Web時代の教訓となる航空会社のクレーム例 『人を動かす』③
3万5千人に対して行った、「出世にもっともつながっていたのは何か?」の質問への答えは、「自分の過ちを素直に認められること」だったそうです。でもなかなかこれができないのが人間様。企業も同じですが、次に紹介するのは「東芝事件」や「シンドラーエレベーター」「原発事故時の東電」にも共通するギターのお話です。
顧客の正当な申し出を軽視したことで、ユナイテッド航空が失ったもの
ユナイテッド航空の乱暴な荷物の取り扱い(被害者は現場を目撃していた)でギター(3500ドルのテイラー)を壊されたディヴ・キャロル(リード・ボーカル)は、12カ月間苦情をたらい回しされました。時にはカナダの自宅から2400キロ離れたシカゴへ「検査のために持ってこい」と言われたこともあったのです。
その間に彼は1200ドルかけて修理に出しました。彼はプロのミュージシャンなので道具がなくては商売にならないからです。でも、同じ音色は戻りませんでした。それでも彼は、修理費を払ってくれればそれで手を打とうと申し入れました。しかし、ユナイテッドは、その要求にさえ耳を貸そうとしませんでした。
「ユナイテッドはギターを壊す」の歌がユーチューブに流れ株価10%暴落
彼は腹をくくり、「ユナイテッドはギターを壊す」というタイトルの曲をつくり2009年7月6日に動画をユーチューブにアップロード。すると、最初の2週間でほぼ400万人が視聴しました。数日後のロンドンタイムズ紙には、「逆宣伝の雷雲に突っ込んで、ユナイテッド航空の株価失速。10%急落」の記事が掲載されました。
●山本はクレーム対応研修のときに情報化社会への備えとして、東芝事件のことを話します。顧客からの質問「ビデオデッキからノイズが出る」を、各セクションでたらい回しにした挙げ句、渉外管理室という特別顧客担当部門(一般のお客様とは違う特別顧客が専門)の担当者が発した二つの言葉が大事件を引き起こしました。
「あんたみたいのはお客様って言わないの!」「クレーマーって言うの!」などと正面から突っぱねたやり取りが録音され、Webで全世界に配信されてしまったのです。トラブルには常に冷静な対応が求められます。多分、下記のようなリーダーがいれば間違いないのでしょうね。今回の最後は、素敵な艦長さんのお話です。
誤りに気づき、これを自ら正したことでモラルを向上させた新任艦長
水兵たちは年6回ペンキ塗りなど雑用に多くの時間を費やし、ふてくされていました。そこで艦長が錆の原因である船内の締め具をすべて換え、外気に触れるパネルに特殊な塗料を施すと、船はその後ほぼ2年間ペンキ塗り替えの必要がなくなりました。浮いた時間を上級訓練に当てたところモラルが大幅に向上したそうです。
※:『人を動かす2』(デール・カーネギー協会編集/創元社)
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