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2013年7月24日 (水)

和田アキ子さんが語る「怒る」と「叱る」の違い 「日本人の忘れもの」④

~聴くStory~音声版はこちら 

彼女は17歳で大阪から上京し歌手としてデビュー。ヒット曲にも恵まれ、ドラマの仕事もいただくようになって、にわかに忙しくなった頃のお話です。和田さんは当時、横浜にあったホリプロの堀威夫前社長のお宅に居候していましたが、お仕事の関係から、よく新宿で飲み明かして、スタジオ入りしていました。

ちょっとの仮眠のつもりが、爆睡し、ドラマのリハーサルに大遅刻!
テレビ局で顔を洗って歯を磨いて、仕事に入るような生活をしていたあるとき、いつものように朝まで飲んで、ちょっと仮眠を、と思ったところが連日の疲れからすっかり寝入ってしまい、午前9時からドラマのリハーサルが始まるのに、起きたのが何と午後1時! あわてて現場に行くとある人から怒鳴られました。

「あんた、ドラマを何だと思ってるの! 遅刻するなんて、何事ですか」
「歌が売れてるからって、なんだっていうのよ! ドラマはね、みんなで作るのよ。誰か一人でも欠けたら、みんなに迷惑がかかるの。それを平気で遅刻するなんて、何事ですか」。こう言って叱ってくれたのは、女優の故・山岡久乃さん(和田さんは親しみを込めて「山岡のおっかぁ」と呼んでいたそうです)でした。

叱責を受けた彼女は、そのあまりの迫力に、思わず泣いてしまいました。すると次には「泣いてる場合じゃないでしょ。目が赤くなったら、撮影できないでしょ」と叱られました。そして撮影が終わると、今度は「明日は朝6時にいらっしゃい」と。正直、「このババァ、なに言うんだよ」なんて内心思ったそうです。

新宿で夜明かしし、朝6時にしぶしぶ行ってみると、サプライズが・・・
怖い山岡さんの言いつけですから、無視するわけにもいかず、彼女はその日もまた新宿で飲んで時間をつぶし、朝6時に行きました。すると、どうでしょう。テーブルの上にはご飯にみそ汁、肉じゃがと、彼女の好きな食べ物が並んでいました。山岡さんは「あんたは愛情が足りないの。これから毎朝ここで食べなさい」。

「おっかぁは本当に毎朝、朝ご飯を作ってくれたんです。それからです、私が心を入れ替えて仕事に取り組むようになったのは。もちろん遅刻はそれ以来一度もしていません」と和田さん。以来彼女はスタジオ入りが早く、遅れて恐縮する後輩には「化粧に時間がかかるので気にしないで」と優しい言葉をかけるそうです。

山岡のおっかぁは怒ったんじゃないんです。私を叱ってくれたんです。「怒る」と「叱る」の違いは何かといったら、「愛情のあるなし」じゃないでしょうか。
このお話は、43人の著名人の言葉を集めた『言葉の力』(PHP研究所編)の、和田アキ子さん「女前(おんなまえ)」からピックアップさせていただきました。

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なお「日本人の忘れもの」①②は「マナー研修」のカテゴリーに入っています。

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