« 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(1) | トップページ | 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(3) »

2013年2月 3日 (日)

教師と学生(生徒)の非言語的関係性(2)

非言語コミュニケーションのリーダーの一人、レイ・L・バードウィステルは、対人コミュニケーションを「2者間の対話では、言葉によって伝えられるメッセージ(コミュニケーション内容)は、全体の35%にすぎず、残りの65%は、話しぶり、動作、ジェスチャー、相手との間のとり方など、ことば以外の手段によって伝えられる」と。

参考資料(※5)
⑦ことば以外のコミュニケーション手段の「9つの非言語メディア」とは

「ことば以外の数多くの方法が、対人コミュニケーション用の信号として使われている。これまでの調査研究の結果、次の9種類の「ことばならざることば」が、それがことばといっしょに用いられるかどうかとは無関係に、人間のあらゆるコミュニケーションに寄与するところ大であることが明らかになっている。」

1 人体(コミュニケーション当事者の遺伝因子にかかわるもろもろの身体的特徴の中で、なんらかのメッセージを表すもの。たとえば性別、年齢、体格、肌の色など) 
2 動作(人体の姿勢や動きで表現されるもの)
3 目(「視線の交差(アイ・コンタクト)」と目つき)
4 周辺言語(話しことばに付随する音声上の性状と特徴)
5 沈黙
6 身体接触(相手の身体に接触すること、またはその代替行為による表現)
7 対人的空間(コミュニケーションのために人間が利用する空間)
8 時間(文化的形態と生理学の2つの次元での時間)
9 色彩

山本注:前回、参考文献から17の《非言語コミュニ―ケーションの役割》を紹介しましたが、これをメディアとして捉えると9つとの見解が『非言語コミュニケーション』(マジョリー・F・ヴァーガス著/新潮社)に書かれています。

望ましい教師像のコメントには非言語メディアが続々と登場する
《学生たちとアイコンタクトを維持したり、微笑んだりくつろいだ姿勢をしたり、生き生きとしたジェスチャーを用いたり、講義中に教室内を歩いたり、さらにこれはとても重要なことであるが、活動的表現豊か話し方も有効である。これらの方略には、認知的・感情的な学習の利益があることが示されてきている。それらは説明を個人的な問題として受け止め、重要なポイントを強調し、断続的に音声的・視覚的手かがりを変化させることによって、興味を持続させることに役立つ。》

参考資料(※6)
⑧『ハーバード・ビジネススキル講座 対話力』の「魅力を引き出す10の態度」

同誌に、上段の「望ましい教師像」の太字箇所にかなりの部分が共通しますので、その内容を以下に列記します。なお、「魅力を引き出す10の態度」は非言語メディア別にみると1が「目」、2~5が「動作」6・7が「対人的空間」「身体接触」、8が「色彩」「人体」、9が「時間」、10が「周辺言語」「沈黙」に該当します。

1.アイ・コンタクト:多いほどよい。視線がわずらわしく感じられない程度に。
2.顔の表情:生き生きとした表情。微笑みを絶やさない。興味深げに見えるように。
3.頭の動き:うなずいて興味を示す。常にあごを上げる。
4.身振り:表情豊かにオープンに。過剰にならないこと。
5.姿勢:背筋を伸ばす。身を乗り出して興味を示す。打ち解けた印象を与えるために後ろにもたれる。
6.接近度と位置:圧迫感を与えない範囲で、相手にできるだけ近づく。
7.身体的な接触:相手に不快感を与えない範囲で、できるだけ頻繁に相手に触れる。
8.身なりと体形:服装には色を取り入れる。適度な体形。
9.タイミングと同調:それ以上アップすると効率が悪くなるところまで、行動のスピードを上げる
10.スピーチの言語以外の要素:話すことと聞くことの必要性をバランスさせることに努める。

●「魅力を引き出す10の態度」は、そのうち2、3項目を実行するだけでも魅力が高まり始めるので、一度にすべてを実行しようとする必要はない、とのことです。なお、「3.頭の動き:うなずいて興味を示す。常にあごを上げる。」については、上げるあごの角度は20度までにしてください。これが30度近くになると尊大に見えます。

⑨マイナスのイメージを与える6つの損する態度 「目」「動作」「時間」
1.手や指で鼻や口にさわる――話している人がこのしぐさをしているとき、その人は本当のことを言っていない場合が多い。説得の場面では、自分の手は顔に近づけたりしないこと。
2.腕を組む――これは何かを防御するときの姿勢だ。相手にネガティブな印象を与える。
3.アイコンタクト――相手からの核心をついてきた質問に応える場合には、自分の目を相手からそらさないこと。話しているときに目をそらすと、まるで嘘を言っているように見られがち。
4.歩き方――部屋に一人で入っていくときには、歩幅や歩くペースはいつもと変わりなくすること。背筋を伸ばし、肩を張り、手は握ったままで前を見て歩く。下を向いたり天井を見上げたりしてはだめ。あまりゆっくり歩いていると、なにも行くあてや目的がないのだと思われてしまう。逆に早足だと、会社の中であまり重要な存在ではなく、責任のある仕事を任されていないと思われる場合が多い。

⑩9つの非言語メディアに限りなく近い意味を持つ「服装・装飾品・携行品」
5.装飾品――カフスやタイピン、時計、指輪などのシンプルなものなら問題はない。男性の場合、ネックレスやイヤリングは御法度。
6.ブリーフケース――ブリーフケースは薄いものにすること、辞書が2冊も入るようなものはぶ厚すぎる。

●『非言語コミュニケーション』の著者マジョリー・ヴァーカスは、9つの非言語メディアの解説の後に、かなりのスペースを割いて「服装(装飾品・携行品を含め)」「匂い」について触れており、これらは現代における非言語コミュニケーションにとっては欠くことのできない大変重要な要素であると書いています。

参考文献:『非言語行動の心理学』(V・P・リッチモンド&J・C・マクロスキー著/北大路書房)
※5参考資料⑦:〈木の葉ブログ〉2011年4月16日「9つの非言語メディア(1)」
【世界中のあいさつ】より
※6参考資料⑧⑨⑩:〈木の葉ブログ〉2012年3月31日「9つの非言語メディア(25)」【動作(人体の姿勢や動きで表現されるもの)①】より

ホームページ https://www.leafwrapping.com/

■研修、講演などのご依頼、ご相談は【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。今回は「非言語コミュニケーション研修」の話題から。

|

« 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(1) | トップページ | 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(3) »

非言語コミュニケーション」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(2):

« 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(1) | トップページ | 教師と学生(生徒)の非言語的関係性(3) »