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2013年6月

2013年6月29日 (土)

夏目漱石の『夢十夜』の「第六話」が教えてくれること  社会人になること④

夢十夜』はとりとめのない夢の話が十話続く漱石の初期の作品ですが、山本は学生時代、その中の「第六夜」を大変印象深く読みました。仏師運慶が仁王像を彫るところを眺め、木の中に造形が潜んでいるので彫るのは簡単との話しを真に受け、自宅にあった樫の木に鑿(のみ)を入れてみたところ、ことごとく木屑になってしまったというお話です。

『夢十夜』の「第六夜」(日本幻想文学集成「25」夏目漱石より)
運慶が護国寺の山門で仁王(におう)を刻んでいるという評判だから、散歩ながら行ってみると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。(中略)

「流石(さすが)は運慶だな。眼中に我々なしだ。天下の英雄はただ仁王と我とあるのみという態度だ。天晴だ」と云って、(一人の若い男が)誉め出した。自分はこの言葉を面白いと思った。それでちょっと若い方の男の方をみると、若い男は、すかさず、
「あの鑿と槌(つち)の使い方を見たまえ。大自在の妙境に達している」と云った。(中略)

運慶はいま太い眉を一寸の高さに横へ彫りぬいて、鑿の歯を竪(たて)に返すや否や斜(は)すに、上から槌を打ち下した。堅い木を一と刻みに削って、厚い木屑が槌の音に応じて飛んだと思ったら、小鼻のおっ開いた怒りの鼻の側面がたちまち浮き上がってきた。その刀(とう)の入れ方がいかにも無遠慮であった。そうして少しも疑念をさし挟んでおらん様に見えた。

「よくああ無造作に鑿を使って、思う様な眉や鼻が出来るものだな」と自分はあんまり感心したから独り言の様に言った。するとさっきの若い男が、「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだから決して間違う筈はない」と云った。

自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。果たしてそうなら誰にでも出来る事だと思い出した。それで急に自分も仁王が彫ってみたくなったから見物をやめて早速家に帰った。道具箱から鑿と金槌を持ち出して、裏へ出てみると、先だっての暴風雨(あらし)で倒れた樫を、薪にする積りで、木挽(こびき)に挽(ひ)かせた手頃な奴が、沢山積んであった。

自分は一番大きいのを選んで、勢いよく彫り始めてみたが、不幸にして、仁王は見当たらなかった。その次にも運悪く掘り当てる事が出来なかった。3番目のにも仁王は居なかった。自分は積んである薪を片っ端から彫ってみたが、どれもこれも仁王を蔵(かく)しているのはなかった。遂に明治の木には到底仁王は埋まっていないものだと悟った。

●『夢十夜』は幻想的な作品ですが、山本はこの「第六話」には貴重な教訓が語られていると思います。たとえ豊かな潜在能力を持っていたとしても、技術(知識・見聞)を身に付ける前に彫り出そうとすると、せっかくの資質を台無しにしてしまう恐れがあります。新社会人には、確りと自分の可能性を見定め、納得のいく自分像を彫り出していただきたいですね。

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2013年6月26日 (水)

「心のティーカップ」と宝塚歌劇団の「ブスの25カ条」 社会人になること③

チャレンジすることを恐れず、行動を伴った決断が大事なのだということを前2回で書いてきました。しかし決断する前に、自分自身を冷静に見つめ直し“足らざるを知り”また“足るを知る”ことを知っておくことも必要でしょう。『社会人になること(※)』は、最後の最後に、紅茶の入った目の前のティーカップを例に、その辺りを分かりやすく解説してくれています。

「心のティーカップ」は注ぐだけではなく、かき回すことも大事なのだと・・・
「目の前に、紅茶が注がれたティーカップがあったとします。この紅茶には、あらかじめ砂糖が入れられているはずなのですが、飲んでみると思ったほど甘くない。そんなとき、皆さんならどうしますか? おそらく、ほとんどの人が砂糖をさらに欲しいと思うでしょう。

でも、私(著者)なら皆さんにスプーンでよくかき混ぜてみることをお勧めします。スプーンでかき混ぜると、実はそこにたまってしまっていた砂糖が溶け出して、最初に飲んだときより随分と甘くなるのです。

