで、若い女性から
「イッセーさんなら簡単に美人になれると思いますが、秘訣を教えてください」との質問を受けました。今回は、女性なら誰しも関心が高いであろう、イッセー尾形氏による、〝美人になるテクニック〟からです。(※1)

イッセー尾形氏「あなたはどんな人を美人だと思いますか?」
質問者「姿勢がよく、上品で、目が大きな人」
イッセー尾形氏「はい、では背筋を伸ばすために、腕の付け根をできるだけ後ろに持っていってください。肘を背中にまわして固定する感じです。そうすると肩甲骨が後ろに引っ張られ、自然と背筋が伸びます。そして二の腕が固定されているから、手首や指先は微妙にしか動かせなくなります。身体の先端部分を繊細に動かせば上品に見えます。」

目を大きく見せるには、顎を引くことです。俗にいう上目使いにしてください
「そのためには、胸元の開いた服にして、胸骨の間に小さなアクセサリーを着けるといい。喉の下あたりを見られていると思えば、必ず顎は下がります。それから、顎は上下に動かさず、左右にそっと動かすのが気品を醸し出すコツです」
嘘だと思うなら、鏡の前で数回練習するといい。すぐに美人の秘訣がつかめる。1日10分でも自分の肉体を意識して訓練すれば、簡単に美人に見えるようになります。」

●女20変化の達人の言葉だけに、なるほどと聞き入ってしまいそうですね。ただし、上目使いについては「疑いを持って相手を見る」視線との指摘もありますので、イッセーさんご推奨の身だしなみなどを整え、相手の視線が拡散される状態にしてから、トライしてみていただきたいと思います。顎を上下に動かさず、左右にそっと動かすと気品が醸し出される・・・私も次回の研修でチャレンジしてみようかと・・・。

●女性が目を美しく見せるためには欠かせないアイシャドーですが、その起源は古く、今から5000年も前の古代エジプトまでさかのぼるそうです。古代エジプトでは化粧術も早くから発達し、紅、香油、かつらなどを使い、髪を染めることさえ行われていました。アイシャドーは孔雀石をすりつぶした青い粉でしていたと聞くと、思わずクレオパトラの美貌を思い浮かべた殿方もいらっしゃったのではないでしょうか。

●しかし、なんともショッキングですが、このアイシャドーの主目的は美的効果を狙ったものではなく、眼病を伝染させた蝿が目のふちにとまることを防ぐためであったのです。そもそも孔雀石には強い毒性があり、殺虫剤にも使われている炭酸銅が含まれています。アフリカには今日でも人間の分泌物を好む蝿がたくさんおり、これが目の淵にとまっては眼病を伝染させました。強烈なエジプトの日射をやわらげる効果もありましたが、それは二の次だったようです。(※2)
女性の美に関するテーマからはちょっと興ざめのお話でしたが、次は瞳孔です。

ヌードと瞳孔の関係 広告業界が飛びついた訳は(※2)
瞳孔のサイズが変化することは周知の事実で、暗いとより多くの採光ができるように拡大しますし、明るい日の下ではピンの頭ほどのサイズにまで収縮します。では一定の明るさという条件下では、ベラドンナとか他の化学薬品を点眼しない限り、人間の瞳孔のサイズは変化しないのでしょうか。
男女の被験者に5種類の写真を見せると、男性の瞳孔は女性のヌードを見るとより拡大し、女性は、体の一部だけ覆った筋骨たくましい男性と、赤ちゃん、それに赤ちゃんを抱いた女性の計3枚の写真のとき、より大きくなりました。

人間の瞳孔は、積極的な感情で拡大し、消極的な感情で収縮する(※3)
このことから、実験者のヘスは、人間の瞳孔は、その人が何かに対して積極的な感情を持ったときに拡大し、消極的な感情を持ったときには収縮すると立論したのでした。ヘスのこの発見は当時、商品やその包装の市場性が生産開始前にわかれば、何とすばらしいことかと、マーケティング・リサーチを行う広告業界にとって、まるで宝の山でも掘り当てたような受け取り方をされたそうです。

●なお、この種の研究は多方面でなされており別の資料によると、支持政党の候補者の演説を聞くと瞳孔が拡大し、対立候補の演説に際しては縮小しました。このことから、瞳孔は積極的な態度だと拡大し、否定的な態度だと収縮するとの仮説を持って臨んだ研究では、残念ながらそれらしい成果は得られなかったそうです。

※1:『間の取れる人 間抜けな人』(森田雄三著/祥伝社)
※2:『話のネタ――会話がはずむ教養読本』(毎日新聞社編/PHP研究所)
※3:『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス/新潮社)

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2012年3月 3日 (土)

