身近にあるイヤなにおいとの付き合い方【香り・におい⑭】
「消臭がきかない」と感じたことはないでしょうか? そういう場合はたいてい、風通しの悪い場所に消臭剤を置いてあることが多いようです。お手洗いだったら奥の隅の方に置くよりも、ドアの近くなど、開閉時にうまく風に乗せて換気できるところに置いたほうがいいのです。それによって部屋全体のいやなにおいが薄まります。
悪臭の原因の多くは「複合臭」と呼ばれるにおいです(※1)
悪臭のもとになる4つの化学物質は、アンモニア(肉の腐敗臭)、硫化水素(卵の腐敗臭)、トリメチルアミン(魚の腐敗臭)、メチルメルカプタン(野菜の腐敗臭)。家庭の生ゴミのにおいは、おおよそこの4つに起因しますが、悪臭の原因の多くは「複合臭」と呼ばれるにおいです。合さることで、何となくいやなにおいに変わるのです。
90%除去しないとイヤなにおいは半分にならない(※2)
閉め切った部屋の嫌なにおいや、おならの臭いを消臭剤や空気清浄機で半分まで減らしたとします。ところが私たちは「あぁ、半分のにおいになった」とは感じません。「ほとんど変わっていない」「やっぱりにおう」と感じます。実は「半分になった」と感じるためには、においの90%を除去しなければならないのです。
音にも同じ原理が働きます。10倍にしないと2倍に感じません
10のエネルギーを持つ音があるとき、何倍にすれば人間は音の大きさ(感覚)が倍になったと感じるでしょうか。普通に考えると、「倍だから、エネルギー量は20では?」と考えるでしょう。けれど人間の耳はそんなに鋭くありません。「2倍になった」と感じさせるには、実際には10倍の音の大きさにしなくてはなりません。
なぜヒトはくさい食べ物をおいしいと感じるのか(※3)
スウェーデンにシュール・ストレミングという発酵させたニシンの缶詰があります。強烈な腐敗臭に近い発酵臭で「世界一くさい缶詰」と言われます。また、韓国のホンオ・フェという、冷暗所でエイを発酵させた刺身はきついアンモニア臭がして、慣れない私たちが口にすると刺激でむせてしまいます。でも食べるのですから不思議です。
●2歳児を対象とした心理実験によれば、大人の好むバラのにおい(フェニルテチルアルコール)と大人の嫌う便のにおい(スカトール)のどちらを好むかは半々で、特定の嗜好性は見られなかったそうです。つまり、便のにおいを不快と感じるのは、後天的に学習によって身につけたものだと考えられるのだそうです。(※4)
※1:『感性で拓くマーケティグ』(恩蔵直人編著/丸善プラネット)
※2:『面白くて眠れなくなる数学』(桜井進著/PHP研究所)
※3:『〈香り〉はなぜ脳に効くのか』(塩田潤二著/NHK出版)
※4:『興奮する匂い 食欲をそそる匂い』(新村芳人著/技術評論社)
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