私(著者)が本書で話してきた『当たり前のこと』。それは、ティーカップの中にある砂糖と同じで、皆さんの心の中にはあったもの、そのことに気付かなかった、または気付かないふりをしていたものです。そして、私はこの本自体が、皆さんの心の中をかき混ぜるスプーンになればよいと思っています。」

●本書を読まれていない方にはこの『当たり前のこと』がよくわからないでしょう。そこで、著者が反面教師にしているという宝塚歌劇団の「ブスの25カ条」を紹介します。これは、同歌劇団の元トップスター貴城けい さんが書籍や雑誌に紹介したものですが、ある日突然劇団員の誰もが目にする場所に貼り出されたそうですが、誰が何のために貼ったかは謎なのだそうです。

宝塚歌劇団の「ブスの25カ条」(著者の書かれた「当たり前のこと」に通じる:山本注)
1 笑顔がない                    2 御礼を言わない 
3 おいしいと言わない              4 目が輝いていない 
5 精気がない                    6 いつも口がへの字の形をしている 
7 自信がない                    8 希望がない 
9 自分がブスであることを知らない     10 声が小さくイジケている 
11 自分が最も正しいと信じ込んでいる   12 グチをこぼす 
13 人をうらむ                    14 責任転嫁がうまい 
15 いつも周囲が悪いと思っている     16 他人にシットする 
17 他人につくさない               18 他人を信じない 
19 謙虚さが無くゴウマンである       20 人のアドバイスや忠告を受け入れない 
21 なんでもないことにキズつく         22 悲観的に物事を考える 
23 問題意識をもてない             24 存在自体が周囲を暗くする 
25 人生において仕事において意欲がない

※『社会人になるということ』(山藤 賢著/幻冬舎)

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2013年6月22日 (土)

月刊『コンピューターテレフォニー』連載第3回目ご紹介

連載3回目は面接官の資質について書きました。本誌には「面接官に求められる資質」を7つ紹介していますが、ここでは紙面の都合で割愛した「面接の落とし穴」に触れます。多くの面接官がこの落とし穴にはまってしまうのですが、面接官研修を担当して実感することは、各社の面接官教育の徹底不足です。先ずは前文から。

人材管理のはじめの一歩 できる面接官の心得:第3回
「直感力のある面接官」を選ぶ

カリフォルニア大学のD・ファンダー教授(心理学)は「人格を正しく判断できる人とは、頭がいい人ではなく、人間関係に多くの時間を使う人のことである」と指摘している。限られた時間の中で適性を見抜く面接官の資質にピタリと当て嵌まりそうだ。そして、面接官に欠かせないもう一つの大事な資質とは? 今回の“ミスマッチ”防止策は「直感力のある面接官を選ぶ」だ。

多くの面接官がはまる「面接の落とし穴」とは? (※1)
※第一印象で評価してしまう(外観評価)
※判断基準が不明確なまま選考を行う(面接官格差)
※自分が理解できないこと、苦手なことを評価しない(主観評価)
※一つのポイントで全体を判断してしまう(ハロー効果)
※悪い点にのみ目がいく(減点評価)
※自分と類似している点を高く評価する(類似評価)
※前にあった者と比較してしまう(対比効果)
※一つの面での特徴を全体のものと思い込む(一般化)
※事前の特定の情報に過度に左右される(先入観)
※大雑把な面接官は甘くなりがち(寛大化傾向)
※神経質な面接官は辛くなりがち(厳格化傾向)
※差をつけることができず、同じような平均的評価が多くなる(中心化傾向)
※ちょっとした差を極端に評価してしまう(極端化傾向)

面接官に対して実施していること(『週刊東洋経済』2008年6月28日号 ※2)
■特に何もしていない(41.3%)   ■説明会資料配布、メール送信(46.4%)
■面接官を集めた説明会(18.5%)  ■面接官を集めた社内勉強会(8.0%)
■外部講師を招いた面接官研修を実施(4.2%)
何もしていない41.3%には愕然。これでは落とし穴にはまるのも当然ですね。

※1:『採用氷河期』(原正紀著/日本経済新聞出版社)
※2:『就活のバカヤロー』(石渡嶺司&大沢仁著/光文社)
※:月刊『コンピューターテレフォニー』(リックテレコム社)                         http://ct.callcenter-japan.com/computer_telephony/621.html

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2013年6月19日 (水)

