“お客さまはすべて正しい”を実践する高級百貨店ノードストローム
お買い物中のご夫婦がふと気付くと飛行機が出発する時間。慌てて支払いを済ませたためか、店のカウンターにチケットを置き忘れてしまいます。それに気付いたノードストロームの店員が、タクシーで空港までお届けした話は有名ですが、これ以外にも感心させられるお話がたくさんありますので、今回その一端を紹介いたします。
ノードストローム史上、最高の個人のお客さまはクレーム客だった!(※1)
あるとき、多忙なため昼食を食べ損ねていた店員のサラが、食事に出ようと別の部門のところを通り過ぎようとしたとき、一人の女性がブラウスを床に投げつけ、踏みつけているところに遭遇しました。サラは条件反射のように、店を出ていこうとする顧客を追いかけ、引き留め、そして親身になってお客さまの苦情を聴きました。
3回ブラウスをオーダーし、3回とも裏切られたと感じたこのお客さまは、ノードストロームに見切りをつけ、近くのニーマン・マーカスに乗り換えようと決心して、この過激なアクションをしたのでした。サラの1時間にわたるフォローが的確であったため、この女性は、その後ノードストローム史上最高の個人客となったそうです。
●航空、ホテル、レストラン業界の大規模なサービス調査担当研究員のコメントに、「顧客が優れたサービスを受けたと記憶しているケースのうち25%は、サービスの失敗から始まっている(※2)」があり、上記はまさにこれに該当しますね。“クレームは恐れずチャンスと心得ること”と、山本はCS研修でよくこの例を取り上げます。
売ったことのない商品の引取りを求められたら?
商品の引取保証をしているノードストロームに、販売してないタイヤ4本が持込まれました。でも、お客さまはこの店で買ったと譲らなかった(実は、この店はタイヤ屋さんの跡地だった)ため、これを引き取ったこともありました。ボロボロの服をまとったホームレス(前回紹介)同様、このことも称賛記事として全米に配信されました。
在庫のない製品(白いシャツでブルーの襟)を求められた販売員の機転(※2)
残念ながらご希望の製品は、店頭にも他の店舗にも、在庫はありませんでした。でも販売員は、「あいにく在庫がありません」とは言いませんでした。白いシャツとブルーのシャツを2枚ずつテイラー部門に持っていき、襟を付け替えてくれと頼んだのです。そうすれば、白襟のブルーのシャツと、逆のタイプのシャツが2枚ずつできます。
●気の利いた販売員さんですね。でも、この販売員さんはただ者ではありません。ブルーのシャツ(白い襟付き)を客に見せ、「もし逆の組合せもお望みでしたら、ご用意できます」と言ったのです。このお客が4枚買ったかどうかは書かれていませんでしたが、お客の期待を裏切らない機転と、セールス根性は見上げたものですね。
※1:『サービスが伝説になるとき』(ベッツィ・サンダース著/ダイヤモンド社)
※2:『苦情という名の贈り物』(ジャネル・バーロウ他著/生産性出版)
※3:『20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ著/阪急コミュニケーションズ)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
■本ブログ内容とは別に、お問い合わせ・ご質問等ございましたら、【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。
| 固定リンク
「ホスピタリティ・CS研修」カテゴリの記事
- 出版(共著)のご紹介を兼ね、身近な素材(アメ)によるミニCS講座です(2016.07.03)
- 互恵的利他行動促進にはアメとムチのどちらが効くか? 利他学(5)(2015.02.26)
- 視線を感じると人は利他的行動を取る 利他学(4)(2015.02.22)
- 「評判」が人に互恵的利他行動を起こさせる? 利他学(3)(2015.02.19)
- 4つの「なぜ」 続・ティンバーゲンの問い(後篇) 利他学(2)(2015.02.15)
コメント