日本人のマナーの源とされている小笠原流礼法とは
5回続いた今回のマナーシリーズの最後は格調高く小笠原流礼法です。同流派の始祖は小笠原長清(応保2~仁治3)と言われ、源頼朝の弓馬師範でした。その後、小笠原氏中興の祖・貞宗(永仁2~貞和3)により、礼法が加わりました。貞宗は、後醍醐天皇より、「小笠原は日本武士の定式*」との御手判(おてはん)を賜りました。
*定式(じょうしき)とは、決まったやり方・ルールのこと。
第33代小笠原忠統氏 真の礼法とは、「こころ」と「かたち」から成り立つ
「こころ」とは、相手を大切に思うこころである。
「かたち」とは、そのこころをこうどうによって表すことである。つまり、「作法」は「かたち」である。
「こころ」と「かたち」、どちらが先かといえば、もちろん「こころ」である。
「かたち」が身につくと、「こころ」も身につく、などともいわれるが、私はそうは思わない。
「かたち」を追い求める人は、どこまでいっても「かたち」にばかり囚われがちである。しかしながら、「こころ」を大切にする人が、「かたち」を身につけると、自然で美しい立ち居振る舞いができるようになる。
言い換えるならば、相手や周囲の人々に対する、自己の内面から発せられる真摯なこころ遣いが、美しい立ち居振る舞いとあいまって日常生活が満たされるときこそ、礼法はその究極に達するのである。
「こうでなければならない」などと、かたちばかりに拘る礼法など存在しない。時・場所・状況に応じて変化する「かたち」でなければ、相手を大切にすることなどできないからである。
だからこそ、今後、ますます加速することが予想される価値観の変動や多様化する生活様式のなかで、古来から伝えられた作法やしきたりといったものをそのままのかたちで用いてはならない。
「なぜその作法が存在するのか」という理由をしっかり理解し、自分なりに咀嚼することが大切なのだ。
つまり、各々のライフスタイルに必要な礼法とは、決まりきった一つの答えが存在するのではなくて、それぞれの状況に応じた的確な判断能力と、それに応じた立ち居振る舞いからなる。
出典は『誰も教えてくれない 男の礼法』(小笠原敬承斎著/光文社)
著者の小笠原敬承斎氏は第34代目で、上出の33代小笠原忠統氏の実姉の孫娘。
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