ディズニーはまず「おそうじ」を考えた 清掃物語③

~聴くStory~音声版はこちら

前回ご紹介したイエローハットの鍵山秀三郎氏はトイレを素手と裸足でブラシを使ってお掃除され、水はなるべく使いません。これに対しディズ二―はスタッフを感染から守るため防菌手袋を用い、水を大量に使います。精神修養的な鍵山氏の手法と、あくまでゲストのためにお掃除をするディズニーとの比較が面白いですね。

「なくてはならぬ重要な仕事がしたい」の希望に対する答えはお掃除係
これは『ディズニーはまず「おそうじ」を考えた(※1)』の著者・安孫子薫氏の30年前の述懐です。ディズニーではパーク内の清掃・安全・安心を担当するセクションをカストディアルと呼称します。今日では従業員採用の際に聞く配属先に「おそうじ」希望が増えており、また復職希望も後を絶たない人気職種なのだそうです。

ディズニーが目指すお掃除は「赤ちゃんがハイハイできるレベル」
本場アメリカではこれほどではないそうですが、東京ディズニーランドが開業した折、日本のスタッフが掲げた目標がこれで、感覚的には裸足で園内を歩けるレベルということになります。著者は「アイスクリームを落としても食べられるレベル」を主張したそうですが、これはさすがに却下されたそうです。

ディズニーの清掃哲学が生まれた決定的瞬間(※2)
ウォルト・ディズニーがディズニーランド建設構想(1955年カリフォルニアにオープン)を奥さんに話したとき、彼女は当時の遊園地を思い浮かべ「どうしてあんな汚い場所を造るの?」と言って関心を示さなかったそうです。ディズニーのお掃除ポリシーは、このときに確立されたのかもしれませんね。

「いつもきれいにしておけば、客は汚さない…」と、ウォルトは言った
「…でも汚くなるまでほっとけば、客はますますゴミを捨てるんだ」。彼はピーナッツの殻が道端に散らかるのを嫌い、パーク内で売るピーナッツは殻なしのものだけに限りました。また園内ではチューインガムも販売しませんでした。そして人ごみの中を巡回する若い従業員が、落ちているごみをすぐ拾い集めました。

ファストフード店のトレイに置き忘れた婚約指輪が戻ってきた(※1)
これは実話です。焦ったゲストから連絡を受けキャスト(ディズニーではスタッフをこう呼ぶ)が店内のごみ容器を探しましたが見あたりません。最終的に10名が目測10トンのゴミの山をかき分け必死で探したところ、1時間の格闘の末、ついにゴミまみれになった指輪を発見しました。ディズニーらしいエピソードですね。

※1:『ディズニーはまず「おそうじ」を考えた』(安孫子薫著/小学館)
※2:『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』(ボブ・トマス著/講談社)

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2013年6月16日 (日)

ユニーク創業経営者たちのお掃除哲学 清掃物語②

水戸岡鋭治氏、セーラ・マリ・カミングスさんの“生き様”素晴らしいですね。実例を語ることで“記憶に残る研修”を目指している山本は、「マナー研修」でも
多くの経営者のお掃除哲学を紹介しています。経営理念にまで昇華したこれらの考え方は、社員教育に役立ち、会社の発展に大きく貢献しているようです。

トップが率先して“トイレ掃除” イエローハット(※1)
イエローハットの相談役・鍵山秀三郎さんは、「日本を美しくする会」を立ち上げ、自ら先頭に立って公共の場の掃除をしていらっしゃいます。その鍵山さんは創業当初、会社のトイレを黙々と一人で掃除していました。しかし、誰も手伝いません。それを10年続けると、一人、二人とあとにつづくものが現れました。

創業者が黙々とクルマを洗車していると・・・ 京都MKタクシー(※1)
京都に本社を置くMKタクシーオーナー・青木定雄さんも、創業時に社長自らたった一人で自社のタクシーを毎日洗ったといいます。運転手さんたちは見ているだけでした。ところが、10年ほど続けたある日のこと、一人の運転手さんが一緒に洗いはじめたのです。そして、その輪は全社員に広がっていったのでした。

永守流マネジメント 新人は1年間お便所掃除 日本電産(※2)
1974年に幹部社員が率先して一年間お便所掃除をやり、その後の会議で、企業を運命共同体として考えるならお便所掃除は最高の基本教育との結論を得ました。以来新入社員全員、一年間は必ずお便所掃除(モップや雑巾、ブラシといった用具は一切使わずに素手で)を担当するという伝統が出来上がったそうです。

