コールセンター書籍関連から① 年間2000億円を回収するOLの 辛すぎる職場を乗り越える方法
今回は2012年9月に刊行された『督促OL 修行日記』の紹介です。新卒でカード会社の督促部門(コールセンター)に配属された女性が、苦難を乗り越え成長して行く様がリアルに描かれています。「今度電話してきたら殺す――」などの過激な表現があちこちに出てきますが、マスコミ紙誌に取り上げられ注目を集めています。
『文藝春秋(10月号』の「自著を語る」より 督促業務について(著者)
督促とはクレジットカードやローン、光熱費、家賃など、何かしらの支払いの滞っているお客さまに対し「お支払いをお願いします!」と入金のお願いをするお仕事の事です。(中略)そこで私に課せられたのは、社内でも指折りの問題債権と恐れられていた、キャッシング債権の回収。電話するお客さまのほとんどが支払い困難。・・・
『朝日新聞(11月11日朝刊)』の「読書―売れてる本」より (速水健朗氏)
本書に描かれたコールセンターは、まるで現代社会の最前線のようだ。「多重債務者」「クレーマー」「感情労働」……そんな現代版「ああ野麦峠」として本書は読まれているのだろう。(中略)著者は過酷な現場に立ち向かう武器を見つけ、一人前に成長していく。そんなサバイバルの姿勢、過酷な仕事を楽しむ術といった部分も読みどころだ。
●コールセンターには、お客さまからのお電話を受信する「インバウンド」業務と、こちらからお電話を差し上げる「アウトバウンド」業務があります。この本に書かれているのは後者です。配属当初、「ぼさっとしていないで、1時間に最低60本は電話して!」の指示を受けた著者が、苦心して身に付けていった武器を順次紹介します。
「入金の日にちと入金の根拠は絶対にお客さまの口から言ってもらうこと・・・」
入金の約束を守るお客さんは約6割。だから約束を破られたときのために、あらかじめ交渉の材料(約束を破った罪悪感)を用意するのだそうです。心理学の名著『ブラックメール(スーザン・フォワード著)』に、人間がつい無意識に動かされてしまう3つの感情は「恐怖心」「義務感」「罪悪感」とあり、この心理の応用とのこと。
「お金を返して!」と言わずに、お金を回収するテクニック
「人間の脳は疑問を投げかけられると、無意識に回答を考え始める」という性質があるそうです。この性質を利用して、「お客さま、いつでしたらご入金いただくことが可能でしょうか?」と質問形式にして切り出します。すると、「×月△日だったら払えると思うけど・・・」と答えてくれることが多いのだそうです。
厳しい督促をしながら、お客さんから好かれる担当者のテクニック
先輩に、お客さんから好かれている人がいたそうです(業務の性格上稀少例)。その方は、クロージングに差しかかると、口調がガラリと変わりました。「いろいろ厳しいことを申し上げましたが、くれぐれもご無理はしないでくださいね。お客さまのお体が一番大切なんですから・・・では、ご入金をお待ちしています」と。以下次回。
『督促OL 修行日記』(榎本まみ著/文藝春秋社)
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