2020年東京オリンピックのプレゼンから学ぶ プレゼンテーションの技術②
今回のプレゼンで特徴的だったのはポイントを「3つに絞る」手法でした。これはアドバイザーだったニック・バーリー氏の持論でもあるようですが、見事にスピーチに織り込まれていました。明治大学斎藤孝教授の雑誌『THE21』/「五輪開催を射止めた『東京』のプレゼン力」でのコメントも交え解説します。
五輪招致プレゼンコンサルタントのニック・バーリー氏「3つのルール」(※1)
「私は話を3部構成にするようにと強く提唱している。伝えたいメッセージがよく聞こえるし、人間は短期的にはだいたい3つの事柄しか覚えていられないと科学的調査が示している。「3つのルール」は東京のプレゼンで徹底されていた。竹田理事長はじめ他の発表者のほとんどが、メッセージに修辞的なしかけを盛り込んでいた。」
明治大学斎藤孝教授、プレゼンでは「3の法則」を徹底して繰り返す(※2)
東京のプレゼンでも、この「3つの法則」が多用されていました。例えば、招致委員会理事長の竹田恒和氏のプレゼン。「First,which City(中略).Second,which City(中略).And finally,which City(中略)」という表現と、「A,B and C」という表現が2回の、計3回(*)も「3の法則」が使われています。強い印象が与えられる法則なのです。
(*):First,which City(中略).Second,which City(中略).And finally,which City(中略)」という表現と、「A,B and C(ドービング、違法賭博、八百長行為&Delivery,Celebration、Innovation)」
最後に、「東京に投票してください(Vote for Tokyo)」と3回繰り返した
彼は招致委員会理事長という立場で、その場にいる理由は投票を呼びかけることにほかなりません。ですから、3回繰り返したのです。滝川さんも、「東京は次の項目においても第1位の評価を受けました」と3点(「公共交通機関」「街中の清潔さ」「タクシー運転手の親切さ」)をあげるかたちで、「3の法則」を活用していました。
(山本注):水野正人氏も、IOCのアドバイスに沿った改善計画を「1つ目は…、2つ目は…、そして3つ目は…」と、アピールしていました。
実は、高円宮妃久子さまのスピーチも3部構成だった(※3)
皇族にはオリンピック招致を直接的に訴えることができないという制約がある中で何をどう伝えるか、久子さまは主に3つのことを伝えられました。1つ目は、IOCの特別震災プログラムに対する感謝と称賛。2つ目は、皇室のスポーツへの理解と支援。3つ目は、IOCメンバーとの絆。一言一句に至るまで考え抜かれたスピーチでした。
※1:(9月7日)ロイター発
※2:『THE21』(2013年11月号)
※3:『プレジデント』(2013年11月4日号)
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