売上回復の特効薬は“周辺のお掃除” カレーのCoCo壱番(※3)
制服を着て朝ともなく夕方ともなく清掃していると、まず近所の方々から、「掃除を一生懸命やるような店なら安心だ。そんな店を利用したい」と店への信頼が厚くなり、そのうち道行く人やお客さまの眼に留まり、ご来店の際のアンケートはがきで「感動した」などと掃除のことをお褒めいただくようになりました。

お掃除を率先する創業経営者たちの事業はそれぞれにユニーク
「日本を美しくする会」を立ち上げお掃除の先頭に立つイエローハットの鍵山さん、規制と戦い続けたMKタクシーの青木さん、M&A先を人員整理することなくことごとく蘇らせる日本電産の永守さん、そしてカレーチェーンは成功しないを打破したCoCo壱番の宗次さん。素晴らしい創業者と清掃の物語でした。

※1:『毎日が楽しくなる 17の物語』(志賀内泰弘著/PHP研究所)
※2:『人を動かす人になれ』(永守重信著/三笠書房)
※3:『日本一の変人経営者』(宗次徳二著/ダイヤモンド社)

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2013年6月12日 (水)

街づくりの原点は、そこに住んでいる人の意識を変えること 清掃物語①

1週間の出張の道連れにと買った『AERA(※1)』に、そのデザイン力で九州の鉄道を変えたといわれる水戸岡鋭治氏が「現代の肖像」で取り上げられていました。その中の、「街づくりで一番大切なのは、そこに住んでいる人たちの意識を変えることです。そこを変えられなければ、街なんて変わらない」に共感しました。

土地の文化を取り入れたデザインで、鉄道とその土地の“光”を再生
デザイナー事務所を営む水戸岡鋭治氏について『AERA』は、「国鉄の分割民営化後、九州は大きく変貌を遂げた。呼び水となったのは、次々と発表されてきた観光列車に他ならなかった。現在までに、九州内を走る水戸岡デザインの観光列車は12本を数え、通勤列車の一部にも手が入れられている」と、紹介しています。

水戸岡氏がもはや我慢できないという面持で、初めて口を開いた
水戸岡鋭治氏は、ある地域の「街おこし会議」に出席していました。会議が1時間を経過し終盤にさしかかったとき、氏は初めて口を開きました。「街づくりは、デザインの中でも最も難しい。一番大切なのは、そこに住んでいる人たちの意識を変えることです。そこを変えられなければ、街なんて変わらない」と。

「私は駅前が汚い街はダメだと思っている」(水戸岡鋭治氏)
「じゃ、何をすればいいか。私は駅前が汚い街はダメだと思っている。街が汚いのは、その街の住民の意識が低いから。だから、毎週みんなで掃除する。そこから始めないとダメなんです」。この部分を読みながら、山本は心の中でパチパチと手を叩き、これまでマナー研修で語ってきたある事例を思い出していました。

「ゴミ拾いをしてみよう 自分の中の何かが変わるのがわかる」(※2)
長野県小布施町の枡一市村酒造場の代表取締役で、台風娘と呼ばれているセーラ・マリ・カミングスさん(アメリカから単身でやってきて、造り酒屋を再建しただけでなく、「小布施セッション」というイベントで町おこしを成功させる)は、日本で有数の観光地に小布施町を生まれ変えさせました。

古い慣習にとらわれ閉鎖的な町を彼女が変えたと称えられているのですが、その原動力となったのは“ゴミを拾う”という、ごく基本的な動作だったそうです。彼女は人を案内する場合でも、道にゴミが落ちていれば必ず拾いました。煙草の吸殻が街路の土に踏みつけられていたら、素手で掘り返して回収したのでした。

※1:『AERA』(朝日新聞社/2013年6月10日号)
※2:『毎日が楽しくなる 17の物語』(志賀内泰弘著/PHP研究所)
※地元で“台風娘”として語られるセーラ・マリ・カミングスさんについては、http://doraku.asahi.com/hito/runner/060626_02.htmlをご参照ください。

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2013年6月 7日 (金)