《9つの非言語メディア》 目(「視線の交差(アイ・コンタクト)」と目つき)①

今回から、中断しておりました「非言語コミュニケーションの9つのメディア」を再開し、残っている3つのメディア「目」「動作」「身体」の中から「目」を取り上げます。スタートに際して、まず「目の5つの機能」から。(※1)
各種の研究調査の結果、対話時の目の5つの機能が明らかにされているそうです。
(1)話す・聞くの交替時期を調整する、
(2)相手の反応をモニターする、
(3)意思を表示する、
(4)感情を表現する、
(5)当該対人関係の性質を伝達する

(1)話す・聞くの交替時期を調整する 「モーガン・フリーマンのケース」
阿川佐和子さんが俳優のモーガン・フリーマンにインタビューしたときのこと、阿川さんが日本語で質問を始めると、それまでソファの背もたれに寄りかかったり、足を組んでリラックスした様子で話をしていたフリーマンさんが、突如、組んでいた足をほどき、前屈みになって、彼女の目をじっ見つめ、一生懸命、彼女の言葉に耳を傾けようとしたそうです。
阿川さんは、思わず吹き出してしまい、「日本語がお分かりにならないでしょうに、どうしてそんな真面目な顔で私の質問を聞こうとなさるのですか?」と笑いながら尋ねました。

すると、彼は「もちろん私は日本語がわからない。でも、あなたが真面目に質問をしてくれているときに、私も真面目な態度を取らなければ、失礼な気がしてね」と答えたそうです。そして、その目は、阿川さんを射抜くような鋭いものではなく、真摯で謙虚で、聞き手を安心させてくれるような温かみに満ちたまなざしだったとのこと(※2)。話を聞くに際して、視線と姿勢で相手を受け入れようとするモーガン・フリーマンさんて最高ですね。阿川さんに同じく、私も大ファンになってしまいそう。

(2) 相手の反応をモニターする 「仲間の写真を見せられたスパイの反応」
スパイの尋問で、共謀者を突き止める際に、縦3インチ横5インチ(7.5㎝×13㎝)のカード32枚をこのスパイに見せました。そこには彼が一緒に仕事をしたことがあり、彼を助けた可能性のある人物の名前が一つずつ書かれていました。その名前の人物について知っているかの尋問中、男性は特に2つの名前を見たときに目がまず大きく広がり、次にすぐ瞳孔が縮んで、わずかに目を細めました。無意識のうちにそれらを見たくないと思ったか、何らかの危険を感じているのが明らかとなったのです。目の反応のモニターから共犯者が特定できたという実話です(※3)。

(3) 意思を表示する  「自殺者を思いとどまるらせる力があるアイコンタクト」
アメリカで、善意から海岸近くに監視所を設け、自殺者を思いとどまらせる活動をしいる人がいらっしゃるそうです。この人によると、「僕が相手の目を見たときに、向こうが視線を合わせてきたら、救えるとわかる」とのこと。「目」は内面を映す鏡ともいわれますが、極限状態で目から生きる意志を見分ける洞察力もすごいですね(※4)。

(4) 感情を表現する  「必死の形相をヒンギスから笑われた阿川佐和子さん」
(1)で阿川さんのことを書きましたが、同じ本に元テニスプレーヤーのマルチナ・ヒンギスの話が出てきます。2時間の拘束時間が長いと抵抗を示す付き添い男性を、約束だからと無視してインタビューを始めた阿川さんに対し、今度はヒンギスさんが突然笑い出したそうです。「あなたの目は日本人らしくない」。このときの阿川さんの心情(背後に厳しい視線を感じつつ、必死でヒンギスさんに立ち向かっていた)が目に正直に表れ、それを指摘されたのでした(※2)。やはり感情は目に出るのですね。

(5)当該対人関係の性質を伝達する  「先に目を反らす方が能動的な性格」
一般的には、初対面のときに、先に眼を反らす人の方が、能動的な性格だと言われます。また、対話の中で相手よりも何とか優位に立とうとする気持ちが働くと、まず先に眼を反らそうとします。評論家の草柳大蔵氏によると、相手を自分のペースに引き込めるかどうかは、最初の30秒で決まるそうです。眼を反らされた方は、相手の心の動きが気になって、「何か気に入らないことでもあるのかな」とか、「私を嫌いなのかな」と気を遣い始めるので、それ以後は、視線が気になって、完全に相手のペースにはまってしまうのだとか(※5)。

●今回は、対話時の「目の5つの機能」について事例を交えながらの解説でしたが、少し堅かったかもしれませんね。次回は少しくだけて、俳優のイッセー尾形さんが一人芝居で演じるという女20変化(かなり有名らしいです)などを取り上げ、女性の美しさと「目」の関係について触れてみたいと思います。

※1:『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)
※2:『聞く力――心をひらく35のヒント』(阿川佐和子著/文藝春秋)
※3 : 『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(ジョー・ナヴァロ他著/河出書房新社)
※4:『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』(ケヴィン・ダットン著/NHK出版)
※5:『ビジネスの心理法則』(多湖輝著/ごま書房)

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