お正月にまつわる〝日本人のしきたり〟(その1)
明けましておめでとうございます。さて、いきなりですが、大正月の1月1日は「元日」、それとも「元旦」でしょうか。「元」は「はじめ」を意味するので、元日は1年の初めの日(1月1日)のことをさし、元旦の「旦」は「日の出」を表しているので、正確には元日の朝を意味します。新年第1回は「日本人のしきたり お正月編」です。
なぜ、初日の出を「ご来光」というのでしょうか?(※1)
初日の出を拝む場所は眺めのよい山、海岸などさまざまですが、特に高い山頂で迎える太陽を「ご来光」といいました。ご来光と呼ぶのは、山頂近くの雲に映った自分の影が、まるで光の輪を背にした仏の像のように見えたためで、仏の「ご来迎(らいごう)」との語呂合わせで「ご来光」と呼ばれるようになったといわれます。
縁起の良い初夢が「一富士、二鷹、三茄子」といわれるのは?(※2)
初夢は、元旦の夜の夢とする見方と、2日の夜の夢とする見方があり、後者は書き初めなど事始めを2日とするならわしに沿った見方のようです縁起の良い初夢としておなじみな「一富士、二鷹、三茄子」は、徳川家康が「富士山を見て、鷹狩りをして、茄子を食べるのが幸せ」と言ったいい伝えによるものとの説がよく知られています。
●しかし「無事に(富士に)、高く(鷹)、事を成す(茄子)」という縁起の良い言葉の語呂合わせ説もあるそうです。さて、お正月といえば初詣。神社参りのおさらいをしておきましょう。①手水舎で両手を清めてから、口をすすぐ。 ②お賽銭を入れ、鐘を鳴らす。 ③2回おじぎをする。 ④2回柏手を打って願い事をして、一礼する。
新年の寺社参りでも「恵方詣(えほうもうで)」は趣が違います(※3)
一年の無事と平安を祈願する寺社参りですが、特に信心深い方は「恵方詣」をなさいます。「恵方(えほう)」とは歳神(としがみ)のいる方角なので、毎年その方角は変わります。その年の恵方にある寺社に詣でるのが「恵方詣」です。ちなみに節分のとき食べると縁起が良いとされる「恵方巻」の起源は全く別ですので誤解のないように。
「おとそ」とは薬酒のことで日本酒のことではありません!(※1)
おとそは、お神酒(みき)と同じで日本酒と思われがちですが、もともとは中国の唐代から飲まれるようになった薬酒の一種で、「お屠蘇」と書きます。「邪気を払い、不老長寿になれる」薬酒として、新年になると年少者から順番に飲んだとのこと。日本には平安時代に伝わって、宮中の元旦の儀式がやがて庶民の間にも広がりました。
※1:日本人のしきたり(飯倉晴武編著/青春出版)
※2:常識として知っておきたい 日本人のしきたり(武光誠著/廣済堂出版)
※3:年中行事としきたり(市田ひろみ著/東京書籍)
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