「飛び立つことを決断したカモメと そうでないカモメの違いは?」 社会人になること②

~聴くStory~音声版はこちら

誰しもが経験することですが、何かにチャレンジすれば、最初は失敗の連続です。当然、その失敗には痛みが伴います。金銭的な損出もあれば、恥をかいた、自信を喪失したなどがこれにあたるでしょう。そのために、決断してもなかなか行動に移せません。次の「5羽のカモメ」のお話が、そのあたりの心理をうまく表現してくれています。

5羽のうち1羽のカモメが岸壁から飛び立つことを決断した。すると残るのは何羽?
岸壁に5羽のカモメがいます。そのうち1羽のカモメが飛び立つことを決断しました。さて、残ったカモメは何羽? 皆さんは何羽と思いましたか? 答えは必ずしもひとつではないと思いますが、『社会人になること(※1)』の著者の模範解答は「5羽」です。なぜかというと、1羽のカモメは飛び立つことを「決断」をしただけで、実際には飛んでいないからです。

決断をしたカモメと、決断しなったカモメのどこに違いがあるでしょうか・・・
自分で決断することは勇気のいることですし、それは素晴しいことです。また、自分を成長させるきっかけにもなるでしょう。ただ、決断をしただけでは、飛ばなかったカモメのように、何も変わりません。自分も成長できないし、周りの人たちも評価をしてくれることはないでしょう。難しいことを言えば、心の中だけの決断は、誰にとっても「決断」ではないのです。

●決断しても飛び立たなかったカモメに対し、群れの掟を破り、天空高く飛び立ったかもめがいました。彼の名はジョナサン。1970年代に五木寛之氏の翻訳でベストセラーとなった『かもめのジョナサン(※2)』の主人公です。同書はアメリカで『風と共に去りぬ』を抜く1500万部を記録し、日本でも120万部売れました。その中からポイントと思われる4箇所を抜粋します。

かもめのジョナサンの決断とその後
決断「1千年もの間、われわれは魚の頭を追いかけ回して暮らしてきた。しかし、今や我々は生きる目的を持つにいたったのです。学ぶこと、発見すること、そして自由になることがそれだ!」
その後「やがてジョナサンは、かもめの一生があんなに短いのは、退屈と、恐怖と、怒りのせいだということを発見するにいたった。そして、その3つのものが彼の心から消え失せてしまったのち、彼は実に長くて素晴らしい生涯を送ることになった」

ジョナサンがさらに成長するために、彼が尊敬する先輩かもめが語った言葉
成長への助言「(新しい技術を身に付ける)秘訣は、まずジョナサン自身が自分のことを、限られた能力しか持たぬ肉体の中に閉じ込められているあわれな存在と考えるのをやめることにあった。たかだか1メートルあまりの翼長と、せいぜい飛行地図に書き込める程度の飛翔力しか持たぬかもめの肉体にとらわれるな、というのである」。
そして、先輩の最後の言葉は「もっと他人を愛することを学ぶことだ」でした。

※1:『社会人になること』(山藤 賢著/幻冬舎)
※2:『かもめのジョナサン(※2)』(リチャード・バック著/新潮社)
 
※文中に「カモメ」と「かもめ」の表記が混在しますが、出典を尊重した結果とご理解ください。

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2013年6月 5日 (水)

「成功の反対は失敗ではなく、チャレンジしないこと」 社会人になること① 

これは、なでしこジャパンをドイツW杯優勝、ロンドン五輪銀メダルに導いた佐々木則夫監督の言葉だそうです。これを『社会人になること』という本で読みました。山本が新入社員研修で書いたシリーズのうち「五月病(2013年5月2日)」へのアクセスが非常に多いことが気になっています。一人の先輩として、新社会人にはチャレンジ精神を忘れずにいてほしいのです。

新社会人知っておいてほしい、チャレンジを簡単にあきらめた生き物の3態
「ノミのジャンプ」という話があります。ノミのジャンプ力は素晴しく、あの小さな体で20センチも飛び上がるそうです。しかし、高さ10センチのコップの中に入れ、何度も頭をぶつけさせると、コップから解放しても10センチしか飛べなくなってしまうのです。低い目標はノミに被せられたコップと同じで、自分の限界を自分で決めてしまう一因になります。(※1)

大型肉食淡水魚のカワカマスを好物の小魚の泳いでいる水槽に放つと・・・(※2)
カワカマスというのは、大型の肉食淡水魚で、小魚を餌にしています。そのカワカマスを一匹、たくさんの小魚の泳ぐ水槽に入れました。ただし、この水槽は真ん中がガラス板で仕切られているのです。そうとは知らぬカワカマスは小魚に跳びかかりますが、そのたびにガラスの仕切りに激突します。鼻先を痛めてしまうころになって、ようやくあきらめるようになりました。

