ネクタイの起源と、ネクタイにまつわる3つのお話【服装⑩】
ネクタイの起源は、戦場に赴く英国兵士を見送る恋人のとっさの思いつきから生まれたとの説が有力です。軍服姿の兵士の隊列から恋人を見出すことは難しいと考えた彼女は、彼の首にスカーフを巻きつけました。そうすれば、容易に彼を見出せると考えたからでした。今回は、ルーツにロマンスの香りを漂わせるネクタイのお話です。
池波正太郎氏は、ネクタイを贈るのは難しいと・・・(※1:原文転載)
「贈り物をするというのは、なかなかむずかいしことだ。(中略)だから、ネクタイを贈る場合は、その人のスーツを知っていなきゃ贈れないんだよ。どういうネクタイを持っているか。どういうスーツを好んで着るかというようなことまでね。服装とかおしゃれというのは、結局、バランスが大事でしょう。いくら高価なエルメスだの何だの舶来のネクタイを貰ったって、それにあうスーツがなかったらどうにもならない。」
女性からピンポイントでネクタイのみをほめられたら要注意(※2)
女性はトータルで人を見るとの認識に立つと、「おしゃれですね」「センスがいいですねぇ」には、純粋なほめ言葉と裏腹に、「そのネクタイ、面白いですね」「ネクタイだけが浮いていますよ」という皮肉が込められていることもあるといいます。このため、「ネクタイ、個性的ですね」とほめてもらっても、うかつに喜んではいけないのだと。
●恋人の巻きつけたスカーフは、目立つことでその目的を果しましたが、目立つだけのネクタイはどうも評判が悪いようですね。ネクタイだけはおしゃれをと、キャラクターものやハデ目の色柄を選ぶ方がいらっしゃいますが、ネクタイだけが浮いてしまっているケースは多いようです。さて、この回のまとめはネクタイの経済的効果です。
調査員がネクタイをしている場合としていない場合で結果はどう違う(※3)
立正大学教授の斎藤勇氏が、個別に家を訪ねて「アンケートに協力してください」と調査依頼をするとき、調査員が「ネクタイをしている場合」と「ネクタイをしていない場合」の2パターンで実験をしました。その結果、必ずしもきちんとした服装がより多くの調査協力につながるのではない、ということがわかったそうです。
毎日、ネクタイをしているホワイトカラー層に対しては、「ネクタイをして依頼」すると90%以上が応じてくれましたが、「ネクタイをしないで依頼」すると30%未満でした。その一方で、普段、ネクタイをしていない人に対しては、「ネクタイをして依頼」すると55%で、「ネクタイをしないで依頼」した方が65%と多かったのです。
●この実験からわかったことは、高価に見える服装やきちんとした格好が誰に対してもよいというわけではなく、「自分と同じタイプかどうか」が相手との距離感を縮める最大のポイントであるということでした。出身地、名前、趣味などが同じだと親しみを覚えやすいという親和性の法則は、ネクタイの有無にもきちんと適応したのですね。
※1:『男の作法』(池波正太郎著/新潮社)
※2:『上司のための印象10倍アップ服装術』(小池恵子著/東洋経済新報社)
※3:『4分5秒で話は決まる』(山川碧子著/朝日新聞出版)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
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