そこで、今度は、その仕切りをそっと取り外し、水槽を自由に泳げるようにしてやりました。ところが、カワカマスはガラスの板で仕切られていた付近を相変わらずぐるぐる泳ぐばかりで、小魚を捕まえようとしないのです。「小魚を食べようとしても無駄で、痛い思いをするだけだ」と学んでしまったからなのでした。

木登りが上手なお猿さんにバナナを盗まれないようにするには・・・(※3)
てっぺんに美味しいバナナが実っている木のある折の中に猿を4匹入れます。しかし、猿がある程度まで登るとシャワーが降り注ぐような仕掛けが施されていました。どのサルも果敢にチャレンジしますが、何度も何度もシャワーを浴びるうちに、木に登ろうとしなくなります。こうして4匹がまったく登らなくなったところを見計らって、代わりに新しいサルを1匹入れます。

新入りは早速木に登ろうとしますが、他の3匹が足を引っ張ってこれを阻止するそうです。そうすると、そのうち一度もシャワーを浴びたことのないこの猿も登ろうとしなくなってしまします。この入れ代えを繰り返し、シャワーを浴びた体験のあるサルが1匹もいなくなっても、猿たちは同じことを繰り返し、美味しいバナナはそのまま放置されます。

※1:『社会人になること』(山藤 賢著/幻冬舎)
※2:『イノベーション・シンキング』(P・スローン著/ディスカバー・トゥエンティワン)
※3:『7つの習慣 小学校実践記』(渡邊尚久著/キングベアー出版)

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2013年6月 2日 (日)

大阪弁と東京弁の違いは ~“間”の文化と“ 詰め”の文化~

2013年3月31日にカテゴリーに新たに設定した木の葉ブログINDEXでも取り上げましたが、「東西比較」は本ブログの検索上位ワードのひとつです(山本が関西出身の影響があるかも…)。そこで今回、『ことばの身づくろい(※)』から、大阪弁と東京弁(この表現が正しいかは別)の比較です。まずは、絶妙な作品(詩?)から。

「なんだとなんだ」(島田陽子作)
なんだとなんだはちがうんや
にしとひがしでちがうんや
にしではくびをよこにふる
みなんだ しらなんだ
なんのおともきかなんだ
そやからたすけにいかなんだ
―な わかるやろ
なんだとなんだはちがうんや
にしとひがしでちがうんや
ひがしはくびをたてにふる
そうなんだ ここなんだ
せんぱいのうちなんだ
あのひとだけがたよりなんだ
―な ふしぎやろ

大阪弁と東京弁に対する世人の思いをまとめれば次のようになる
国語学者の前田勇、元大阪学芸大学(元大阪教育大学)教授は名著『大阪弁』(朝日選書)で、以下のように対比されました。
   大阪弁             東京弁
A やさしくて、柔らかい     ぶっきらぼうで、硬い
B 潤濁・朦朧           冷澄・明晰
C 歯切れが悪い         歯切れが良い
D 鈍重・悠長           軽快・急促
E 女性的で、なまぬるい     男性的で、きびきびしている
F 間が抜けて、しまりがない  緻密できりっとしている
G 余情がある           知性がある
H 典雅・婉曲          尖鋭・端的
I 包含的             分析的

関西人の言語学の権威も、全面的に東京弁が好印象と
東京弁は「ぶっきらぼうで、硬い」感じを除いては、歯切れがよくて冷澄で知性がある。などと、ほぼ全面的に好印象なのです。他方の大阪弁は、やさしくて柔らかく、余剰があって典雅な感じを除いては、歯切れが悪く鈍重で間が抜けてしまりがない、など全体に分が悪く、東京弁に対して勝ち目がなさそうに思えます。

●もっとも同書の刊行は1977年ですから、その後の大阪弁の東京進出を思えば、好感度は増しているでしょうが、大筋この対比はいまも変わらないとは筆者の言です。さて、冒頭の作品の作者・島田陽子さんは、ご存知の方も多いと思いますが、70年万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」の作詞家としても知られています。

※:『ことばの身づくろい』(木津川計著/『上方芸能』出版センター)

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